クラプトンがデラニー&ボニーに加入して本格始動した様子を捉えた定番映像として知られる1969年のテレビ出演“BEAT CLUB”。同番組の収録は11月26日にラジオ・ブレーメン・スタジオにて行われ、29日にBEAT CLUB第49回放送プログラムの中で彼らの演奏シーンが最後に流されました。その放送から「Poor Elijah / Tribute to Johnson」一曲が80年代になってオフィシャル・ソフトに収録され、多くのマニアはココでデラニー&ボニー&フレンズの一員としてギタリストに徹するクラプトンの雄姿と、そうそうたる面子で結成されたバンドの姿が見られたことで、思わず釘付けになったのではないでしょうか。その後CDアイテムによって他の演奏曲も音声だけが発掘されたことから都合三曲の放送が判明しましたが、「Poor Elijah」以外の二曲に関してはなかなか映像が登場せず、すべての曲が映像で見られるようになったのは意外なほど最近になってからでした。現在は「BEAT CLUB VOL.2: 1968-1970」にてこれら三曲はもちろん、イエスの「No Opportunity Necessary, No Experience Needed」などと共に第49回放送分が丸ごとソフト化されています。ところが、ここ最近になってYouTube上のBEAT CLUBオフィシャル・アカウントが放送用の編集が施される前のビデオ映像を次々に公開。同番組は放送時にバンド・ロゴやアルバム・カバーをオーバーラップさせる演出を身上としており、1970年以降のカラー放送以降はそれがエスカレート。ディープ・パープルやジェフ・ベック・グループなどはそうした演出が施される前の映像が既に公開されていましたが、まだカラー収録に切り替わる前の白黒放送ですら演出を加える前のビデオが残されていたとは驚き。デラニー&ボニーの映像に関しては今年に入って公開されていたもので、その存在すら知らないマニアも少なくないのでは?。よって編集前の状態で三曲の演奏シーンが見られるのですが、まず「Poor Elijah」と「Where There's a Will, There's a Way」の二曲に関しては、演奏が始められる前、キューが出るスレイトから見られるという、正に編集前ならではの場面から映像が始まっています。よって古くから見慣れた「Poor Elijah」ではオープニングのバンド・ロゴが映し出されません。おまけに「Where There's~」に関してはデラニーがカウントで演奏をスタートさせる様子までしっかり捉えられている。これらの場面からも解るように、デラニーたちの映像は実際のところオーディエンスを前にした撮影ではなく、言うなれば「特別扱い」の収録であったことが解ります。実際の放送分では曲間でオーディエンスを従えたアナウンサーのコメント、さらに演奏が始まると拍手も入りますが、これらはすべて「ヤラセ」であったという(笑)。そして「Where There's~」から間髪入れずに始められていた「Comin' Home」に関しては、実際の放送分においてエンディングロールのバックで流された挙句、一分にも満たない内にフェイドアウトさせられていましたが、ここでは何と演奏がコンプリート!これだけでも世界中のマニアにとっては衝撃の発掘でしょう。しかしクラプトンのギターソロが終わった後で突如として深いエコーが入ってしまう、明らかに放送局側のミスと思われるトラブルが起きていますので、それが原因で演奏序盤のみの放送となった可能性が推測できます。もっともこれは微塵な問題でしかなく、今まで演奏の3分の1しか見られなかった「Comin' Home」がコンプリートで、おまけにエンディングロールのクレジットなしで見られるとは。このように三曲のみの収録ではありますが、もはやプレス・レベルの画質かつ、きわめて貴重な映像は全クラプトン・マニア衝撃のアイテム間違いなし。 "Beat Club" TV Radio Bremen Studios, Bremen, Germany 26th Novermber 1969 PRO-SHOT Aird on 29th November 1969(11:27) 1. Poor Elijah / Tribute to Johnson 2. Where There's a Will, There's a Way 3. Comin' Home Eric Clapton - Guitar / Vocals Delaney Bramlett - Guitar / Vocals Bonnie Bramlett - Vocals Rita Coolidge - Vocals Bobby Whitlock - Keyboards / Vocals Carl Radle - Bass Jim Gordon - Drums Tex Johnson - Percussion Jim Price - Trumpet Bobby Keys - Saxophone B&W NTSC Approx. 11min.