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Ringo Starr & His Fourth All-Starr Band リンゴ・スター/MI,USA 1997

リンゴ・スター&ヒズ・オールスター・バンドは2010年代を迎えてから日本のファンにとって随分と身近に感じられる存在となりましたが、以前は来日から縁遠いバンド、言わば来日氷河期とでも呼びたくなるような時期もあったのです。1989年と1995年こそ来日公演を果たしていましたが、1997年からは来日がぱったりと途絶えてしまい、それ以降の活動の印象が極めて薄くなってしまいます。おまけにアメリカばかりをツアーしていたせいで、なおさらそうした印象ばかりの強い時期です。我々日本人にとっては氷河期の始まりとも言えた時期が1997年のオールスターズ。そうした状況の中、アメリカだけでリリースされたライブVHSまで存在していたのです。これはDVD化されたことがなく、もはや再リリースされる可能性すら考えられないほど忘れ去られたライブ映像と化してしまいました。それだけではありません、1997年のオールスターズはバンド史上で唯一、イギリスのアーティストだけで編成された(サポートのマーク・リヴェラは除く)レアな時期だったのです。さらには全員が60年代アーティストとも呼べる構成でもありました。そして先の理由から日本では見過ごされがちな時期なのですが、この年のオールスターズの素晴らしさといったら。1989年や95年のような豪華なメンバーの名人芸披露的な側面が薄れ、オールスターズ史上初めてバンドとしての一体感が押し出された画期的な時期だったという点も特筆すべきでしょう。ライブ映像だけに今から20年前の各メンバーのルックスというのがまた面白い。まず一気に老け込んだ感のあるピーター・フランプトン。まだ肝臓を患う前なので恰幅のいいジャック・ブルース。メンバーの中で一番若々しいサイモン・カーク。一方ゲイリー・ブルッカーの渋さたるや、まるで歌うマウントバッテン卿のようです(この例え解ります?笑)。そしてリンゴに至っては、この時代から老化が止まったのでは?と錯覚しそうになるほど今と変わらない容姿。むしろ今の方がスリムなくらい。そうは言ってもフランプトンの存在感は絶大で、この時点でちょうど20年前となる懐かしのヒット曲、しかもアメリカで大当たりした曲ばかりを演奏するものだから、ここデトロイトのオーディエンスは大喜び。また彼とジャック・ブルースの相性の良さというのも特筆すべき点で、クリーム・クラシック「Sunshine of Your Love」やライブ終盤のクライマックスとなったフランプトンの「Do You Feel Like We Do」ではインプロ合戦が白熱しており、ブリティシュ・バンドならではの一体感が生み出されていたのです。この年のオールスターズは彼らがスタープレイヤーであることは明白であり、だからこそブルッカーとカークが絶妙なバランスで裏方に回っているバランスもいい。ところが、このツアーにおいてカークはドラムだけに留まらず、何とリードボーカルまで取るという画期的な試みが導入されています。しかも歌うのは「Shooting Star」に「Alright Now」。どちらもポール・ロジャースが歌った超クラシックですが、それを彼は見事に歌い切っています。この歌唱を例えるならば「アクのないポール・ロジャース」。今でこそ彼も自信がついたのでしょう、自身で歌うソロ・アルバムをリリースし続けていますが、その嚆矢となったのがここでの経験だったのではないでしょうか。それだけではありません、このツアーでは「歌うドラマー」が二人もいたことになるという面白い事実がある。となると主人公でもう一人の歌うドラマー、リンゴのレパートリーが「I'm the Greatest」に「No No Song」というセレクションがマニア泣かせ。前者でブルッカーがピアノで伴奏するという光景もこのツアーならではですし、後者はオールスターズで演奏されなくなって久しい曲。とどめにフランプトンが「Norwegian Wood」を弾き語ってビートルズ色を付け足してくれたのも粋な計らいかと。何よりリンゴ・バンド史上唯一のブリティシュ・オールスターズとなった時期のライブの完成度の高さはとにかく素晴らしい。なおかつその様子を最高のクオリティのプロショットで見てみれば、あまりの新鮮さと演奏の充実ぶりを前に釘付けとなってしまうこと間違いなしな幻のライブ映像です。 Live at Pine Knob Music Theatre, Detroit, MI, USA 30th May 1997 PRO-SHOT (134:02) 1. Introduction 2. It Don't Come Easy (Ringo Starr) 3. Act Naturally (Ringo Starr) 4. The Devil Came From Kansas (Gary Brooker) 5. Show Me The Way (Peter Frampton) 6. Sunshine Of Your Love (Jack Bruce) 7. Shooting Star (Simon Kirke) 8. Boys (Ringo Starr) 9. Baby I Love Your Way (Peter Frampton) 10. You're Sixteen (You're Beautiful And You're Mine)(Ringo Starr) 11. Yellow Submarine (Ringo Starr) 12. A Salty Dog (Gary Brooker) 13. Norwegian Wood (This Bird Has Flown) (Peter Frampton) 14. Theme From An Imaginary Western (Jack Bruce) 15. Conquistador (Gary Brooker) 16. I'm The Greatest (Ringo Starr) 17. No No Song (Ringo Starr) 18. I Feel Free (Jack Bruce) 19. All Right Now (Simon Kirke) 20. I Wanna Be Your Man (Ringo Starr) 21. Do You Feel Like We Do (Peter Frampton) 22. White Room (Jack Bruce) 23. A Whiter Shade Of Pale (Gary Brooker) 24. Photograph (Ringo Starr) 25. With A Little Help From My Friends (Ringo Starr) Ringo Starr - drums, vocals Peter Frampton - guitar, vocals Gary Brooker - keyboards, vocals Jack Bruce - bass, piano, guitar, vocals Simon Kirke - drums, vocals Mark Rivera - saxophone, guitar, organ, keyboards, percussion, vocals PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.134min.

Ringo Starr & His Fourth All-Starr Band リンゴ・スター/MI,USA 1997

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