フィル・コリンズ&スティーヴ・ハケットを迎え、黄金時代に突入した1972年のGENESIS。その大定番プロショットが究極クオリティにアップ・グレードしました。その定番プロショットが撮影されたのは「1972年3月20日ブリュッセル」。そう、ベルギーTV局RTBFの音楽番組“POP SHOP”に出演した際のマルチカメラ・プロショットです。この映像は、まさにプログレッシヴ・ロックの至宝。当時のGENESISと言えば、名盤『NURSERY CRYME』を引っさげて徹底的なライヴ三昧を始めたばかり。この映像は“黄金の5人”が揃った最古の映像としても知られているものなのです。まずは当時を振り返り、番組のポジションを確かめてみましょう。●1971年・8月7日-11月7日:欧州#1(29公演)《11月12日『NURSERY CRYME』発売》・11月19日-12月23日:欧州#2(26公演)●1972年・1月1日-3月25日:欧州#3(43公演)←★ココ★・4月6日-7月28日:欧州#4(67公演)《8月『FOXTROT』製作開始》 これが『NURSERY CRYME』に伴う活動の全体像。当時はまだ北米進出を果たしておらず、ヨーロッパだけを巡業。そのほとんどは母国イギリスだったわけですが、その中でいち早く彼らを迎えた外国だったのがベルギーでした。もちろん、ベルギー国内だけでは何公演も重ねる「ツアー」は難しく、メインはメディア露出。本作の“POP SHOP”は、その1つ。ちなみに大規模なツアーとして迎えたのはイタリアで上記の「欧州#4」にあたる。本作はそれよりも早い時期のプロショットなのです。ただでさえピーター・ガブリエル時代のプロショットは貴重ですが、ここまで初期となればその価値は絶大。古くからアップ・グレードを繰り返し、その度にマニアが驚喜する定番中の大定番となってきました。本作は、その2019年最新版であり、もう超えることがないであろう至高版。“POP SHOP”と言えば、BLACK SABBATHの頂点映像『BRUSSELS 1970: THE ORIGINAL "POP SHOP" MASTER』も記憶に新しいところですが、本作も恐らくは同じ。SABBATHのように編集違いは見当たりませんが、アップ・グレードぶりは酷似している。これまでの最高峰と言えば『POP SHOP 1972 REMASTERED EDITION』のリマスター・バージョンもお馴染みですが、あの美しい画面でさえまったく相手にならない。リマスター版は肌つやもツルツルなら衣装もビニールのように滑らかだったものの、それは細部が潰れているのが原因だった。本当の彼らは若々しい肌にニキビやヒゲ剃り跡もあり、手には血管も浮き立てば、産毛も生えている。衣装も繊維までハッキリと分かるのです。いや、まだ足りない。実のところ、本作の画質は現場の光景さえ超え、撮影されたフィルムの粒子感まで克明に残されている。よく高画質ぶりの表現として「髪の毛1本1本まで鮮明」と書きますが、本作の画質はそれどころではない。フィルム撮影されている以上、物理的な粒子感以上の画質は不可能。先ほど書いた「もう超えることがないであろう」というのは、そういう意味なのです。その究極画質で描かれるのは、新たな次元に踏みこんだ5人の姿。ガブリエル時代の映像と言えば、演劇的なパフォーマンスや奇抜な衣装のイメージが強烈ですが、本作はその手法に目覚める前。ガブリエルのアクションには後のパントマイムに発展していく激しい表現力は感じるものの、迸る情熱を表現に結びつけられていない。黒装束のシンプルな衣装にノーメイクのまま髪を振り乱し、いかにもロック・シンガー然とした歌いっぷりを見せてくれるのです。そして、そんなガブリエルに引っぱられる4人の演奏はすでにGENESISワールド全開。もちろん、これから過酷なツアー生活で練度が増していくわけですが、すでにその方向性は確立されており、「Fountain Of Salmacis」「The Musical Box」「Return Of The Giant Hogweed」といった『NURSERY CRYME』の名曲群をエネルギッシュかつダイナミックに再構築。まさに「動くNURSERY CRYME」となる映像なのです。その中で唯一、アルバム外のナンバーとなるのが「Twilight Alehouse」。後のシングル『I Know What I Like』のB面としてリリースされる曲ですが、その極初期パフォーマンスをオフィシャル級以上のマルチカメラ・プロショットで目撃できるわけです。まさに創世記。その最高峰となる1枚です。“黄金の5人”による最古のプロショットが究極クオリティで甦った映像作品。 Pop Shop, Brussels, Belgium 20th March 1972 PRO-SHOT(HUGE UPGRADE!!) (29:21) 1. Fountain Of Salmacis 2. Twilight Alehouse 3. The Musical Box 4. Return Of The Giant Hogweed 5. End Credit Peter Gabriel - Lead Vocals Steve Hackett - Guitar Mike Rutherford - Bass, Guitar, Vocals Tony Banks - Keyboards Phil Collins - Drums, Vocals PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.29min.