『シカゴと23の誓い』を全米4位に送り込み、数々のシングルヒットで沸き立っていた1970年のCHICAGO。その大定番プロショットの最高峰盤が登場です。そんな本作が撮影されたのは「1970年7月21日レノックス公演」。“タングルウッド音楽祭”に出演した際のマルチカメラ・プロショットです。ロック史のレジェンド:ビル・グレアムがMCをしている事でも知られる有名映像ですが、本作はその最高峰版。約95分に渡る完全版なのです。その中身に触れる前に、まずはショウのポジション。ヒットに次ぐヒットで一躍時代の寵児となった当時のスケジュールから振り返ってみましょう。 ・1月8日-25日:北米#1(12公演)《1月26日『シカゴと23の誓い』発売》・2月15日-5月25日:北米#2(72公演)・6月26日+27日:北米#3(2公演)《6月末『シカゴIII』製作開始》・7月16日-8月24日:北米#4(28公演)←★ココ★・8月28日:ワイト島フェスティバル ・9月1日-11月26日:北米#5(46公演)《12月初旬『シカゴIII』完成》 これが1970年のCHICAGO。上記はアルバム『シカゴと23の誓い』『シカゴIII』を基準にまとめましたが、この他にシングルも続々とリリース。3月にはシングル『Make Me Smile』、6月には『25 or 6 to 4』、10月には『Does Anybody Really Know What Time It Is?』が発売されてはトップ10ヒットを記録。その余波を駆って彼らの歴史上でも最大のツアーが実施されました。そんな中で本作のレノクス公演は「北米#4」の6公演目にあたる。伝説の“ワイト島フェスティバル”出演の約1ヶ月前となるコンサートでした。そんなショウで撮影されたプロショットは前述のように大定番となっているわけですが、本作はその最高峰。ビル・グレアムのコレクションからタイムカウンター入りバージョンが流出したこともありますが、それとは異なり、カウンターもなく約95分に渡って「CHICAGOしか目に入らない」完全版なのです。しかも、画質も極上。とにかくアナログ感覚の甘味のある質感がたまらない。マスター劣化など微塵も感じられず、ノイズも歪みもない画面は極めて艶やかで金管やマイクスタンド、スネア等の金属光沢はテラッテラですし、まろやかな色合いも当時そのもの。さらに素晴らしいのが音声。このショウは完全版サウンドボードも登場しており、そのクオリティは完全オフィシャル級。もちろん、ひと口に「公式級」と言ってもピンキリではありますが、本作は思いっきりピン。マスター鮮度も見事にセパレートしたミックスも完璧で、数々のスタジオ作品と比べてもなんら劣るところのない歴史的名盤級サウンドなのです。まさに超絶クオリティなのですが、ショウの中身が輪をかけて素晴らしい。前述のように、このショウは伝説のワイト島フェスの直前ながら少々異なってもいる。ここでは比較しながらセットの内容も整理しておきましょう。シカゴの軌跡・Does Anybody Really Know What Time It Is?/Beginnings/I'm a Man シカゴと23の誓い・In The Country/25 or 6 to 4/Poem for the People(★)/It Better End Soon・Ballet For A Girl In Buchannon (Make Me Smile/So Much To Say, So Much To Give/Colour My World/Make Me Smile) シカゴIII・I Don't Want Your Money(★)/Mother ※注:「★」印は1970年ワイト島フェスティバルでも聴けなかった曲。……と、このようになっています。当時は『シカゴと23の誓い』の大ヒット真っ最中で、さらに『シカゴIII』も手掛け始めた刹那。そのタイミングが丸出しで初期2枚の名曲群が大盤振る舞いされ、そこに『シカゴIII』の2曲がまぶされている。その「I Don't Want Your Money」「Mother」は貴重で、特に前者は1971年までのホンの数回しか記録のない激レア曲なのです。そのセット以上に強烈なのがパフォーマンスそのもの。ブラスロックの旗手たる見事なアンサンブルにも圧倒されますが、やはり本命はテリー・キャス。当時24歳だった彼はギターもエネルギッシュなら歌いっぷりも激アツな大活躍。それこそ『AT CARNEGIE HALL』や『LIVE IN JAPAN』さえ凌駕する大熱演を繰り広げるのです。世界を席巻していた1970年の大名演を約95分に渡って目撃できる極上プロショット。その最高峰版です。問答無用に文化遺産級の1枚であり、それこそ『シカゴの軌跡』『シカゴと23の誓い』そのものにさえ匹敵する名作中の名作。CHICAGOを愛していながら本作を経験していない事などあり得ない。それほぞの決定映像。 Live at Tanglewood Music Center, Lenox, MA, USA 21st July 1970 PRO-SHOT 1. In The Country 2. Free Form Piano 3. Does Anybody Really Know What Time It Is? 4. 25 or 6 to 4 5. Poem for the People 6. I Don't Want Your Money 7. Mother 8. It Better End Soon 9. Beginnings 10. Ballet For A Girl In Buchannon (Make Me Smile) / So Much To Say, So Much To Give 11. Colour My World / Make Me Smile 12. I'm a Man 13. Bill Graham Closing Announcements Robert Lamm - keyboards, lead vocals Terry Kath - guitar, lead vocals Peter Cetera - bass, lead vocals James Pankow - trombone, percussion Lee Loughnane - trumpet, percussio, background vocals Walter Parazaider - woodwinds, percussion, background vocals Daniel Seraphine - drums PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.95min.