日本洋楽史上、最大の事件だったマイケル・ジャクソン初のソロ来日。その象徴映像の極上クオリティ版が登場です。そんな本作に収められているのは「1987年9月27日:横浜スタジアム公演」。そのマルチカメラ・プロショットです。この映像は定番中の大定番……と言いますか、この映像自体が時代の象徴でもありました。来日直後の“10月31日”に異例のゴールデンタイムに特番として放送され、日本中の洋楽ファンが熱狂しました。もちろん、そのエアチェックが無数の既発群を生み出してきたわけですが、本作はその最高峰に立つもの。同じ特番プロショットが人気を博してきましたが、本作はまったくの別マスター。さらに美しいだけでなく、懐かCMも含め、従来より約19分も長い放送完全版なのです。 【初のソロ来日を象徴する名映像の極上バージョン】その内容に触れる前に、まずはショウのポジション。“BAD WORLD TOUR”はマイケルの初ソロツアーだったわけですが、そのキックオフ地の栄誉を受けたのは、ここ日本。「マイケル台風」と言われた当時のスケジュールから振り返ってみましょう。 《8月31日『バッド』発売》《9月9日:来日》・9月11日:後楽園球場(リハ)・9月12日-14日:後楽園球場(3公演)・9月19日-21日:阪急西宮球場(3公演)・9月25日-10月4日:横浜スタジアム(5公演)←★ココ★・10月10日-12日:大阪スタヂアム(3公演)《10月19日:離日》 以上、全14公演(+1)。当初横浜では3公演の予定でしたが、絶大な熱狂を受けて5公演に拡大。本作が撮影されたのは、その3公演目にあたるコンサートでした。そんなショウを記録した本作は、まさに「超」付きの極上品。当店では、国内のコアな記録マニアによる極上マスターで数々の音楽番組をアーカイヴしておりますが、本作はそのマイケル編でもある。録画した大元マスターそのものだけにダビング痕がまるでなく、マニアの入念な保存環境により経年劣化もなし。もちろん、録音当時のハイエンド機材を使用しており、受信環境や配線にまで気を配った画面には白線ノイズも走行ヨレも見当たらない。まるで公式レーザーディスクから起こされたかのような美しさなのです(もちろん、実際には公式リリースはされていません)。そんな映像美で描かれるのは、まだ20代だったマイケルの大熱演。キレッキレのダンスはもちろん、生声ヴォーカルもたっぷりにヒット曲の数々を披露していくのです。“BAD WORLD TOUR”と言えば、公式DVD『LIVE AT WEMBLEY』が象徴になっておりますが、ソロ初来日はツアー序盤だったためにセットも異なる。ここで比較しながら整理しておきましょう。ソロ・オフ・ザ・ウォール:Off The Wall(★)/She's Out Of My Life/Rock With You/Workin’ Day And Night ・スリラー:Wanna Be Startin' Something/Human Nature/Beat It/Billie Jean/Thriller・バッド:I Just Can't Stop Loving You/Bad ジャクソン5/ジャクソンズ・DESTINY:Things I Do For You(★)/Shake Your Body(★)・TRIUMPH:Heartbreak Hotel/Lovely One(★) ・その他:I Want You Back/The Love You Save/I'll Be There ※注:「★」印は公式映像『LIVE AT WEMBLEY』でも観られない曲。……と、このようになっています。基本的にTHE JACKSONSの“VICTORY TOUR 1984”を踏襲した内容で、ジャーメイン・コーナーがない代わりに「Thriller」や新曲「I Just Can't Stop Loving You」「Bad」が追加されたスタイルです。 【香り立つ時代感を一気に高めるCM群まで完全収録】その1曲1曲が特濃・必見で伝説。ここで語り尽くすのは少々難しいくらいです。しかし、本作の見どころはそんなショウだけではなく、合間合間に挟まるCM群も強烈なのです。「Bad」の替え歌詞バージョンが貴重なペプシのCMも凄いのですが、それを超えるのが一般CMの時代感。まずメイン・スポンサーの旧:電電公社が凄い。当時は民営化から間もなく、1987年は株式を上場したばかり。そのせいか積極的に露出しており、本作でもさまざまなCMが登場する。しかも、通信事業だけあって時代がモロ出しなのです。「ファインモードで黒地くっきり」とFAXを売るくらいは序の口。現在の子機の3倍くらいある巨大な携帯電話を抱えては「電話が家を出た!」と喧伝しますし、固定電話のCM(!)ではまだ22歳だった科捜研の女が登場。「彼氏からの電話が家族に知られる」という日本の伝統文化を思い出させてくれます(子機すらない!)。さらに強烈なのがフリーダイヤル。「0120で始まる電話番号を見つけたら……」と、今では国民常識なサービス内容をテレビCMで宣伝する必要があった事も衝撃ですし、ナレーションを務めるのも今は亡き大女優:岸田今日子さん。一世を風靡した「鉄棒する猫を見たら思い出してください」の言葉が胸をえぐるのです。そして極めつけなのがポケベル。「ニューメディア、ディスプレイ・ポケットベル」の言葉だけでもひっくり返りそうになりますが、あの暗号文化をすっかり忘れ去っている事にも驚く。ご丁寧に「555-1(原宿店へ直行せよ)」「18-30 [22](18時半にいつものカフェで)」と表示と内容を並列しているのですが、懐かしさと同時にこれで会話をしていた当時の自分が異星人に思えてくるのです。もちろん、電話会社だけではない。今や絶滅したカメラのフィルムが大々的に宣伝され、カセット・テープは「CD対応」が売り。そんな中でハッと我に返るのがフライドチキンのCM。美味そうな鶏肉は時代を超えるのか、現在流されても一切違和感がないのです。考えてみれば当たり前ではあるのですが、そこでビックリするほど他のCMの時代感が強烈でもあるのです。機関銃が快感なセーラー服さんが「好きです」とつぶやいて(激萌え必至!)幕を閉じる本作。ショウだけでも若くキレッキレなマイケルが眩しい大傑作プロショットですが、さらに(普通なら排除される)CM群が挟まることで濃厚な80年代文化が一気に吹き出してくる。後半の音声にわずかなトラッキング・ノイズがある(映像は超美麗)のでプレス化は逃しましたが、まさに永久保存級の文化遺産です。渋カジ気取った男性客も、肩パッド盛り盛りな女性客も、サウンドボード音声のスキマから漏れるひらがな発音の「まいけるぅぅ!」さえもが涙腺を刺激してくる。「洋楽」という言葉は単に「外国の音楽」という意味ではなく、それを愛する私たちの個性であり、生き様でもありました。それを時代の薫りごと表現してくれる時代の1枚です。「1987年9月27日:横浜スタジアム公演」のマルチカメラ・プロショット。ソロ初来日を象徴するTV特番で、合間のCMもそのまま収録した放送完全版です。コアな記録マニアによる極上マスターはダビング痕も経年劣化もなくまるで公式LDでもリリースされていたのかと思うような映像美。『LIVE AT WEMBLEY』では観られない「Off The Wall」やTHE JACKSONSナンバーの他、巨大な携帯電話やポケベルなど、時代感満点の懐かCMもたっぷりのタイム・カプセルな大傑作です。 Yokohama Stadium, Yokohama, Japan 27th September 1987 PRO-SHOT(UPGRADE!!!) (108:48) 1. Intro 2. Wanna Be Startin' Something 3. Things I Do For You 4. Off The Wall 5. CM ★トークの日「お姉ちゃん、いやらしー!」 6. Human Nature 7. Heartbreak Hotel 8. CM ニューメディア:ディスプレイ・ポケットベル ([1-30] 2-30→会議開始2時半に変更/555-1→原宿店へ直行せよ/18-30 [22]→18時半にいつものカフェで)「0120で始まる電話番号を見つけたら、それはフリーダイヤル。鉄棒する猫を見たら思い出してください」CD対応(?)カセット・テープ「CDに相応しいテープが欲しい」9. She's Out Of My Life 10. I Want You Back 11. The Love You Save 12. I'll Be There 13. Rock With You 14. You Are My Lovely One 15. CM 沢口○子が娘役の固定電話CM 何も変わってないケンタッキー 加山○三のタウンページCM 16. Working Day And Night 17. Beat It 18. CM 巨大な携帯電話「電話が家を出た」「こんなに凄い電話、新発売」19. Billie Jean 20. Shake Your Body 21. CM FAX「ファインモードで黒地くっきり」22. Thriller 23. I Just Can't Stop Loving You 24. CM「Bad」の替え歌CM 25. Bad 26. CM 薬師丸ひ○子「好きです(激萌え必至!)」 Michael Jackson - lead vocals Greg Phillinganes - keyboards Rory Kaplan - keyboards Christopher Currell - Synclavier, guitar Ricky Lawson - Drums, percussion Jennifer Batten - guitar Jon Clark - guitar Don Boyette - bass Kevin Dorsey - Background vocals Darryl Phinnessee - Background vocals Dorian Holley - Background vocals Sheryl Crow - Background vocals PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.109min.