この映像が収録されたのは「1998年9月26日サンパウロMONSTERS OF ROCK公演」。90年代後期は、ヘヴィメタル史上最大の受難期。METALLICAは大問題作「LOAD」「RELOAD」を連発し、かの鋼鉄神ロブ・ハルフォードをして「メタルは死んだよ」と言わしめたほど。そんな時代、メタルの命脈を繋いでくれたのが日本と南米でした。ブラジル、アルゼンチン、チリ の3ヵ国ではMONSTERS OF ROCKが開かれ、ヨーロッパやアメリカで生きる術を失いかけてきたバンドたちにやる気と活きる糧を与えていきました。ですから、この当時の南米ものは、「俺たちはまだやれる!」という気概を取り戻すような名演が目白押しなのです。さまざまなバンドが熱演を聴かせる南米プロショットですが、そのほとんどが現地テレビ放送のエアチェックで、現在の感覚ではクオリティ的に厳しいものが多いのも事実。しかし、本作はその貴重な例外。「これが90年代の南米!?」というほどのクリア画質&サウンドなのです。本来であれば、本編のライヴアル バムと同じく“YOUTHANASIA JAPANESE TOUR 1995”の映像を付属させるところですが、あまりにも貴重なクオリティゆえにこちらを選択しました。それほどのクオリティで迫るMEGADETHは、やはり素晴らしい。ニック・メンザからジミー・デグラッソに交代しているため、一般的には全盛期とは思われていませんが、ジミーのドラミングも捨てたものではない。“骨の髄までメタルキッズ”なニックの前ノリドラムが素晴らしいのは言うまでもありませんが、数々のセッションもこなしてきたジミーは、テクニック&安定感ではニック以上で、グルーヴも豊か。その上でマーティ・フリードマンの泣きが冴えまくるアンサンブルは、それこそMETALLICAのラーズ・ウルリッヒ&カーク・ハメットばりのダイナミズムを聴かせてくれるのです。そんなアンサンブルが活 きるセットリストも美味しい。残念ながら本作はフルセット収録ではありませんが、「Wake Up Dead」以外は「RUST IN PEACE」「COUNTDOWN TO EXTINCTION」「YOUTHANASIA」「CRYPTIC WRITINGS」の4作からセレクトされており、黄金期のメロディアス・メタルの旨味がたっぷりです。「METALLICAに追いつけ、追い越せ!」スタートしたMEGADETH。思えば、その気迫が込められていたのは、この頃が最後でした。この後は、マーティの脱退から歯車が狂い、迷走と原点回帰の末に“METALLICA超え”の野心さえ、どこかへ消えていった。そんな時代感覚をオフィシャル映像に さえ肉薄するクオリティで見られる傑作映像。 Live at Monsters Of Rock, Sao Paulo, Brazil 26th September 1998 PRO-SHOT 1. Secret Place 2. Holy Wars... The Punishment Due 3. Reckoning Day 4. Wake Up Dead 5. Hangar 18 6. Sin 7. Tout Le Monde 8. Trust 9. Sweating Bullets 10. Symphony Of Destruction PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.46min. Dave Mustaine - Guitar & Vocals David Ellefson - Bass & Vocal Marty Friedman - Guitar & Vocals Jimmy DeGrasso - Drums