ドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』の起用で「Master Of Puppets」がまさかのシングル・ヒット中のMETALLICA。超極上フル・プロショット連発も話題を呼んだ2022年の締めくくり(?)ともなる最新弾が登場です。そんな本作が撮影されたのは「2022年7月28日シカゴ公演」。今や世界有数の超巨大フェスとなった”ロラパルーザ”に出演した際のマルチカメラ・プロショットです。本稿に目を留められた方ならご存知と思いますが、今年のMETALLICAはオフィシャル級プロショットが連発。なんと本作で9作目になります。しかも本作はこれまでとはちょっとポジションが違う。その意味をご説明するためにも、今一度スケジュールを振り返ってみましょう。・2月25日:ラスヴェガス公演・4月27日ー5月12日:南米(6公演)←※6作品・5月27日+29日:北米#1(2公演)・6月15日ー7月8日:欧州(11公演)←※2作品・7月28日ー8月14日:北米#2(3公演)←★ココ★これが2022年のMETALLICA。ツアー冒頭の南米6公演がすべてプロショット化して衝撃を呼びましたが、その後の「欧州」レッグでも2作品『PINKPOP 2022(Shades 1549)』『ROCK WERCHTER 2022(Shades 1562)』が登場。前代未聞のプロショット大豊作の様相を呈しました。しかし「北米#1」からはプロショットがなく、「北米#2」も3公演のみ。さすがにもう打ち止めだろう……そう思われたところで登場したのが本作です。”ロラパルーザ”と言えば1996年の初参加が激論を呼んだのも懐かしい話ですが、現在では他国製フェスへとへ拡大。今年はアルゼンチン、チリ、ブラジル、フランスでも開催されましたが、METALLICAが出演したのは原点シカゴ公演でした。つまり、南米でも欧州でもない本国プロショットなのです。グダグダと状況を説明したのにも意味があります。本作のクオリティは、北米だからこそ実現した最高傑作。8作品のうち1本でも体験された方なら完全オフィシャル級の画質・音質に「これ以上なんてあり得るか?」と思われるでしょうが、あり得たのです。その要はカメラワーク。視点がどんどん変わるマルチカメラなのですが、その1カット1カットが練りに寝られてすべてのシーンが画になっている。ステージと群衆の対比はもちろん、シカゴの遠景と会場の対比、巨大スクリーンと遠景の対比、そのスクリーン映像の中身とメンバー1人の対比まで練り込まれ、しかも1画面内の構図も配置バランスも非常に美しい。どのカットもCDジャケにできそうなほどキマっているのに、それがグリグリと動き、3次元で視点を変える為に異様にダイナミック。さすがエンターテインメントの本場アメリカであり、世界有数の巨大フェス”ロラパルーザ”。単に画質/音質の良し悪しで語ってきた「オフィシャル級」とは次元の違う「真なるオフィシャル級」とでも呼ぶしかない超絶の映像美です。そんな美学レベルのクオリティで描かれるのは、これまでで最もバランスの優れたフルショウ。ここでその内容も整理しておきましょう。クリフ時代(7曲)・血染めの鉄鎚:Whiplash/Seek & Destroy・ライド・ザ・ライトニング:Creeping Death/For Whom The Bell Tolls/Fade To Black・メタル・マスター:Battery/Master Of Puppets それ以降(9曲)・ブラック・アルバム:Enter Sandman/Wherever I May Roam/Nothing Else Matters/Sad But True ・その他:One/The Memory Remains/Whiskey In The Jar/Dirty Window/Moth Into Flame ……と、このようになっています。この日初登場となるようなレア曲はないのですが、網羅感が素晴らしい。「The Memory Remains」「Whiskey In The Jar」「Dirty Window」と各時代から幅広く選びつつ、それぞれ1曲止まりというのがミソ。主軸はあくまで初期3作のスラッシュ曲と『ブラック・アルバム』の名曲群。オープニングの「Whiplash」から豪快にかっ飛ばしつつ、要所要所でヘヴィにメロディックにと表情を変える。流れの巧さもあって「速くて多彩な40年」の集大成が味わえるのです。2022年の予定はあと2公演。まだ確実ではありませんが、恐らく本作がフル・プロショット大豊作の最終作となるのではないでしょうか。それに相応しいほど決定的なクオリティとショウが楽しめる傑作です。「真打ちは遅れて登場する」を体現する1枚。「2022年7月28日ロラパルーザ公演」のマルチカメラ・プロショット。世界有数の超巨大フェスだけあって、そのクオリティは完全オフィシャル級……以上。その要はカメラワークで、練りに練られてすべてのシーンが画になる。どのカットもCDジャケにできそうなほどキマっているのに、それがグリグリと動いて異様にダイナミックです。ショウは各時代から幅広くセレクトしつつ、主軸はあくまで初期3作と『ブラック・アルバム』。「速くて多彩な40年」の集大成を味わえる美学レベルのプロショットです。Grant Park, Chicago, IL, USA 28th July 2022 PRO-SHOT 1. The Ecstasy Of Gold 2. Whiplash 3. Creeping Death 4. Enter Sandman 5. The Memory Remains 6. Wherever I May Roam 7. Nothing Else Matters 8. Dirty Window 9. Sad But True 10. Whiskey In The Jar 11. For Whom The Bell Tolls 12. Moth Into Flame 13. Fade To Black 14. Seek & Destroy 15. Battery 16. One 17. Master Of Puppets PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.126min.