「ロック+クラシックの融合」に新次元の回答を示した『新世紀』。そのライヴ篇となる廃盤オフィシャル映像がリリース決定です。そんな本作の正体は「2001年6月17日オーチャードホール」で撮影されたマルチカメラ・プロショット。オーケストラとの共演コンサートを記録した『CONCERTO SUITE FOR ELECTRIC GUITAR AND ORCHESTRA IN E FLAT MINOR LIVE』です。『新世紀』は1998年発表でしたが、コンサート演奏されたのは3年後。当時は『WAR TO END ALL WARS』時代でもあり、通常のバンド・ツアーとも平行していました。そんな状況を理解する為にも、ここで当時のスケジュールを紐解いておきましょう。2000年・6月10日ー17日:欧州(5公演)《11月7日『WAR TO END ALL WARS』発売》・11月16日ー12月16日:北米#1(22公演)2001年・3月11日ー4月12日:北米#2(26公演)・5月1日ー6月9日:欧州(32公演)*6月15日:すみだトリフォニーホール*6月17日:オーチャードホール ←★本作★・6月30日ー7月7日:台湾/韓国(3公演)・7月10日ー22日:日本(10公演)・9月20日ー10月6日:中南米(9公演)※注:「・」印は通常のバンド公演で、「*」印はオーケストラとの共演公演。 これが2000年/2001年のイングヴェイ・ヨハン・マルムスティーン。“WAR TO END ALL WARS Tour”で「北米→欧州」と進んだところで来日。ここでオーケストラ共演を2公演行い、一度台湾/韓国へ。そして1ヶ月もしないうちに今度はバンド形式で再来日するという強行軍でした。本作は、たった2公演だけだったオーケストラ共演来日の2日目で収録されたわけです。この映像は翌2002年にはオフィシャル作品化も実現したわけですが、それも20年前の話で、とうの昔に廃盤。現在では入手困難なミント・クオリティ盤から精緻に復刻されたのです。元が公式作品だけに、そのクオリティは当然の事ながら完全オフィシャル級。イングヴェイの場合、たとえオフィシャルでも粗雑な事が珍しくありませんが、本作に限ってそれはない。彼の公式コレクションでも最高傑作にあたるものでしょう。そして、その内容。ライヴアルバム化もされているのでご存知の方も多いと思いますが、『新世紀』全編を中核に据えつつ、前後には歴代のオリジナル名曲をオーケストラ共演アレンジで披露しています。ここで、そのセレクトも整理しておきましょう。・序盤:Black Star Overture(オケのみ)/Trilogy Suite Op. 5, The First Movement/Brothers・メイン:新世紀(全曲)・アンコール:Blitzkrieg/Far Beyond The Sun・ボーナス映像:Evil Eye(★)※注:「★」印はライヴアルバム版には未収録。……と、このようになっています。「Evil Eye」は本編から独立したボーナス・コンテンツとして収録されていますが、この曲はライヴアルバム版では聴けない貴重なオーケストラ共演。実は、本作で一番の見どころかも知れません。この他にもバックステージ映像やインタビュー、フォトギャラリー等々、多彩なボーナス・コンテンツが追加収録。どんなものが喜ばれるのか定まっていない、いかにもDVD初期らしい素材が楽しめます。「ロックとクラシックの融合」は60年代から続く命題ではありますが、そのほとんどが「バンド+オーケストラ」形式。そんな中でイングヴェイは「エレキのソリストとしてオーケストラと共演」というまったく異なる次元の音楽でした。しかも、単に革新的なだけでもなかった。『新世紀』はまったくもってクラシック的でありつつ、いつも通りのイングヴェイ・メロディに溢れ、既存曲のアレンジも元からオーケストラ演奏が想定されていたかのように自然。「有名フレーズを借用」といった次元ではなく、常にクラシックを土台に作曲・演奏してきたイングヴェイだからこそ可能な音楽でもあり、だからこそ誰も『新世紀』に追随することができないでいるのです。本作は、そんな『新世紀』世界を目で観、生演奏で楽しめる映像作品。演奏の精度にケチを付ける事はできるでしょうが、それは問題ではありません。「その手があったか!」的なコロンブスの卵でありつつ、マネしたくてもきない音楽の独創なのです。本来であれば、永遠に廃盤が許されないはずの画期的な映像作品。オーケストラ共演プロジェクトの映像作品がリリース。ライヴアルバム版にはない「Evil Eye」をはじめ、多彩なボーナスも美味しい映像版です。 Orchard Hall, Tokyo, Japan 17th June 2001 PRO-SHOT 1. Intro 2. Black Star Overture (Orchestra Only) 3. Trilogy Suite Op. 5, The First Movement 4. Brothers 5. Icarus Dream Fanfare 6. Cavallino Rampante 7. Fugue 8. Prelude To April 9. Toccata 10. Andante 11. Sarabande 12. Allegro 13. Agagio 14. Vivace 15. Presto Vivace 16. Finale 17. Blitzkrieg (Encore) 18. Far Beyond The Sun (Encore) Bonus Tracks 19. Evil Eye 20. Behind The Scenes 21. Interview #1 22. Interview #2 23. Interview #3 24. Interview #4 PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.86min.