本作に記録されているのは「1977年12月20日ラーゴ公演」。そのマルチカメラ・プロショットです。別DVDとの違いは(タイトルにもある通り)ずばりアングル。別DVDはあくまで従来と同じ映像の完全/アップグレード版だったわけですが、本作は使用されていない光景も登場する別編集版なのです。その違いは冒頭から明らか。これまでのマスターは開演前シーンにミラーボールの映像を重ねる演出が施されていました。これは公式版であれ、カウンター付きの流出版であれ、別DVDでも同じです。しかし、本作はそうした重ね処理がなく、シンプルな会場風景のみなのです。その後、お約束のアナウンスに導かれてド派手に「I Stole Your Love」が始まるわけですが、ここでもまるで違う。別DVDではエレベーター式に降りてくるメンバーを様々なアングルで見せていくわけですが、本作ではステージ全景のままなのです。これらのことから想像するに、どうやら本作は途中編集バージョンのようです。本作も間違いなくマルチカメラ編集ではあるものの、別DVDに比べてアングルの切り替えが少なくシンプルな仕上がり。完成形(=別DVD)に向かって練り込んでいく途中の試作バージョンのように見えるのです。1曲目「I Stole Your Love」の後半からは別DVDと同じになり、その後しばらくはまったく同一の映像が続く。「なんだ違うのは最初だけか……」と思ったところで丸っきり変わるのが5曲目「Love Gun」以降。基本的にスイッチングが少ないという盗聴は同じものの、見覚えのない光景が繰り出される見応えは一気に上昇します。しかも、未使用のシーンの生々しさは別DVD以上。作品感は一歩譲るものの、ライヴ感は本作の方が上回るくらいです(ベースソロではジーンの顔芸が長ーく見られたりします)。さらに驚きなのが「Let Me Go, Rock And Roll」の終演後。別DVDでは早々に次曲「Makin' Love」が始まりますが、本作は曲間も収録しているのです。間延びするので削られたのでしょうが、これまで未公開だったカットシーンも収録しているわけです。何とも衝撃な「別編集版マスター」ですが、残念ながらこちらは完全収録ではない。「God Of Thunder」中のドラムソロで終了しており、その後の4曲は未収録でした。しかし、それでも1時間以上。映像/音声クオリティは別DVDと変わらず、本作自体が絶頂期の超傑作でもあるわけです。 別DVDでは観られない光景がたっぷり楽しめる「別編集版マスター」。別DVDとシンクロ再生させても面白く、じっくり見入っても最高な1枚です。歴史の闇に埋もれさせるわけには行かない「もう1本の衝撃発掘」。(61:26) 1. Introduction ★別編集 2. I Stole Your Love ★別編集 3. King Of The Night Time World 4. Ladies Room 5. Firehouse 6. Love Gun ★別編集 7. Let Me Go, Rock 'N Roll ★別編集★長尺 8. Makin' Love ★別編集 9. Christine Sixteen ★別編集 10. Shock Me ★別編集 11. Guitar Solo ★別編集 12. I Want You ★別編集 13. Calling Dr. Love ★別編集 14. Shout It Out Loud ★別編集 15. Bass Solo ★別編集 16. God Of Thunder ★別編集 17. Drum Solo ★別編集