初来日から43年を経て、想い出の地“日本武道館”で栄光の歴史を振り返ったジミー・ペイジ。日本独自で製作された貴重なドキュメンタリー番組がリリース決定です。そんな本作に収められているのは、かつては土曜深夜だった某公共放送の音楽番組“SONGS”。2014年に放送されたLED ZEPPELIN特集回です。日本の洋楽ドキュメンタリーというとBBCやMTV制作の番組を翻訳して放送する事も多いのですが、この番組は日本の独自制作。ジミー・ペイジと日本武道館を訪れ、伝説の初来日を中心にLED ZEPPELINの想い出を語るのです。その切り口は、入門/再入門向け。そもそも30分枠でディープに掘り下げるなど不可能なわけですが、当時はIV・聖なる館・フィジカル・グラフィティのリマスター再発のタイミング(発売日の4日前)。より広く、一般層の興味を喚起するつくりになっているのです。そのため、ペイジのコメントも細かいディテールよりは時代を俯瞰的に捉えたものが多く、マニアもびっくりな新事実はない。その一方で、古希を迎えた御大が日本武道館を散策し、感慨深げに客席を見渡す姿はマニアこそ胸を打たれる。思えば、COVERDALE/PAGEやPAGE PLANTの来日公演でも日本武道館はメイン会場。彼にとっての「BUDOKAN」は日本そのものであり、キャリアを通じた想い出の詰まった会場なのでしょう。そして、この番組はその感慨に応えるようにヴィンテージで気品がある。LED ZEPPELIN結成から絶頂→解散→再結成という歴史を駆け足で追いかけつつ、様々な記録映像を超極上クオリティ版でふんだんに使い、その時々の感情を思い起こす御大のコメントも噛みしめるように重いのです。特にヘヴィなのは、やはりボンゾが亡くなったくだりでしょうか。「ジョン・ボーナムがあなたの家で亡くなった時どう思いましたか?」という質問に対して、じっっっっくりと間を置いて「君はどう思うかな? どうだろう? 彼は血を分けた兄弟も同然だった」と口を開く。言葉を文字で起こすとどうという事もないのですが、その前の沈黙が重い。永遠にも感じられる大気、その表情。34年を経て、何百回も繰り返されたであろう質問でも言葉が出てこない。あらゆる想いが猛スピードで駆け巡ると同時に、時が止まっている重量感。これこそ、映像作である本作最大の見どころでもあるのです そして、その品格を決定づけているのは、ラストに流される「天国への階段」。1975年アールズ・コートのお馴染み映像で、約10分のフルバージョンをノーカットで流しています。いくら歌詞字幕が付くとは言ってもそれほど貴重とは言えないわけですが、ポイントなのは本体ドキュメンタリー約20分に対しての「1曲=約10分」というところ。どう考えても番組制作のセオリーを度外視しており、普通なら手抜き批判が怖くてやれない荒技。それでもなお、制作陣が胸に秘める「ZEPの輝き」を真っ正面から表現しており、そう確信させるほど他の1シーン1シーンが丁寧に作り込まれてもいるのです(そうでなかったら公演もないのにわざわざ武道館を押さえ、ペイジ本人を連れて行ったりしないでしょう)。当時はまだ再発リストになかったせいか『プレゼンス』や『イン・スルー・ジ・アウト・ドア』も出てこないドキュメンタリーはあまりにも駆け足すぎ、全体の1/3を丸々1曲に費やすバランスは極めて不格好。しかし、だからこそ制作陣が伝えたい「核」がムキ出しにもなっている映像特番です。一見ものすごく素人向けで分かりやすく、たゆたう空気感がディープにマニア心をくすぐる。まさしく他では味わえない珍味の1枚。~4人の絆が生んだ天国への階段~ Featuring exclusive interviews with Jimmy Page 1. Introduction 2. Immigrant Song ★歌詞字幕 3. First Visit To Budokan 4. Formation Of Zeppelin 5. 1st & 2nd Album 6. Whole Lotta Love 7. 3rd & 4th Album 8. Toward The Top And Failure 9. Celebration Day 10. Stairway To Heaven PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.29min.