『SONG TO SOUL』における「Hotel California」もまた「神回」とよべる傑作エピソードではないでしょうか。何しろこの回では作曲した当事者であるドン・フェルダーが登場。作曲した際のエピソードを語ってくれるのはもちろん、そこからバンドによって曲が形作られて言った様子を生々しいほどに打ち明けてくれるのです。彼が取材に応じてくれただけでも既に充実ぶりは約束されたようなものですが、この神回ぶりにとどめを刺したのが「イーグルスのジョージ・マーティン」ことプロデューサーのビル・シムジク。彼によって文字通り魔法を使ったプロデュースぶりまで解き明かしてくれる。中でも衝撃的だったのは「Hotel California」には33か所もの編集がある…と打ち明けてくれたところ。そこに加えてフェルダーは後半のギターソロを再現。器用な人なので対比したジョー・ウォルシュのフレーズまでコピーして弾いてみせたのは舌を巻くほど。とどめは先日訃報が伝えられたランディ・マイズナーにまで取材してくれたことで、今となっては貴重なことこの上ない回となってしまったのです。もっとも往年のイケメンぶりからかけ離れてしまた彼のルックスは、歳を取ってむしろ俳優のようなルックスに生まれ変わったフェルダーとは何とも対照的なのですが。とはいえ非常に充実した回に仕上がった事は疑いようがなく、番組の後半ではジャケット撮影を担当したジョン・コッシュまで登場。『ABBEY ROAD』や『LET IT BE』での仕事によってビートルマニアには知られた存在でしたが、その後アメリカに渡ってアルバム『HOTEL CALIFORNIA』のジャケを依頼されており、あの印象的なジャケのロケーションを説明してくれます。何より驚かされるのが、この回が2010年に放送されたという事実。その後バンド側から公式に『駆け足の人生』という映像ヒストリーがリリースされましたが、それ以前で一介のテレビ番組がこれほどまで充実した「Hotel California」ドキュメンタリーを作り上げていたことには驚きを禁じえません。おまけにシムジク提供によってセッション中のおふざけまで公開されるのですが、これこそ『駆け足の人生』に踏襲された手法でもあったのです。そして冒頭とエンディングではおなじみ77年ランドーバーでの「Hotel California」が流されるのですが、『駆け足の人生』以降おなじみとなっているリマスター画質には劣るものの、それとはカメラ割りがまるで違うので馬鹿にできません。むしろ古くから音楽番組などで流されてきたこちらのバージョンが懐かしく感じられるかと。このように『SONG TO SOUL』史上に残る名作となった「Hotel California」。再放送されなくなって久しかった神回を最高画質で、なおかつあなたのお手元でいつでも好きな時にご覧あれ。Broadcast Date: 7th February 2010 Featuring exclusive interviews with Don Felder, Randy Meisner (RIP) & Bill Szymczyk(Producer) and John Kosh(Art Designer), Charlie Turner (Radio DJ) 1. Programme Intro 2. Segment 1 3. Segment 2 4. Segment 3 5. Segment 4 6. Segment 5 PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.47min.