クラプトンの一つのピーク「ジャーニーマン・ツアー」の未公開完全収録オーディエンスショット映像がまたも出現!エリック・クラプトンの90年の「ジャーニーマン・ツアー」と言えば、中盤にアコースティックセットを設けることなく、徹頭徹尾エレクトリックでギンギンにロックしていたステージで、そこでのクラプトンの弾き捲りぶりは長い彼のキャリアでも一つのピークだったと考えられています。さらにロングヘアにジャンニ・ベルサーチのドレススーツを身に纏ったメガネなしのルックスは非常にかっこいいもので、特に人気の高いツアーでした。過去にはBBCで放映された1月24日の4ピースバンドの有名なプロショット映像を始め、南米ツアーのフルライブ映像など、優れた映像には恵まれたツアーですが、オーディエンスショットが意外に少ない中、突如8月14日のアメリカンツアー・セカンドレグ、フィラデルフィア公演の素晴らしい完全収録オーディエンスショット映像が出現しました。これまで完全に未公開だったものです。アングルはステージに向かって左45度くらいの2階スタンドからのもので、前方には一切障害物がない状態で良好に収録されています。クラプトンの全身をアップで捉えており、収録されたのがVHS時代でしたから若干ピントは甘いものの、表情まで分かるレベルです。この日のクラプトンのルックスは、白のラメ入りストライプの入ったブラックパンツにブラックのポロシャツというシックな姿です(このコーディネイトは珍しいです)。方向的にギターがよく見え、ベストアングルと言えます。三脚でしっかり固定しながら、終始クラプトンを的確に捉えながら。バンドメンバーにもカメラを振ったりと気の利いた工夫もあり、かっこいいクラプトンのステージに観入ってしまいます。しかも音声もなかなか良好なモノラル・オーディエンス録音のため、よりこの映像の魅力をアップしています。とにかくこの映像は凄いです先般リリースしました「Frankfurt 1990 The Video」と同等のクオリティと申せば、ご納得いただけるでしょう。ファンなら観て損はないレベルの映像です。45歳の弾き捲るクラプトン。セットリストが魅力!それでは1990年の「ジャーニーマン・ツアー」の日程を振り返ってみましょう。《1989年11月7日:アルバム「JOURNEYMAN」リリース》・1月14日~2月10日:ロンドン、ロイヤル・アルバート・ホールにて18夜連続公演「18 Nights」を含むイギリス国内ツアー・2月14日~3月5日:北欧を含むヨーロッパツアー ・3月24日~5月5日:アメリカンツアー・ファーストレグ ・6月6日:ニューヨーク、レキシントンのアーモリーにて、「インターナショナル・ロック・アワード」受賞・6月30日:イギリス、ネブワースにて行われた「シルバークレフ・アワード・ウィナーズ・コンサート」(通称ネブワース・フェスティバル)に出演・7月21日~9月29日:アメリカンツアー・セカンドレグ ←★ここ★・10月3日~10月21日:南米ツアー・11月7日~11月29日:オセアニア&東南アジアツアー・12月4日~12月13日:ジャパンツアー これを見ると、文字通りのワールドツアーに明け暮れた年だったことがお分かりいただけるでしょう。その中にあって、この日はヨーロッパツアーの最終日、ロンドンで「18Nights」を成功させて脂が乗ってきた時期であり、一つの節目を迎えたタイミングでもありました。クラプトンの気合が入らないわけがありません。オープニングから飛ばし捲っています。各曲のギターソロはもうギンギンの弾き捲りです。セットリストには当時の最新アルバム「JOURNEYMAN」からのナンバーが6曲も組まれており、あの名盤の楽曲のライブ映えするバージョンを目にすることができます。そのほかにも、I Shot The Sheriffの後奏は鬼気迫るレベルですし、White Roomのワウワウソロもキレッキレです。Bad Loveのチョーキングの凄いこと!そしてサビのコーラスでは、まだオリジナルのボーカルラインを崩さず歌っています。Old Loveの泣きのプレイもぐっと来ます。こんな風に観どころを挙げていくと、枚挙に暇がなくなってしまいます。CocaineもLaylaも凄いです。Cocaineのファーストソロでは、クラプトンがバックステージ席のオーディエンスの所まで行ってプレイするというサービスもあります。またこの曲のセカンドソロでアラン・クラークがプレイするシーンでは、何と彼の下にクラプトン、フィル・パーマー、ネイザン・イースト、グレッグ・フィリンゲインズの4人が集合して盛り上げるという、珍しい場面も観られます。「ジャーニーマン・ツアー」では連日このレベルのノリノリパフォーマンスが展開されていたのですね。Cocaineのイントロに繋がるバンドメンバー紹介では、現在クラプトンのバックコーラスを務めるケイティ・キスーンの若かりし頃の姿も見ることができます(若い!可愛い!)。LaylaのイントロとしてプレイされるA Remark You Madeでは、クラプトンが女性コーラスの二人と並び、椅子に腰かけて取り敢えず一服しているシーンもあります(それでもセンス抜群のソロを挿入しています)。この日のSunshine Of Your Loveのソロでは、スタンダードナンバーのBlue Moonの一節は演奏せず、とことんアグレッシヴなフレーズで突っ走っています。いろいろ観どころの詰まった興味深いステージです。クラプトンが自ら「世界最高のバンド」と称えた、このツアーのみのサポートミュージシャンたち このツアーをここまでクオリティの高いものにしたのは、実力のあるバンドメンバーに負うところが大きかったと言えます。ベースのネイザン・イースト、キーボードのグレッグ・フィリンゲインズ、ドラムのスティーヴ・フェローン、コーラスのテッサ・ナイルズ&ケイティ・キスーンは86年の「AUGUST」以来の信頼関係にあるメンバーで、クラプトンとの呼吸を知り尽くした人たち。セカンドギターのフィル・パーマーは89年からバンドに加わったセッションマン上がりの実力派のプレイヤーでした。決して「七光り」ではありませんが、キンクスのデイヴィス兄弟の甥に当たる人で、まったくミストーンのない的確で器用なプレイぶりは大いにクラプトンをフォローしていました。クラプトンにスカウトされたきっかけは、86年のイギリスのシンガーソングライター、ポール・ブレイディのアルバムセッションで出会い、88年のプロデューサー兼アーティストのジョン・アストリーのアルバムセッションで再会したことだったようです。キーボードのアラン・クラークは、87年のジャパンツアー時に フィリンゲインズのスケジュールが合わなかった際にクラプトンが親交のあるダイアー・ストレイツのマーク・ノップラーに相談して借り受けた人物でした。ダイアー・ストレイツでもシンセ担当のガイ・フレッチャーとの対比、役割分担をうまくこなしていた彼なので、クラプトンバンドでもフィリンゲインズとのすみ分けは見事です(フィリンゲインズはピアノとシンセ、クラークはオルガンメインです)。そしてここにイギリスでは古参のパーカッショニストであるレイ・クーパー(元エルトン・ジョン・バンド)がいました。Sunshine Of Your Loveの中盤では、フェローンとクーパーによるドラム&パーカッションソロバトルが繰り広げられ、オーディエンスともコール&レスポンスをやっています。最初から最後まで会場は大盛り上がりです。The Spectrum, Philadelphia, PA, USA 14th August 1990 AMAZING SHOT!!! 01. Pretending 02. No Alibis 03. Running On Faith 04. I Shot The Sheriff 05. White Room06. Can’t Find My Way Home 07. Bad Love 08. Before You Accuse Mem09. Old Love 10. Badge 11. Wonderful Tonight 12. Cocaine 13. A Remark You Made 14. Layla 15. Crossroads 16. Sunshine Of Your Love Eric Clapton - guitar / vocals Phil Palmer - guitar Greg Phillinganes - keyboards Alan Clark - keyboards Nathan East - bass / vocals Steve Ferrone - drums Ray Cooper - percussion Katie Kissoon - backing vocals Tessa Niles - backing vocals COLOUR NTSC Approx.115min.