真のオリジネイター、ジョン・アンダーソンによる最新型YESミュージックが話題のARW(アンダーソン・ラビン・ウェイクマン)。その最新にして極上のライヴアルバムが登場です。当店では、新プロジェクト始動初日の『ORLANDO 2016(Amity 364)』からライヴアルバムでレポートしており、今回で4作目。本作は「2016年11月2日バッファロー公演」を収めたオーディエンス・アルバムです。今回最大のポイントは何と言っても極上のサウンドにあるのですが、まずはコンサートの位置づけから確認してみましょう。
・10月21日ウォーリングフォード公演『WALLINGFORD 2016』 ・10月22日ハンティントン公演 ・10月24日モントクレア公演 ・10月26日レッドバンク公演 ・10月28日アトランティック・シティ公演 ・10月29日アクロン公演 ・10月30日ピッツバーグ公演 ・11月1日ニューヨーク公演 ・11月2日バッファロー公演 【本作】
以上は、前回レポートした『WALLINGFORD 2016』から本作までの道のりです。ウォーリングフォード公演はツアー10公演目であり、本作は18公演目。現在、進行中の北米ツアーは全36公演の予定ですから、ちょうと折り返し地点に来たわけです。先ほども述べた通り、そんな本作最大の旨みは、素晴らしすぎるサウンド。今回で4本目のご紹介となるわけですが、間違いなく本作こそがベストです。その楽音・歌声は「まるでサウンドボード」と呼ぶに相応しく、芯も極太ならクリアさもバツグン。オーディエンス録音では弱点になりがちな重低音も艶やかで、それこそベースは会場の壁まで震わせるのが伝わり、ドラムもささやかな1打に至るまで鮮やか。特に、このARWは、サポートのはずのリズム隊が新鮮さの要にもなっており、そのパワフルで自由なリズムワークが克明に聴き取れるのです。もちろん、主役3人も超鮮明。歴代YESメンの中でも、華やかさと技巧が両立するトレヴァー・ラビン&リック・ウェイクマンの凄まじい美技。それが細かなギターのピッキングからエレピのタッチに至るまで、1音残らず耳に流し込まれる。詳しい録音ポジションまでは分かりませんが、ダイレクト感たっぷりかつ、バランスも見事なサウンドは、まるでオフィシャル作品かのような完璧ぶり。いずれはARWも公式ライヴアルバムを発表するかも知れませんが、それを先取りするかのようなサウンドなのです。そこまで完璧ではあっても、本作は間違いなくオーディエンス得音。それは欠点ではなく美点でして、極々うっすらと被る会場音響が非常に美しいのです。正直なところ、ちょっと聴いただけでは「残響なんかある?」という感じなのですが、楽音の芯を微かに纏う音響が“音の美しさ”を一層引き立てている。特にその旨みが引き立つのは、ヴォーカルでしょうか。独特なジョンの声が降り注ぎ、コーラスをまとって幻想のYES世界を描き出していく。「YESミュージックにはオーディエンスが似合う」と何度書いたか分からないほどですが、その旨みが本作にも確実に息づいている。さらに、そのサウンドに一役買っているのが観客。アメリカというと、演奏中も話し込むような会場も珍しくないのですが、本作に宿る歓声はじっと耳をそばだてる集中力が凄い。1曲1曲の演奏が終わると、思い出したように(アメリカらしい)大喝采が沸き起こるのですが、そこでやっと「こんなに観客がいたのか」と驚く。それほどまでに静寂を守る観客のお陰でハイクオリティなサウンドが楽しめるわけですし、それほど観客の集中力を引き出す演奏が凄いということでもあるのです。そのクオリティで描かれる最新型“YESミュージックの夕べ”。これがもう、とんでもなく素晴らしい。これまでのライヴアルバムでもフレッシュな魅力を書き倒してきましたが、本作ではこれまでになかった「Changes」も追加。『90125』のヒット・シングルですが、これまたARW流。ラビンがメインヴォーカルを執りつつ、テクニカルなギターを聴かせ、そこにリックのオブリガートが煌びやかに装飾する。これまで幾多のYESソングスを生まれ変わらせてきましたが、また新たな極上バージョンが誕生したわけです。その「Changes」の後、クリス・スクワイアとの想い出を語るジョン。共に名曲群を生み出し、ロック史に足跡を刻んできた盟友を想いながら歌い出す「Long Distance Runaround」……。やはり、彼こそがYES。リズム隊・鍵盤・ギターがそれぞれに新味を加えていくアンサンブルの中でも微動だにしない、真のオリジネイターだけの刻印。この歌声こそ、本作はどこまでもYESなのです。いよいよ本家YESの来日公演が迫ってきました。そちらはそちらでアラン・ホワイトの復帰も報じられ、期待は高まるばかりです。そんな2016年の秋、“もう1つのYES”が産声を上げ、絶品のYESソングスを奏でてくれています。千変万化のキャリアを重ねてきたバンドだけに、今さら「どちらが本物か」と議論するのも野暮ですが、競い合うからこそ輝きは増すもの。2つのYESを並び愉しめる“今”を満喫する最高の逸品。
Live at University At Buffalo Center for the Arts, Buffalo, NY. USA 2nd November 2016 TRULY PERFECT/ULTIMATE SOUND
Disc 1(66:31)
1. Symphonic Music (Perpetual Change Theme) 2. Cinema 3. Perpetual Change 4. Hold On 5. I've Seen All Good People 6. Drum Solo 7. Lift Me Up 8. And You And I 9. Rhythm Of Love 10. Heart Of The Sunrise
Disc 2(71:30)
1. Jon & Rick MC 2. Changes 3. Long Distance Runaround 4. The Fish (Schindleria Praematurus) 5. The Meeting 6. Awaken 7. Make It Easy 8. Owner Of A Lonely Heart 9. Roundabout
Jon Anderson - lead vocals Trevor Rabin - guitars Rick Wakeman – keyboards Lee Pomeroy - bass Lou Molino III – drums





























