ストーンズの1976年ヨーロッパ・ツアーと言えばオフィシャル「LOVE YOU LIVE」で中核を成した6月のパリ公演の印象が強いものですが、それ以前におけるツアー序盤の模様を伝えてくれたレア音源として昔から有名なのが4月29日のフランクフルト公演。LPの時代から不完全ながらステレオ・サウンドボード録音が流出していたことでマニアにはおなじみのライブ。LP一枚に収まってしまう収録時間の短さが大きな欠点ではありますが、ちゃんとステレオに分離したミックス状態が非常に聴きやすく、しかも後のパリとはまったく違う雰囲気の演奏が聴かれるということで、マニアには重宝されたものです。それにステレオ・サウンドボード録音というメリットがあまりに大きく、これまでに何度もアイテムがリリースされてきました。VGPが今から二十年にリリースした「MORE THAN WELCOME TO FRANKFURT」において、サウンドボード録音では聴かれないパートを同日のオーディエンス録音で網羅(「アジャスト」というよりも「網羅」という言葉がピッタリ当てはまりました)したことからベスト・タイトルとされてきました。ただしサウンドボードのパートに関してはそれまでのものよりもヒスノイズが目立つということが指摘されており、実際にVGPも75年デトロイトの「HEAR THE WHISTLE BLOWIN'」におまけとしてヒスノイズが緩和されたサウンドボードのパートだけを収録したことがあったのです。とはいえ元がショーの半分も収録していないサウンドボード録音だったことが災いし、さらには「MORE THAN~」のオーディエンス録音パートの音質が今一つだったことが加わって、マニアの間でも思いのほかポピュラーな存在にはなり得なかったのです。ところが最近になって、この日のショーをほぼ完全収録した新たなオーディエンス録音が現れて世界中のマニアを騒然とさせました。何でも二十年前に中古レコード店に放出されていたマニアのストーンズ・コレクションの中に紛れていたテープだったとのこと。さらに驚いたことに、そうして発掘された新たな音源の音質が非常に良いのです。モノラル録音ですが程よい音像の距離感とクリアネスが素晴らしく、これまで眠っていたことが信じられないほどウォーミーな聴きやすさ。「You Gotta Move」がサウンドボードよりは長く収録されながらも、やはり演奏の序盤で録音が終わってしまった点は惜しまれますが、それに目をつぶってあまりある。「MORE THAN~」や過去のLPで聴かれたオーディエンス録音の音源とはまったく別次元。今までサウンドボードで聴き慣れてきたライブ前半に関しても今回の見事なクリアネスのオーディエンス録音で聴いてみると実に新鮮。その一方で「Honky Tonk Women」が始まるとチャーリーのドラム音が遅れて立ち上がってきたかと思えば、あるいは「If You Can't Rock Me」においてミックのマイク・トラブルといった音響トラブルがそのまま会場にも流されていたことが解って面白い!それにツアーが始まって二日目ということもあり、ライブ全体を通して後のアールズ・コートやパリで聴かれた76年らしいどっしりファンキーなグルーブ感は希薄で、むしろこの時点では前年のアメリカ・ツアーにあったワイルドさを引きずっているかのように思えます。この年のツアーを代表するレパートリーの一つ「Hey Negrita」などは新曲ということもあって驚くほど慎重(おっかなびっくりと言っていいほど)な演奏が後のパリとはこれまた別次元ですし、後に大人気となる「Fool To Cry」は発売直後ということで観客がまったく湧きません…笑。この辺りは歓声のレベルがもともと低いサウンドボードとは比べ物にならないほどリアルな臨場感を味わえるのが魅力でしょう。ストーンズのツアー序盤ならではの慎重な演奏ぶりはサウンドボード録音で聴かれないライブ中盤以降でも散見され、ビリー・プレストンが前年の「That’s Life」に代わって導入させた「Nothing From Nothing」がまたゆったり慎重な演奏ですし、前年から演奏されてきた「Outa Space」に関しても新たなアレンジを試みようとしているのか、あるいはミックの宙づりパフォーマンスが上手くいかないのか、ブレイクのタイミングの異なる面白い演奏となっています。しかしミックは絶好調で「Midnight Rambler」終盤の鬼気迫るシャウトが圧巻。そして今回の音源登場時にも同時に含まれていた、おなじみサウンドボード録音パートですが、ナチュラルかつヒスノイズが少なくて正確なピッチで収録。更に、これまで演奏が始まるか始まらないかのところで録音が終わってしまっていたことから、CDタイトルでは軒並み未収録となっていた「You Gotta Move」の断片を今回初めて収録。この断片はミックの駅弁ジャケでマニアには知られていたLP「ABSOLUTELY TOO STONED ROLL」だけで聴かれたものですが、今回は同盤からそのパートをつなげた形でCDアイテム史上における初の最長収録を実現したのです。つまり、オーディエンスとサウンドボードどちらもCDでのリリースに相応しい音質と内容にて、76年フランクフルト久々のリリースが実現します!
Live at Festhalle, Frankfurt, Germany 29th April 1976 (AUD/SBD)
Disc 1 (76:37)
1. Honky Tonk Women 2. If You Can't Rock Me / Get Off Of My Cloud 3. All Down The Line 4. Hand Of Fate 5. Hey Negrita 6. Ain't Too Proud To Beg 7. Fool To Cry 8. Hot Stuff 9. Star Star 10. You Gotta Move 11. You Can't Always Get What You Want 12. Band Introductions 13. Happy 14. Nothing From Nothing
15. Outa Space 16. Midnight Rambler
Disc 2 (63:28)
1. It's Only Rock 'n Roll 2. Brown Sugar 3. Jumping Jack Flash 4. Street Fighting Man
Extra Tracks
(Stereo Soundboard Recording)
5. Honky Tonk Women 6. If You Can't Rock Me / Get Off Of My Cloud 7. All Down The Line 8. Hand Of Fate 9. Hey Negrita 10. Ain't Too Proud To Beg 11. Fool To Cry 12. Hot Stuff 13. Star Star 14. You Gotta Move (Intro Only)





























