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Bob Dylan ボブ・ディラン/Belgium 1984

当店から初めてボブ・ディラン1984年ヨーロッパ・ツアーの音源がリリースされます。このツアーと言えばオフィシャルで『REAL LIVE』が存在していますが、そこで聴かれた意欲のない演奏ぶりが裏目と出てか、このツアーは「大味」あるいは「精彩を欠いた」イメージが強くなってしまいました。確かにそのアルバムで聴かれた演奏はどれも「無難に演奏する」というこのツアーの時のバンドの悪い部分が露呈してしまった結果であると言えるでしょう。せっかくミック・テイラーがギタリストとしてディランのバンドに参加するという大きな魅力のあるツアーである一方、テイラーの人脈から選ばれたコリン・アレンとグレッグ・サットンのリズム隊があまりに平坦であり、それがこのツアーの大味さを強めてしまった感は否めません。そんなバンドがツアー終盤ということでいよいよ形にはまった演奏を繰り広げていた中、ディランの奮闘ぶりが際立っていたのが『REAL LIVE』だったのだと言えるでしょう。そのアルバムのメインとなったツアー終盤はクラプトンやボノといった豪華なゲストがディランのステージに加わったということもあり、オーディエンス録音に関してもツアー終盤ばかりがリリースされてきたものです。しかし今回リリースとなる6月7日のブリュッセル公演を聴けば、ツアー前半の方が俄然ホットな演奏を繰り広げていたこと再認識させられることでしょう。この時期のバンドは「懸命に」ディランのバックを務めようとしている活気に溢れていて、味気ない『REAL LIVE』の演奏とはまるで違うのです。  そんなバンドを得て1984年のツアーを開始したディランですが、当初はこのバンドがどこまで自分に付いてこられるかを試そうとしていた節があります。そんな彼の思惑とバンドの懸命さがいい形で混ざり合わさったのがこの日の「All Along The Watchtower」ではないでしょうか。ここディランは演奏が始まる前からバンドをハーモニカで引っぱっており、そこから始まった演奏ではテイラーが素晴らしいリード・ギターを聴かせてくれます。それどころか演奏が後半に差し掛かると彼のリードとディランのハーモニカのバトルまで繰り広げられるアッパーな展開に言葉を失うこと間違いなし。こんな激しい演奏こそ『REAL LIVE』収録されるべきだったと思います。それほどこの日の「All Along~」は素晴らしく、テイラーがこのツアーで披露したプレイの中でも最高の瞬間を捉えたのだと断言いたします。その演奏からも分かるようにこの日のディランは絶好調で、サットンがディランの休憩用に歌ったソウル・カバー「I've Got to Use My Imagination」の後で始まったディラン一人の弾き語りコーナーにおける自身に満ち溢れた演奏ぶりがまた素晴らしい!80年代前半のゴスペル路線から戻ってきたことでアルバム『INFIDELS』が成功を収めた、それを引っ提げてツアーが行われたことも大きかったのでしょう。しかしそんなバンマス、ディランの好調ぶりに引っぱられるかのごとく、テイラーも随所で弾きまくっています。例えば「Ballad Of A Thin Man」は彼が弾くリフから演奏が始まり、さらにイアン・マクレガンのオルガンが曲を支えるアレンジというのがこのツアーならではですし、それこそストーンズっぽい雰囲気すら感じさせる「Every Grain Of Sand」のアレンジも味わい深い。それだけではありません、この日の複数存在するオーディエンス録音の中から最も音質が優れた音源を採用した結果、そのオンな音像によってテイラーのギターの迫力や生々しい音色もリアルに捉えられており、これこそリアル・ライブと呼ぶに相応しいものではないでしょうか。「Like A Rolling Stone」をテイラーとマクレガンが演奏するというのもこのツアーだからこそ実現したことであり、しかもここではディランのテンションがバリバリに高い歌と、それをサポートする彼らのプレイが感動のアンコール前エンディングを迎えます。  アンコールではこのツアーで前座を務めていたカルロス・サンタナが「Tombstone Blues」で加わりますが、やはり彼が参加したテイクが採用された『REAL LIVE』のテイクなど足元にも及ばないほど激しくロックした圧倒されること間違いなし!これが84年ツアー本来の魅力だったのです、と断言したくなる白熱の演奏をド迫力の音圧で捉えた音源で収録しました。このオーディエンス録音は「I And I」エンディングとグレッグ・サットンを紹介するディランのMCのみが欠損していますので、その部分のみ別音源を補填しましたが、それも違和感なくフィットさせてなめらかに聴き通せるようになりました。そしてボーナスにはケルン公演で演奏されたレアな二曲を収録。これがまた初CD化音源というだけでなく音質も素晴らしいオーディエンス録音です。ブリュッセル衝撃のライブ音源がリリースとなりますが、何といってもテイラー参加のステージでしかもこの土地でのライブ、そうなればタイトルは『BRUSSELS AFFAIR』に決まり! Live at Stade de Schaerbeek Stadion, Brussels, Belgium 7th June 1984 PERFECT/TRULY PERFECT SOUND Disc 1(72:33) 1. Highway 61 Revisited 2. Jokerman 3. All Along The Watchtower 4. Just Like A Woman 5. Maggie's Farm 6. I & I 7. License To Kill 8. I've Got To Use My Imagination (sung by Greg Sutton) 9. Mr. Tambourine Man 10. It Ain't Me, Babe 11. It's Alright, Ma (I'm Only Bleeding) 12. It's All Over Now, Baby Blue Disc 2(63:40) 1. Masters Of War 2. Ballad Of A Thin Man 3. Simple Twist Of Fate 4. Every Grain Of Sand 5. Like A Rolling Stone 6. Tangled Up In Blue 7. Girl From The North Country 8. Love Minus Zero/No Limit 9. Tombstone Blues (w/ Carlos Santana) 10. Why Do I Have To Choose? (w/ Carlos Santana) Bonus Tracks Mungersdorfer Stadion, Cologne, West Germany 16th June 1984 11. Leopard-Skin Pill-Box Hat 12. Just Like Tom Thumb's Blues Bob Dylan (vocal & guitar), Mick Taylor (guitar), Ian McLagan (keyboards), Greg Sutton (bass), Colin Allen (drums)

Bob Dylan ボブ・ディラン/Belgium 1984

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