東京ドームがオープンした1988年は日本がバブル絶頂期ということもあり、その夏の7月24日にはビールメーカー主催による、今で言うところのサマフェスに近いイベントが同会場を使って行われました。この日はビリー・ジョエルをトリとしてフーターズやインペリテリ(!)といった複数のアーティストが出演しています。この他にボズ・スキャッグスがこのイベントで久々の来日を果たしただけでなく、アート・ガーファンクルもソロとしては初のライブ・ステージが初めて実現しました。彼のソロ・ステージが東京ドームで見られた点がいかにもバブリーな時代らしいものですが、そのステージを捉えたオーディエンス録音がまた典型的なオープン当初の東京ドームの質感、というかエコーに包まれた音質なのです。この音源は以前もボーナス・アイテムとしてリリースされましたが、今回五年後の東京ドームでのS&Gライブのリリースに当たり、久々の復活を果たします。先の理由から音質はエコー感が強いもので、例えば当時の最新アルバムLeftyからのSo Much In Loveでは客席からの手拍子で演奏が聴こえ辛くなるなど、むしろあの頃の東京ドームの音質が懐かしさいっぱいに感じられることでしょう。しかしカセットによる録音はとてもウォーミーな質感であり、それがアートの歌い込み系サウンドのステージとマッチして十分に聴きやすいものです。原音はドーム特有の残響音を大きく拾っていますが、今回のリリースに際し、その部分を軽減し演奏を前面に押し出すイコライズを施しています。全体を通して気になっていた観客の拍手も、演奏音を損なう事無く可能な限り軽減しています。この時期、イギリスと日本で単発的なライブを行った以外、目だったライブ活動は行っていませんでしたので、この録音は本当に貴重です。オープニングからS&GクラシックのThe Sound of Silenceで掴んでみせたステージ、それはこの日ドームに集まった他のアーティスト目当ての観客にもアピールしたことでしょう。セットはS&Gナンバーに加え、当時の新作「レフティ」より3曲、さらにはジェイムズ・テイラーのカバーIf I Keep My Heart Out of Sightを聴くことができます。ピアノに故ニッキー・ホプキンスが参加しており、ニッキーのソロタイムもあり、聴き所のひとつになっています。ソロ・アルバムからのレパートリーも今ではアートの曲の定番ばかりであり、まさに「ベスト・オブ・アート・ガーファンクル」と言うべきステージを捉えた、ファン必聴の記録音源です。 Live at Tokyo Dome, Tokyo, Japan 24th July 1988 TRULY AMAZING SOUND(from Original Masters) (67:32) 1. The Sounds Of Silence 2. When A Man Loves A Woman 3. All I Know 4. So Much In Love 5. If I Keep My Heart Out of Sight (James Taylor Cover) 6. (What a) Wonderful World 7. If Love Takes You Away 8. Homeward Bound (Nicky Hopkins Solo) 9. Texas Girl at the Funeral Of Her Father 10. Scarborough Fair 11. Eyes For You 12. Skywriter 13. Cecilia 14. Bright Eyes 15. A Heart In New York 16. Bridge Over Troubled Water 17. Cecilia Art Garfunkel with Nicky Hopkins - Piano Mick "Woody" Woodmansey - Drums Micky Feat - Bass Jeffery Jones - Guitar Rob Sabino - Keyboards