“悪夢の2009年”から生まれた珠玉の超・極上ライヴアルバムが登場です。本作最大のポイントは“AEROSMITH全史でもナンバー1”という超絶サウンドにあるわけですが、まずは当時の状況から振り返ってみましょう。とにかく2009年のAEROSMITHはツイていませんでした。ミソの付け初めは年明け1月から。彼ら初のヴェネズエラ公演が計画されるも、ジョー・ペリーが膝の感染症のためにキャンセル。その後、ZZ TOPを迎えて2年ぶりのツアーが発表されますが、ブラッド・ウィットフォードが車を降りる際に頭をぶつけて負傷。手術をするハメになり、ツアー開始前から離脱を余儀なくされるのです。ブラッド抜きでツアーは始まるものの、7公演ほどしたところで今度スティーヴン・タイラーが足を負傷して中断。2週間の休養の間にトム・ハミルトンが足の手術を行い、療養のために離脱。トム抜きでツアー再開……と思いきや、再びスティーヴンがステージから落下して大怪我。結局、ツアー中止の憂き目に遭ってしまう……。カンタンにかいつまんでいるのに長くなってしまうアンラッキー続きだったのです。ちょっとまとめてみましょう。
《1月:ジョーが膝の感染症》→2月1日:ヴェネズエラ公演キャンセル《3月:スティーヴンが肺炎》《6月:ブラッドが頭部を負傷》●6月10日-28日:ブラッド欠場(7公演)←★ココ★《6月28日:スティーヴンが足を負傷》→ツアー中断:キャンセル7公演《7月:トムが足の手術》●7月15日-8月5日:トム欠場(8公演)
《8月5日:スティーヴンがステージから落下》→ツアー中止:キャンセル20公演●10月14日-11月1日:復活(4公演)
以上が2009年のライヴ活動。当初、ツアーは南米・ヨーロッパ・日本も計画されていたそうですが、結局は北米15公演のみ。キャンセルの方が遙かに多い状態で潰れてしまいました。その後、10月・11月には5人そろってのショウも4公演行われたものの、解散報道を機に一気に確執が爆発。ジョーが「新シンガーを探す!」と宣言するほどの危機に突入して行ってしまうのです……。まさに“悪夢”としか言いようのない季節だったわけですが、そんな中で本作が記録されたのは「2009年6月21日ブリストウ公演」。ブラッドが欠場した冒頭7公演のうち4公演目を収めたオーディエンス・アルバムなのです。
【AEROSMITH全史ナンバー1の超ハイクオリティ】
アンラッキーの上にブラッドまでいない。そんなシッチャカメッチャカな時期のオーディエンス録音。それは取りも直さず、超絶なほどのサウンド・クオリティです。とにかく、強烈。録音家本人から直接譲られただけに間違いなく客席録音なのですが、「まるでサウンドボード」どころか「まるでオフィシャル」。骨太&肉厚の楽音は、本当に公式盤を流しているよう。その上で2年ぶりのツアー湧くリアルな熱狂と上品な空気感がほんのりうっすらと漂う。通常、公式盤は録りっぱなしの味気ないサウンドボードに様々な加工を加えてリッチに仕上げるものですが、本作はその“リッチ感覚”が現場サウンドで実現されている。この録音家は世界に知られた名手なのですが、その彼をもってしてもこの次元は奇跡的。先ほど「まるでオフィシャル」と申しましたが、天然100%の“リッチ感”は公式以上。“オフィシャル超えオーディエンス”・“AEROSMITH全史のナンバー1”という千本万本に1つという超絶盤なのです。
【大名盤『TOYS IN THE ATTIC』のニアミス再現】
そんなクオリティで描かれるショウがまた、普通ではない。ブラッドの代打であるボビー・シュネックはあまり有名ではありませんが、スラッシュのバックバンドに抜擢されるほどの巧者。堅実ながらブラッドの不在を忘れるほどにハマった演奏を聴かせてくれますし、オリジナル4人も2年ぶりのロードを満喫するような熱演。「Jaded」の後にはジョーイ・クレイマーの誕生日を祝うなど、これからも襲う不運など想像すらしていない絶好調のムードたっぷり。しかし、それ以上なのがセットリストです。不運続きばかりが語られるツアーですが、本来はもっと別の意味で記録・記憶されるべきものでした。それは、大名盤『TOYS IN THE ATTIC』再現ショウ。再現が行われたのはショウの中盤。約30年ぶりの復活となった「Combination」ではジョーがリード・ヴォーカルを執るサプライズで会場が沸いた後、いつものように「Toys In The Attic」がスタート。しかし、その後は「Uncle Salty」「Adam's Apple」と珍しめの曲が続いていくのです。残念ながら最終曲「You See Me Crying」は演奏されませんでした(完全再現されたのは6月28日ジョーンズビーチ公演のみ。「You See Me Crying」はその1回だけです)が、それ以外は名盤通りの曲順で本生再現。このツアーが初公開となる「Round And Round」も超絶サウンドで味わえます。アンラッキーな時期ながら、珍しい編成・「Combination」復活・大名盤のニアミス再現等々、聴きどころが山盛り。そのすべてが“AEROSMITH史上のナンバー1”という超絶サウンドで描かれたライヴアルバム。これほどの大傑作を誰かが永久保存しなくては。そんな想いを込めた1本。どうぞ、思う存分お楽しみください。
Live at Nissan Pavilion, Bristow, Virginia, USA 21st June 2009 ULTIMATE SOUND(from Original Masters)
Disc 1(47:59)
01. Rainy Day Women #12 & 35 02. Train Kept A Rollin' 03. Cryin' 04. Love In An Elevator 05. Jaded 06. "Happy Birthday to Joey Kramer" 07. Dream On 08. Combination 09. Toys In The Attic 10. Uncle Salty 11. Adam's Apple 12. Walk This Way
Disc 2(50:09)
01. Big Ten Inch Record 02. Sweet Emotion 03. No More No More 04. Round And Round 05. I Don't Want to Miss A Thing 06. Livin' On The Edge 07. Draw The Line 08. Guitar Solo 09. Rag Doll 10. Come Together
Steven Tyler - lead vocals, harmonica Joe Perry - guitar, backing vocals Tom Hamilton bass Joey Kramer - drums, percussion Bobby Schneck guitar Russ Irwin - keyboards, backing vocals





























