本物なんだけどチョット違う。そんな激レアな極上ライヴ作が登場です。本作に収められているショウは3公演。いずれもオリジナルSABBATHのようでいて、違和感スレスレな演奏がたっぷり。まるでSABBATH版『SPEAK OF THE DEVIL』のような面白さ満載の4枚組なのです。その違和感(?)の原因はドラマー。90年代の再結成BLACK SABBATHにはオリジナル・ドラマー:ビル・ワードが参加していましたが、全公演ではありませんでした。ビジネスの理由やビル自身の体調もあって3人の代打ドラマー:マイク・ボーディン、シャノン・ラーキン、ヴィニー・アピスを起用していました。 ……おっと、「なんだドラマーか」と侮ってはいけません。本作はリユニオン時代でも初期にあたり、オジー/アイオミ/ギーザーは若々しくモチベーション全開ですし、そこにビルとはまったく異なるグルーヴやビート、オカズが絡みまくる。曲もショウもオリジナルSABBATHなのに、全然違う。オリジナルSABBATHを聴き倒したマニアであればあるほど、新鮮で「意外と面白いじゃん!」もあれば、「おいおい、コレはないだろ(笑)」とツッコミたくなる演奏で本物サバスの名曲が綴られていく。本作は、そんな3人のベスト・ライヴ録音を1つにまとめたマニアックだけどハイクオリティなライヴセットなのです。その中身に迫る前に、まずは基礎知識。3人のドラマーがいつ参加したのか、1997年のオジー・リユニオンからHEAVEN & HELLまでの流れを追ってみましょう。
●1997年:マイク・ボーディン起用で再結成・5月24日-6月30日:北米#1(23公演)←★ディスク1★《シャノン・ラーキンに交代》・7月1日:コロンバス公演 ←★ディスク2★《ビル・ワード参加》・12月4日+5日;バーミンガム ※公式『REUNION』
●1998年:ビル離脱→ヴィニー・アピス起用・6月3日-30日:欧州#1(13公演)←★ディスク3-4★《ビル完全復帰》・12月31日:フェニックス公演●1999年:北米#2+欧州#2(71公演)●2001年:英国+北米#3(33公演)●2004年:北米#4(25公演)
●2005年:欧州#3+北米#5(37公演)《2006年:HEAVEN & HELL始動》
これが1997年から2006年までの10年間。最初は“OZZFEST ‘97”の目玉として再結成が企画。当初はビルに声がかけられることなくオジー・バンドのマイク・ボーディンが起用されました。それが「北米#1」。しかし、その最終日は振り替え公演だったためにボーディンが参加できず、UGLY KID JOEのシャノン・ラーキンが代打の代打を務めました。その後、ビルが復帰して『REUNION』が制作されますが、続く“OZZFEST ‘98”のためのリハーサル中にビルが心臓発作を起こして入院。急遽、ヴィニー・アピスを起用して「欧州#1」が行われました(ちなみに、この申し出を受けたヴィニーにロニーが激怒。彼はDIOから追放されてしまいました)。その後、1998年末にはビルが回復し、その後HEAVEN & HELL結成までビルがドラマーを務めました。
【ディスク1:1997年ミネアポリス公演(M.ボーディン)】
まず登場するのは、マイク・ボーディンが参加した“OZZFEST ‘97”でも最高峰となる「1997年6月22日ミネアポリス公演」のオーディエンス録音です。このマスターは、まさに極上。実はごく最近になって登場した録音でして、登場するや否やハイクオリティ・サウンドにびっくり。流石にマニアックな時期だけに一般コレクターを巻き込みはしていないものの、コア層の間では「1997年のNo.1!!」と話題になっているのです。実際、このクオリティは異常な次元。ボーディン時代にはサウンドボードがなく、オーディエンスも今いちレベルが多かったのですが、これはサウンドボード代わりも十二分に果たす。まるで2018年録音のようなオンでダイレクトな間近感が凄まじい逸品です。そのサウンドで描かれるボーディン版サバスが実に面白い。元FAITH NO MOREだけあって腕は達者で、グルーヴはややハネ系。ただし、前年の1996年4月からオジー・バンドでツアーしていただけに違和感は最小限。「War Pigs」の入りにタイミングを取るスネアが1発余計だったり、「Fairies Wear Boots」のキメがシンプルだったりもしますが、後のトミー・クルフェトスにも通じる“やけに元気なオジーSABBATH”という感じです。
【ディスク2:1997年コロンバス公演(S.ラーキン)】
続くのは、一番面白いシャノン・ラーキン。これも“OZZFEST ‘97”ですが、その最終日「1997年7月1日コロンバス公演」の極上オーディエンス録音です。この録音は、珍しいだけでなくサウンドも素晴らしい。新王者のディスク1には半歩及びませんが、以前からツアーでも1-2位を競ってきた伝統の名録音です。
そのサウンド以上なのが、ラーキンのドラミング。1公演こっきりの代打に多くを求めてはいけないのでしょうが、違和感スレスレで踏みとどまりそうで超える(笑)。「War Pigs」ではボーディンのようなスネアこそ入れないものの、細かいパートのフレーズが全然違う。後半では彼に合わせるためか、アイオミまでシンプルになっています。その他にも「Black Sabbath」でアップになるパートがマーチ風(歴代で彼だけ!)だったり、「Faries Wear Boots」のラストが妙に淡泊だったり……。それでもチグハグと言うわけでもないから面白い。「どうせ覚えきれないんだから」と開き直ったような勢いと思い切りの良さで乗り切っており、それこそ2公演だけだった『SPEAK OF THE DEVIL』のような清々しささえ感じるショウなのです。
【ディスク3-4:1998年ミルトンキーンズ公演(V.アピス)】
最後に登場するのは、1年後の“OZZFEST ‘98”。唯一の英国公演となった「1998年6月20日ミルトンキーンズ」のオーディエンス録音です。1998年というと名作ブートレッグ『OZZY RULES BUDAPEST』くらいしか知られてこなかったわけですが、本作はあの名作にも肉薄する素晴らしいクリア・サウンド。しかし、そのサウンド以上に素晴らしいのが長さ。ショウ自体が“OZZFEST ‘97”より長くなっているわけですが、しかもこの日は数公演だけだった超名曲「Sabbath Bloody Sabbath」も披露。『OZZY RULES BUDAPEST』は途中で終わっていましたが、本作はラストの「Paranoid」まで完全収録しています。そのサウンドで描かれるショウは、意外なほど健闘しているヴィニー・アピスが頼もしいショウ。アイオミ/ギーザーとは長い付き合いだけに呼吸感もばっちりで、細かいキメも完成度が高い。このツアーで初めて演奏する曲も多かったのですが、そうした曲でも非常に手慣れている。ハネ系なボーディン/ラーキン/クルフェトスよりもサバスを深く理解し、普段活動していないビルよりも現役感たっぷりなドラミングを披露してくれます。特に素晴らしいのは「Spiral Architect」でしょうか。叙情的な曲想にヴィニーのシャープなノリと独特なタムロールが上手くハマって実にドラマティック。実はビル自身が叩いた『REUNION』よりも似合っているかも知れません。ビルと言えば、本作は彼の登場シーンも聴きどころ。前述したように、このミルトンキーンズ公演は、“OZZFEST ‘98”で唯一の本国ショウ。そのため、ビルがゲストで遊びに来ているのです。オジーは「今夜はビルが来てくれたんだ」とステージに招き、「オーレーオレオレオレー、ビル・ワード!ビル・ワード!」の大合唱。本作はビル以外のドラマーがコンセプトですが、ビルの存在もしっかりと刻まれているのです。さらに、このディスクには貴重なボーナスも収録。同じミルトンキーンズから「War Pigs」「Fairies Wear Boots」の放送音源を追加収録しています。わずか2曲ではありますが、ビル以外のドラマーが叩くサウンドボードは超貴重。存在自体に驚く美味しいボーナスです。幾多のリユニオン・タイトルとは似て非なる極上ライヴセット。ややマニアックではありますが、そもそもマニアとは表面に惑わされず、真価を見抜く目利きのこと。クオリティ面でも素晴らしく、内容面でも面白く、それでいてディープな4枚組。“ビル以外のオジーSABBATH”は本作1本で十分ですし、逆に本作でないと最高峰は聴けない。まさにマニアのための必携の銘品。
Hubert H. Humphrey Metrodome, Minneapolis, MN, USA 22nd June 1997 TRULY PERFECT SOUND Polaris Amphitheater, Columbus, OH, USA 1st July 1997 PERFECT SOUND National Bowl, Milton Keynes, UK 20th June 1998 PERFECT SOUND
Disc 1(59:52)
Hubert H. Humphrey Metrodome, Minneapolis, MN, USA 22nd June 1997
1. War Pigs 2. Into The Void 3. Sweet Leaf 4. Iron Man 5. Children Of The Grave 6. Black Sabbath 7. Fairies Wear Boots 8. Paranoid
Disc 2(65:55)
Polaris Amphitheater, Columbus, OH, USA 1st July 1997
1. Sabbath Medley 2. War Pigs 3. Into The Void 4. Sweet Leaf 5. Iron Man 6. Children Of The Grave 7. Black Sabbath 8. Faries Wear Boots 9. Paranoid
National Bowl, Milton Keynes, UK 20th June 1998
Disc 3(47:07)
1. War Pigs 2. N.I.B. 3. Fairies Wear Boots 4. Snowblind 5. Into The Void 6. Spiral Architect 7. Lord Of This World
Disc 4(58:10)
1. Introducing Bill Ward 2. Sweet Leaf 3. Electric Funeral 4. Sabbath Bloody Sabbath 5. Black Sabbath 6. Iron Man 7. Embryo/Children Of The Grave 8. Paranoid
Bonus Track
9. War Pigs (Soundboard) 10. Fairies Wear Boots (Soundboard)
Ozzy Osbourne - Vocals Tony Iommi - Guitar Geezer Butler - Bass Mike Bordin - Drums (Disc 1) Shannon Larkin - Drums (Disc 2) Vinny Appice - Drums (Disc 3-4) Geoff Nicholls - Keyboards





























