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Paul McCartney ポール・マッカートニー/Flower in the Dirt Sessions Vol.2

1980年代の幕開けは日本におけるポールの逮捕で始まった。これをきっかけとしてウイングスは自然消滅、そして年末にジョンが凶弾に倒れるに至って、ポールは表舞台から久しく姿を消すことになる。80年代のポールは単発ステージに数えるほどしか出演するのみで、一切のツアーを行なっていない。しかし、ライヴ活動で駆け抜けた1970年代の反動として、旅生活から解放されたポールは、かつてビートルズがそうであったように、スタジオ・ワークに専念することになる。原点に返る意味合いもあり、再びジョージ・マーティンにプロヂュースを依頼、その結果生まれた2枚の兄弟アルバム『TUG OF WAR』と『PIPES OF PEACE』は現在でもポールの名盤として挙げられている。この2枚のアルバムの特徴は、それぞれビッグ・ネームとのコラボレーションを試みている点である。 『TUG OF WAR』ではスティーヴィー・ワンダーと2曲共演し、その中から「EBONY AND IVORY」がシングル・カットされている。続く『PIPES OF PEACE』では『THRILLER』が世界的なヒットとなっていた時期のマイケル・ジャクソンと2曲共演である。「SAY SAY SAY」があの印象的なプロモ映像と共にヒットしている。ビートルズ時代はジョン・レノンという対等なパートナーがいた。70年代は孤軍奮闘で始めたウイングスであったが、デニー・レインを徐々に認め「夢の旅人」などでは共同クレジットとなっている。そして80年代に入って、新たな刺激を他者に求めたのであろう。その結果は大成功であったといえる。ところが1984年に発表された『GIVE MY REGARDS TO BROAD STREET』は、一転駄作のレッテルを貼られている。個人的には大好きなアルバムなのだが、映画のサントラという性格上、過去のセルフカバーがほとんどを占め、新曲は数曲にとどまっていたことも評価が低い遠因となっている。当時「FM fan」という雑誌があり、この映画の特集があった。その中で名前は失念したが、日本のミュージシャンが、「サージェント・ペパーズを作った同じ人が、なぜあのようなくだらない映画を作るのだろう」と発言している。確かに映画は夢オチという「ハイスクール奇面組かよ!」とハリセンで叩きたくなる他愛ないものだったが、こと新曲に関しては非常に優れた楽曲が揃っていた。もう少し評価されてもよいのではと思っている。続いて発表されたのが1986年『PRESS TO PLAY』である。名曲揃いにも拘わらず、これも世間的には評価が低いアルバムで、セールス的にも失敗に終わっている。ただ注目すべきは、このアルバムでもパートナーを求めて共作させている点である。前2作の共作者とはかなり格落ちだが、エリック・スチュワートである。何も彼が悪いとは言わないが、やはりポールのパートナーとしては力量不足だったかもしれない。しかし「FOOTPRINTS」といい「ONLY LOVE REMAINS」といい、「STRANGLEHOLD」といい、これもまた、もう少し評価されてもよいのではと思っている。80年代のポールの動きを見ていると、常に自分と対等になって刺激を与えてくれるパートナーを求めているような感じであった。実績あるポールのことだから、ピンで自信を持ってやってもらいたいというが、そこは本人が自覚的に不足している部分を補おうという表れであろう。『PRESS TO PLAY』の不評からしばらく、ポールは沈黙期間に入る。そんな中リリースされたのがベスト盤『ALL THE BEST』である。ジャケット写真では、短く借り上げた髪、いくぶん皺が目立つ45歳のポールがにっこり笑っている。『ALL THE BEST』のジャケット写真は、年月の流れと共に、もうビートルズやウイングスの時代には戻れない、青年期を過ぎた成熟した、否定的な意味ではなく、中年期以降という新しい時代に入ったポールを感じずにはいられなかった。『ALL THE BEST』には新曲として「ONECE UPON A LONG AGO」が収録されている。これが唯一の新曲である。そしてこの曲のプロモ・ビデオでは、リンダはもちろんのこと、ドラムスにはクリス・ウィッテンの姿を見る事ができる。沈黙期間にあったこの時期に、後のワールド・ツアーのメンバーが既に参加している点、プリンス・トラストで啓発されたライヴ活動への布石が徐々に打たれていたという意図が垣間見れる。1989年に発表されたアルバム『FLOWERS IN THE DIRT』は、古くからのファンにとっては意識の中では最近のアルバムに分類されるであろうが、既にビートルズの歴史の一部となっている。2017年現在リリースから30年弱が経過しようとしている。おそらくこの時期からポールは再び10年ぶりのツアーを念頭に置いていたに違いない。そのためのバンド、そのためのアルバムが必要であった。それもただのアルバムではなく、ツアーを成功に導くヒット作を必要としていたはずである。『PRESS TO PLAY』ではツアーに出ることは困難だったのである。そこで従来の例に漏れず、自分と対等もしくは、意見をしてくれるパートナーを求めた。そこで白羽の矢が立ったのがエルヴィス・コステロであった。コステロはかつてビートルズ・ファン・クラブに入っていたくらいのポール・ファンであり、ポールに対し敬意もある。しかし一方では、少し毒舌過ぎるくらいポールに意見できるカルトな人気と実績と性格をも持ち合わせていた。方向性を見失いつつあった80年代のポールが再出発するパートナーとしては申し分ない相手であった。ポールとコステロの共同作業の結果、数多くの楽曲が生まれている。それらは『FLOWERS IN THE DIRT』と、コステロの当時の最新アルバム『SPIKE』に分散され収録された。なので曲によっては同じ曲でもポール・バージョンとコステロ・バージョンがあったりする。また収録しきれなかった曲のいくつかは『OFF THE GROUND』に流用されている。また従来のコラボ企画同様、「YOU WANT HER TOO」ではお互いがヴォーカルをとるデュエットとなっている。セールス的には大ヒットとまではいかなかったものの、このアルバムに伴うポールにとって10年ぶりのツアーが行なわれたこともあり、ファンにとっては印象強いアルバムとなっている。本作は、この『FLOWERS IN THE DIRT』のセッション音源をディスク6枚に渡って収録した、魂のこもったタイトルである。アルバム収録曲のみならず、同時期にレコーディングされた未発表曲やシングルのみの曲など、初登場音源を含む集大成となっている。 DISC One ATLANTIC OCEAN 01. Rough Mix 02. New Vocal Edit 03. Final Mix LOVE MIX 04. Home Demo 05. Rough Mix 1 06. Rough Mix 2 07. Final Mix RETURN TO PEPPERLAND 08. Rough Mix 09. Unreleased Final Mix SGT PEPPER BIRTHDAY SONG 10. Jam to Alan Freeman BIG DAY 11. Rough Mix 12. Unreleased Final Mix CHRISTIAN BOP 13. Rough Version 14. Final Mix Edited 15. Classical Version PEACOCKS 16. Rough Mix 17. Unreleased Final Mix 1988 SESSIONS & OUTTAKES NEW MOON OVER JAMAICA 18. Demo Takes 1 & 2 19. Final Version with Johnny Cash FLYING TO MY HOME 20. Rough Version 21. Remaster Mix DISC Two THE FIRST STONE 01. Remaster Mix GOOD SIGN 02. Remaster Mix 03. Edited Intro 12” Single 04. Promo Version Groove Mix THE WHITE COATED MAN 05. Rough Mix 06. Animal Magnetism Mix COW 07. Rough Mix 08. Oobu Joobu Unreleased Mix SAME LOVE 09. Final Mix DON’T BREAK THE PROMISES 10. Studio Demo 11. Demo with Overdubs 1989 SESSION PARTY PARTY 12. Studio Jam 13. Original Mix Remaster 14. Bruce Forest Club Mix Remaster 15. Promotional Edit PAUL & ELVIS COSTELLO RARITIES VERONICA 16. Demo 17. Final Version PADS, PAWS AND CLAWS 18. Demo 19. Final Version THIS TOWN 20. Demo 21. Final Version DISC Three TWENTY FIVE FINGERS 01. Home Demo 1987 Session with Elvis Costello January 1988 02. Rehearsal #1 03. Rehearsal #2 04. Rehearsal #3 05. Final Studio Demo TOMMY'S COMING HOME 06. Home Demo 1987 Session with Elvis Costello February 1988 07. Paul and Elvis improvising 08. Vocals Recording #1 09. Vocals Recording #2 10. Vocals Recording #3 11. Vocals Recording #4 12. Final Studio Demo THE LOVERS THAT NEVER WERE 13. Home Demo 1987 14. Home Demo 1987 with Overdubs 1991 15. Studio Demo 1988 SO LIKE CANDY 16. Home Demo 1987 17. Studio Demo 1988 18. Final Version PLAYBOY TO A MAN 19. Home Demo 1987 20. Studio Demo 1988 21. Final Version I DON’T WANT TO CONFESS 22. Home Demo SHALLOW GRAVE 23. Home Demo 24. Final Version MISTRESS AND MAID 25. Home Demo #1 26. Home Demo #2 EXTRAS 27. Improvisation on the set for “This One” 28. Album Commercial #1 29. Album Commercial #2 30. Album Commercial #3 Up Close Radio Show 31. Intro 32. Elvis Costello & Paul

Paul McCartney ポール・マッカートニー/Flower in the Dirt Sessions Vol.2

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