遅れてきた傑作録音の登場です。世界中のYESを驚喜させ、日本公演も楽しみなARW(アンダーソン・ラビン・ウェイクマン)。当店ではツアー初日から数々の傑作音源で逐次レポートしており、そのラインナップたるや、ライヴアルバム8本にも及ぶ。先日リリースされたツアー最高傑作の2CD『DEFINITIVE BUFFALO 2016』も大好評です。しかし、そんなARWも現在は北米ツアーを終えて休息中。次なる3月のテルアビブ公演までコンサートはありません。「しばらくは新音源もお休み……」と思っていたところで飛び出してきたのが、本作。「2016年10月19日ボストン公演」のオーディエンス・アルバムです。この日はツアー9公演目の初期コンサートで、以前ご紹介した『WALLINGFORD 2016』の1つ前にあたるライヴアルバムです。すでに名音源の宝庫となっている北米ツアーでも後出しされただけあって、これがまた実に見事なオーディエンス録音。現場となった“WANG THEATRE”は91年の歴史を持ち、ボストン・バレエ団のホームでもある伝統の劇場。本作は、そのヴィンテージなムードをたっぷりと吸い込みつつも、非常にクリアな録音なのです。客録では痩せがちな低音も極太で、中高音の鳴りも美しい。そのバランスも分離も鮮やか。「まるでサウンドボード」と呼ぶようなダイレクト感ではありませんが、それも欠点ではなく長所。オーディエンス・サウンドが殊更似合うYESミュージックだけに、エンジェリックなジョン・アンダーソンの声が降り注ぎ、リック・ウェイクマンの煌びやかな指グセも荘厳に響く。その中を切り裂くように貫くトレヴァー・ラビンのギターワークも実にシャープ。まさに、“YESのためのサウンド”かのようです。そんな素晴らしいサウンドにはワケがある。実は、本作をモノした録音家はYES録音で有名なテーパー。YESサウンドの旨みを知り尽くし、サウンドボードでは捉えきれない“YESの美”にこだわった業物。後出しでも公開したくなる気持ちも分かるサウンドなのです。そんなサウンドで描かれるボストン公演がまた、後出し公開したくなるのが分かる素晴らしさ。演奏やセットリストがこれまでの傑作群と大きく変わるわけではありませんが、それは即ち素晴らしいショウを約束するものでもある。ポップな“90125 YES”のナンバーはリックによってクラシカルな美しさをまとい、“クラシックYES”の名曲群はトレヴァーのギターで躍動感たっぷり。サポートの枠を超えたリズム隊の大活躍ぶりも見事に描ききられている。本作には、そんなフレッシュなYESソングスが伝統会場を満たしていくスペクタクルまでもが上乗せされているのです。正直なところ、“ツアー最高傑作”の座はやはりプレス2CD『DEFINITIVE BUFFALO 2016』のもの。それは揺るぎありません。しかし、「まるでサウンドボード」な『DEFINITIVE BUFFALO 2016』とは違う、オーディエンスならではの旨みを味わいたくなったとき、なにを選ぶか。これまではツアー初日を収めた『ORLANDO 2016』が定番でしたが、本作もまたその強力な候補なのです。後出しだからこその自信に満ちた1本。
Live at Wang Theatre, Boston, MA. USA 19th October 2016 TRULY PERFECT SOUND
Disc 1(64:18)
1. Symphonic music (Perpetual Change Theme) 2. Cinema 3. Perpetual Change 4. Hold On 5. I've Seen All Good People 6. Drum Solo 7. Lift Me Up 8. And You and I 9. Rhythm of Love 10. Heart of the Sunrise
Disc 2(57:33)
1. MC 2. Long Distance Runaround 3. The Fish (Schindleria Praematurus) 4. The Meeting 5. Awaken 6. Make It Easy 7. Owner of a Lonely Heart 8. Roundabout





























