日本公演も鮮烈だったベルリン時代の“LOW AND HEROES TOUR 1978”。その海外公演の代表作が登場です。本作は「1978年11月11日アデレード公演(オーストラリア)」を収めたオーディエンス・アルバム。さすがに数ある海外録音でも代表作を張るだけはあり、「クリアなサウンド」「溌剌としたパフォーマンス」「リアルな空気感」の3つがビシッと揃った名録音。現場となった“オーバル・クリケット・グラウンド”は、約5万3,000人を収容できる野外クリケット場。それだけに楽音にはやや距離感もあるものの、広い野外空間を突っ切るようなクリアさは素晴らしく、風によって音楽が流されるようなこともありません。そんなサウンド以上に素晴らしいのが、溌剌とした熱演。それもそのはず、この日はボウイにとっては初めてのオーストラリア、それも初めてのスタジアム級野外コンサートだったのです。ここでちょっと、1978年のツアー日程をまとめてみましょう。
・1978年3月29日-5月9日:北米ツアー(31公演)《4日間の移動&オフ》・1978年5月14日-5月27日:欧州ツアー#1(11公演)《3日間の移動&オフ》・1978年5月31日-7月1日:欧州ツアー#2(23公演)《約4ヶ月のオフと「STAGE」リリース、「LODGER」制作》・1978年11月11日-11月25日:オーストラリアツアー(7公演)《3日間の移動&オフ》
・1978年11月29日-12月2日:ニュージーランドツアー(2公演)《3日間の移動&オフ》・1978年12月6日-12月12日:日本ツアー(5公演)
少々細かく「3日」以上の間が空いた日程は総て分けてみました。つまり、まとめられている日程は「3日」と空かずにライヴ三昧だったわけです。これをご覧になると分かる通り、「北米ツアー」から「欧州ツアー#2」までの約3ヶ月間はギッシリとライヴだらけ。その後、7月ー11月はたっぷりと間が空き、そこで「STAGE」「LODGER」の制作が行われた。そして、本作のアデレード公演は、オーストラリア・ツアーの初日。つまり、スタジオ作業や曲作りから解放されてライヴ再開の第一発目でした。しかも、オーストラリア・ツアー自体がこの年初ですし、野外スタジアムもこの日が初……と、初物づくしのテンションにまみれ、コンディションも絶好調。本作のパフォーマンスがやたらとエネルギッシュなのも当然なのです。そんなボウイの熱演もさることながら、観客のムードも本作の大事なポイント。このツアーでは、日本公演のスーパー録音「BUDOKAN 1978(Wardour-177)」や「BLACKOUT(Wardour-084)」が大好評ですが、そこで聴かれる熱狂とは、まったく質が違う。日本のオーディエンスはじっくりと聴き入り、演奏が終わるや大喝采を捧げる。もちろん、次曲が始まらなくてもMCが入れば、一言も聞き洩らすまいと再び耳を澄ませるノリです。ところが、このアデードの観客はまるで違い、曲間だろうと演奏中だろうと大いに騒ぎ、喝采し、歌う。演奏中の曲についても仲間同士で語りながら聴き、大好きな曲、ヒット曲でも始まろうものなら全身全霊の大はしゃぎ。こう書くと、やたらとうるさい客声にまみれていそうですが、そうではありません。しっかりと楽音が主役を張った上で、リアルな熱狂が聴いている私たちの身を包む感じなのです。これがまた、素晴らしく楽しい。歌い出す観客がネイティヴな発音で歌も上手い(笑)ということもありますが、なんとも素直な熱狂が心地いい。ボウイが初オーストラリアであるように、現場の観客にとっても初ボウイ。その初対面の初々しい喜びようが、微笑ましいほどに幸せなのです。さらには、「Five Years」の前では録音者が「録音しているの?」と話しかけられるという生々しさ。気品高いかワイルドかの二極化が激しいイギリス人、やたらと前のめりに熱いアメリカ人とも違って、どこかノンビリとしたオーストラリア人。その上、この日は南半球では夏の11月。スピーカーから流れ出る空気まで暖かく、開放感溢れるライヴアルバムなのです。長いスタジオ作業から解放され、初めての南半球、初めての野外スタジアムに弾けるボウイ。そんな彼を暖かく迎えたオーストラリアの人々。あらゆる環境が揃い、名演になるべくしてなった名演、名録音になるべくして生まれた名録音です。日本の集中力とは真逆ながら、どこまでも暖かく開放的なライヴアルバム。ラストもいつもより長めにドラマチックに歌う「Ziggy Stardust」の充実感。ぜひ、あなたも“日本人が知らなかったボウイ”に出会ってください。
Live at Oval Cricket Ground, Adelaide, Australia 11th November 1978 TRULY AMAZING/PERFECT SOUND
Disc 1(47:31)
1. Intro. 2. Warszawa 3. "Heroes" 4. What In The World? 5. Be My Wife 6. The Jean Genie 7. Blackout 8. Sense Of Doubt 9. Breaking Glass 10. Fame 11. Beauty And The Beast
Disc 2(58:46)
1. Band Introduction 2. Five Years 3. Soul Love 4. Star 5. Hang On To Yourself 6. Ziggy Stardust 7. Suffragette City 8. Art Decade 9. Alabama Song 10. Station To Station 11. TVC 15 12. Stay 13. Rebel Rebel
David Bowie - Vocals Carlos Alomar - Ryhthm Guitar Adrian Belew - Lead Guitar Dennis Davis - Drums & Percussion Simon House - Electric Violin Sean Mayes - Piano & String Ensemble George Murray - Bass Dennis Garcia - Keyboards & Synthesizer





























