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Rolling Stones ローリング・ストーンズ/Switzerland 2017

今回同時にリリースされる「NO FILTER」ツアーもう一つのアイテムは9月20日のチューリッヒ。「Brown Sugar」キースご立腹ハプニングが話題となった16日のオーストリアを飛ばしてのリリースとなります。ここチューリッヒで話題となったのは、全編に渡るキースのハッスルぶり。それを目撃したファンの多くが「キースの調子を取り戻した」と報じたものです。元々「NO FILTER」ツアー開始直後から実に楽しげに演奏していたキースではありますが、その一方で肝心のプレイがおざなりとなってしまった感が否めなかった。しかしどうでしょう、この日のキースはただ楽しむだけでなく、プレイに「乗ろう」とする様子が随所で伺えるのです。この辺りはネットにアップロードされているyoutube等でもその表情・アクションを確認していただきたいところですが、それは音声を聞いただけでもしっかりと伝わってくる。さらにはバンド全体が文字通り「一皮むけた」調子であり、キースを中心として遂に調子を取り戻した演奏がこの日の評判の良さへと直結したのでしょう。もちろん全体的にはまだまだスロー・ローラーズなグルーブ感ではあるものの、それまでの三公演をこなしてきた自信が刻み込まれたことも間違いない。それを証明するかのように、この日は「BLUE&LONESOME」収録曲から「Hate To See You Go」の初ライブ演奏が実現したのです。昨年のアルバム・リリース時にはミュージック・ビデオまで作られていた曲がようやくステージでも披露と相成りました。アップテンポな中でリフが繰り返されるブルースですが、この手の曲を弾かせるとキースもロニーも手慣れたもの。ストーンズがデビュー前にマーキーで演奏していた日々を思い起こさせるかのような雰囲気が絶品。むしろテンポ速めなレパートリーの初披露ということでミックの方が緊張気味であるかのよう。また、この日は前のオーストリアに次いでショー前半にアコースティック・ナンバーやスロー・バラードが演奏されないという新鮮な構成のセットリストでもあり、それらの代わりに「Like A Rolling Stone」がミック曰く「ディランが僕たちに書いてくれた曲」というユーモアを交えながら演奏されています。この曲はストーンズとしてもやり慣れている感が強く、全く危なげない、むしろ盤石の演奏が聞かれました。話は前後しますが、今のところ「Dancing With Mr. D」最後の演奏がこのチューリッヒとなっています。先に紹介したミュンヘンでも非常に素晴らしい演奏が聞かれましたが、ここでの演奏もまた素晴らしいもの。随所で派手なフレーズを盛り込むダリル・ジョーンズのベース・プレイも印象的。せっかくここまでレパートリーとして馴染んできたのだから、是非これからも演奏してほしいと願わずにはいられません。こうして演奏が進むにつれてこの日のストーンズはメキメキと調子を上げてゆくのですが、その発火点となったのが「You Can’t Always Get What You Want」のエンディング。チャーリーを始めとしたバンドのテンポアップ感が半端ない。むしろ勢い余って演奏が急停止した挙句、まだやり足りないとばかりにキースがリプライズさせそうな雰囲気まで漂っていたという微笑ましさ。そんな場面からもキースのハッスル感が漂っていた訳ですが、自身の歌う二曲ではハプニングとハッスルの両方が垣間見られてしまうところが面白い。まず「Happy」では彼が本当に楽しそうに歌っているのですが、間奏に入るとロニーのスライド・ギターの音が途切れてしまうトラブルが発生。さらにはエンディングでバンドの演奏とコーラス隊がまったく噛み合わなくなってしまい、それこそグダグダになって終わってしまった。それでも彼は大して気にも留めていないようで、それがこの日のハッスル・キースらしいところ。一方「Slipping Away」ではキースがイントロを弾き始めたものの、ロニーの準備が出来ていなかったことから一旦は取り止めというハプニング。これもまた困った様子など微塵も感じさせず、むしろロニーのおどけ合いながら演奏が仕切り直しで始まりました。そんな和やかだがルーズなムードから一変して最高の演奏を聞かせてくれたのが「Midnight Rambler」。既にミュンヘンでもミックが聞かせていたレゲエ風ハミング「ヨーヨーヨー」から演奏がどんどん激しくなり、掛け値なしにツアー開始後最高のバージョンへと昇格させてみせたのです。やはりこの曲ではワイルドな演奏が聞きたいもの。それに続いた「Miss You」も「NO FILTER」ツアー開始後、今一つ歯切れの良さに欠けていたレパートリーの一つでしたが、遂にここで本来のグルーブ感を取り戻した素晴らしい演奏が復活。とどめは「Brown Sugar」。オーストリアではひと悶着起きたこの曲ですが、この日はバンドが一丸となって盤石の演奏を聞かせます。キースがここでもやり足りないとばかりに演奏終了後にも爪弾いていたのがまた微笑ましい。ここまで聞いてもらえば解るように「NO FILTER」ツアー開始後、最初の名演と呼ぶに相応しいのがチューリッヒ。しかもありがたいことに、ネット上に現れたオーディエンス録音の音質は非常に素晴らしいクオリティを誇るものでした。圧巻の荒々しさとオンな音像のハンブルク、マイルドな聞き心地が魅力な今回同時リリースのミュンヘンと来て、このチューリッヒは「骨太」。先に触れた「Dancing With Mr. D」で顕著だったように、ダリルのベースラインが非常に明瞭に聞き取れるほど。その代わりバスドラも大きく鳴り響いてしまうというマイナス・ポイントが元音源にはありましたが、それは今回のリリースに当たって調整した結果、ダリルのベースラインのバランスを保ったままで、なおかつ過大な低音のストレスを排除することに成功しています。それでいて音像はあくまでもオン。もっとも、メンバー紹介時に一人でチャーリーを持ち上げようとするおばさんオーディエンスの盛り上がりまでオンなのには思わず笑ってしまいますが。それはともかくとして、そのオーディエンス録音のクオリティの高さが遂に調子をつかんだストーンズの演奏もリアルに伝えてくれる。「NO FILTER」ツアーから最初の名演と呼ぶに相応しいチューリッヒをじっくりと味わってください!Live at Letzigrund Stadion, Zurich, Switzerland 20th September 2017 Disc 1 (71:44) 1. Intro 2. Sympathy for the Devil 3. It's Only Rock 'n Roll 4. Tumbling Dice 5. Hate to See You Go 6. Ride 'Em on Down 7. Dancing With Mr. D 8. Like a Rolling Stone 9. You Can't Always Get What You Want 10. Paint It Black 11. Honky Tonk Women 12. Band Introductions 13. Happy 14. Slipping Away Disc 2 (61:12) 1. Midnight Rambler 2. Miss You 3. Street Fighting Man 4. Start Me Up 5. Brown Sugar 6. Satisfaction 7. Gimme Shelter 8. Jumping Jack Flash

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