伝説の初来日公演を収めたオフィシャル映像が登場です。ALLAN HOLDSWORTH BANDが初めて日本を訪れたのは1984年。折からのフュージョンブームに加え、EP『ROAD GAMES』がグラミー賞にノミネートされるといった話題もあり、ホールクラスの単独ツアーが実現したのです。そんな人気もあってか、「1984年5月14日:郵便貯金会館」公演ではオフィシャル撮影も実現。公式映像がリリースされたのです。本作は、その公式作品『IN JAPAN 1984 : TOKYO DREAM』を史上最高峰クオリティで収録したもの。まずは、初来日ツアーの日程からポジションを確認しておきましょう。 ・5月8日:名古屋市芸術創造センター ・5月9日:大阪御堂会館 ・5月11日:東京郵便貯金会館 ・5月14日:東京郵便貯金会館 【本作】 以上、全4公演。“知る人ぞ知るマニアックなギタリスト”であったアランとしては破格のホール・ツアーでした。郵便貯金会館では2公演ありましたが、本作が収録されたのは最終日にあたります。そんなショウを収めた本作は、まさに史上最高峰の映像美。廃盤久しい公式映像だけにコピーDVDR等も出回ってきましたが、そのほとんどがVHS落とし。走行ムラやノイズが散見したり、赤色が滲んでいたり。酷いものになると、モノラル音声のものまでありました。しかし、本作は違う。大元になったのは、当時日本でのみ発売されたレーザーディスク。それも、極上クオリティの盤から精緻にデジタル化されたものなのです。実は、先日も紹介した映像なのですが、リリースと同時に大ヒット。「ズッと見たかったんだ!」「うちのレーザーディスクよりも綺麗」等々、大変な反響を頂きました。「この映像美を永久に手元に置きたい」とのお言葉も多数寄せられ、ここにDVD化が決定したのです。実際、本作のクオリティは異常。いかなレーザーディスクとは言っても、盤質が劣化してしまうとホワイトスノーが発生してしまう。90年代に製造されたレーザーディスクは材質改善・技術進歩によって飛躍的に保存性が高くなりましたが、80年代の映像となると、現代でまともに再生できる盤はほとんどないのが現実なのです。ところが、本作は究めて美しい。ホワイトスノーも一切なく、艶やかで劣化ゼロの映像美は正しく当時そのものなのです。さらに、本作はカメラワークも素晴らしい。80年代当初はホームビデオが普及して間もないために、見どころを理解していない作品も珍しくない。しかし、本作を制作したスタッフはアランのファンだったのか、楽曲・演奏への理解がハンパではないのです。観客も会場のスケール感もそっちのけで、アランの手元ズームを多用。しかも、“あの”左手がばっちり主役になっているのです。もちろん、左手しか映らないわけではありません。メンバー同士のインタープレイで交わさせる視線や各メンバーのソロもばっちり。「Road Games」の複音タッピング・ソロでは、ポールが歩み寄ってきてアランのギターをミュート。そんな珍しいシーンもキチンと押さえているのです。そんな映像美・カメラワークで描かれる伝説の初来日の素晴らしい事……。現場アンプが不調だった「Shallow Sea」や「Letters of Marque」の冒頭がカットされているものの、それ以外のショウ全景が艶やかに映し出される。実施的な初ソロアルバム『I.O.U.』、グラミー賞ノミネートの『ROAD GAMES』、まだリリース前だった『METAL FATIGUE』から綺麗に4曲ずつが選ばれ、正しく80年代のベストセット(「The Things You See」も『I.O.U.』バージョンです)。そして、演奏陣も『METAL FATIGUE』の基本メンバーであるジミー・ジョンソン&チャド・ワッカーマン、ポール・ウィリアムスが勢揃いしての熱演がマルチカメラ・プロショットでたっぷりと観られるのです。もう見どころは雨あられ。高速フレーズを連発する「Road Games」、歌心たっぷりの美しい「Home」、複弦にまたがるコード分解フレーズを凄まじいスピードで繰り出す「Devil Take The Hindmost」。そのすべてをさも簡単そうに披露し、まるで訓練を積んだ手品を見せられているかのよう。もちろん、アランだけではなくリズム隊も素晴らしい。特に「The Things You See」ではオリジナルのポール・カーマイケル/ゲイリー・ハズバンドよりも遙かに多彩な引き出しを披露。比較的シンプルなコード進行でも……いえ、シンプルだからこそ、豊かなセンスと素養を見せつけてくれるのです。そして、極めつけは「Where Is One」。アランは大量のエフェクトシステムを足下のペダル1つで操り、静と動のコントラストを演出。その後のソロはさらに猛烈。複弦にまたがるコード分解フレーズや定型フレーズのポジション移動によるスケール移動等々、凄まじいテンションは天井知らず。リズム隊も次第に手数が多くなり、まるで全員でソロを演奏しているような演奏へと昇華していくのです。輝ける伝説の初来日。その真価を収めたオフィシャル映像を史上最高峰クオリティで蘇らせた文化遺産です。長らくDVD化が待ち焦がれた映像作品ですが、アランが去ってしまった今では、もう叶うことはないでしょう。奇跡に残っていた極上状態のレーザーディスクの映像美。 Live at Yubin Chokin Hall, Tokyo, Japan 14th May 1984 PRO-SHOT (81:17) 01. Intro 02. Tokyo Dream 03. Road Games 04. White Line 05. Panic Station 06. Interview 07. Letters of Marque 08. Home 09. Interview 10. Devil Take The Hindmost 11. Material Real 12. Metal Fatigue 13. Where Is One 14. The Things You See (When You Haven't Got Your Gun) 15. Was There ? Allan Holdsworth Guitars Jimmy Johnson Bass Chad Wackerman – Drums Paul Williams - Vocals PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.81min.