1972年、1992年、そして1996年。三度のジャパンツアーで20公演を遺していった奇跡のトリオEL&P。彼らが日本で最後に演奏した夜のライヴアルバムが登場です。その“最後の夜”とは「1996年10月19日浦和文化センター」公演です。ここで、三度目にして最後となった来日公演のスケジュールから見てみましょう。
・10月8日:福岡サンパレス・10月9日:大阪フェスティバルホール・10月10日:名古屋市公会堂 《10月11日オフ》 ・10月12日:渋谷公会堂 ・10月13日:東京厚生年金会館 ・10月14日:仙台イズミティ21 ・10月15日:中野サンプラザ 《10月16日オフ》 ・10月17日:中野サンプラザ ・10月18日:中野サンプラザ ・10月19日:浦和文化センター 【本作】
このように、12日間で10公演という超過密スケジュールでした。1992年の再来日では、20年のブランクが爆発したように追加に追加で8公演だったわけですが、その4年後はさらに回数が増えたわけです。本作最大の魅力は、その最終公演が聴けること……ではありません。もちろん、正真正銘“EL&P in Japan”のラストコンサートなのですが、その珍しさをも吹っ飛ばすサウンドこそが素晴らしいのです。録音者本人から直接譲られたオーディエンス・アルバムではあるものの、そのサウンドは「オーディエンス」の言葉から連想するものとはかけ離れている。楽音の芯はぶっとく、輪郭もクッキリしていてダイレクト感満点。キース・エマーソンの妙技はもちろんのこと、カール・パーマーの細かいシンバルワークからブリブリと轟くグレッグ・レイクのベース、そして歌声。それらすべてが克明でバランスも素晴らしく、「サウンドボード級」ではなく「オフィシャル級オーディエンス」と呼びたいクオリティなのです。正直なところ、1996年の日本公演を……いえ、世界を見渡しても、これほどの客席サウンドで1996年-1998年の再始動期を聴いたことがありません。 しかも、ライヴの内容がまた素晴らしい。1992年の来日公演は、観客側が20年ぶりの緊張感に支配されていましたが、三度目は幾分リラックス気味でショウそのものを楽しむ余裕があった。この日もその空気感がたっぷりで、曲間の喝采も暖かく盛大。「Knife Edge」で広がる手拍子はビシッと揃いながらも広く、「1音も聞き逃すまい」という緊張感よりも“楽しさ”がアリアリと現れているのです。そのムードと最終公演の意気込みからか、演奏もいつにも増して豪快。複雑な曲展開も思い切りよくダイナミックでありながらミスらしいミスもなく、ビシビシと決めていくのです。記念すべき最終公演、ノーカットの完全収録、驚異的なサウンド、素晴らしい名演……すべてが満点のようなライヴアルバムなのですが、残念ながら完璧というわけにもいきませんでした。録音自体は極めて素晴らしいのに、マスター自体に経年劣化があり、後半にわずかながらノイズが混じるのです。1つひとつのノイズ自体は非常に小さく、普通に聴いていれば気づかないほど些細。しかし、その数が多く、修正しきれなかったのです。 “聴いている分には気にならない”レベルのノイズだとしても、“気になり出すと止まらない”ではプレス化できない。あまりにも惜しい名録音なのです。もう一歩で歴史的大傑作に届かなかったとは言え、そのあまりにもクリアで美しい録音をなかったことにはできない。それがEL&P最後の日本ライヴとなれば、なおさらです。1人でも多くの方に、この名作が存在したことを知っていただきたい、覚えていていただきたい。そのためのリリースです。無傷ではないけれど、光り輝くライヴアルバム。どうぞ、この機会にたっぷりとご堪能ください。
Live at Bunka Center, Urawa, Japan 19th October 1996 ULTIMATE SOUND(from Original Masters)
Disc 1
1. Karn Evil 9 2. Tiger In A Spotlight 3. Hoedown 4. Touch And Go 5. Knife Edge 6. Bitches Crystal 7. Still...You Turn Me On 8. From The Beginning 9. A Tribute To Kevin Gilbert 10. Honky Tonk Train Blues 11. Take A Pebble
Disc 2
1. Lucky Man 2. Tarkus(Eruption/Stones Of Years/Iconoclast/Mars) 3. Pictures At An Exhibition(The Hut Of Baba Yaga/The Great Gates Of Kiev) 4. Fanfare For The Common Man/America-Rondo-Drums Solo 5. Finale





























