ジョン・ウェットン時代の最高音源が究極サウンドで蘇りました! 本作は「1976年5月6日ボストン公演」を収めたオーディエンス・アルバムで、世界的・歴史的な名録音家ダン・ランピンスキー氏のコレクションです。この録音が世に出たのは2009年の「SHADY BOSTON(Uxbridge 158)」のことで、その衝撃は凄まじいものでした。それまでウェットン時代と言えば、“PINK POP FESTIVAL公演”が有名ですが、この録音はそれさえも遙かに超えるサウンドでの完全収録。専門誌でも「ウェットン在籍時のヒープ・ブートとしては過去最高のクオリティ」「かなり気合の入った素晴らしい演奏が聴かれ、それがステレオ効果バツグンの高音質で聴けるのだからキミタチサイコダヨ!と言いたい」等々の激賛が連なり、世界中のコレクターが色めき立つの当然だったのです。そして、本作は「ウェットン時代を聴くならコレ」の1本を最新リマスターで蘇らせたもの。元々ランピンスキー・コレクションでもバツグンのサウンドだったわけですが、さらに中高域のリード楽器や低音のベース・サウンドを調整、高音質のまま各楽器の演奏が鮮明に浮き立つように調整しました。もちろん、ウェットンのベースラインもより鮮明に生まれ変わっています。ここで誤解しないでいただきたいのは、無闇に低音を上げているわけではないこと。「SHADY BOSTON」をご存じの方ならピンと来ると思いますが、この録音は原音からして低音が極太。ところがあまりに太すぎて低音の残響が未整理で輪郭がぼやけ気味だったのです。ですから、さらに低音を強くするのは却って逆効果であり、本作では各音域を精緻に整理、単純に低音成分の音量だけを見れば、むしろ下がっているにも関わらず、結果としてベースラインの“芯”が浮き立ち、KING CRIMSON時代を彷彿とさせる“ブリブリ”感がたっぷりと味わえるのです。芯が丸裸になったベースのド迫力、ぜひ「July Morning」でご体験いただきたい。「SHADY BOSTON」では低音の風呂場感の中に高音が突き抜けるようなクリアさでしたが、本作ではごちゃ混ぜになっていたシンセの低音とベースもクッキリと分かれ、すべてのラインが絡み合いつつ、圧倒的なドラマとなって燃え上がっていく。もちろん、「Easy Livin’」「Look At Yourself」といったドライヴィング・ナンバーでもブリブリ・ベースの威力は絶大。ウェットンの本領は当然プログレッシヴ・ロックでのバトルにありますが、バンドが一丸となって疾駆する曲も極上に染め変える。彼がURIAH HEEPを去らなければ、UKもASIAも存在しなかったわけですが、もう少しブリティッシュHRの世界でドライヴ感を聴いてもみたかった……。そして、インプロの魅力が爆発するのが「Sweet Lorraine」。長いギターソロをフィーチュアした「Improvisation」から止めどなく20分以上にも渡って繰り広げられる大作仕様ですが、その中盤では4分半にも及ぶベースソロも挟み込まれる。URIAH HEEPがウェットンに何を求め、どんな音世界を描いて迎え入れたのか。それがこれ以上ないほど克明に伝わってくるのです。 実のところ、URIAH HEEPは1972年ごろまではインプロをフィーチュアしていたものの、ゲイリー・セイン時代には楽曲主導のショウに変わっていた。それがここに来てインプロを大胆に再導入したわけです。初来日ではラフなロックンロール・メドレーを引き合いに「YESのように緻密じゃない」と言われていたのも懐かしい話ですが、いっそ本作のようにインプロヴィゼーション大会をぶちかますライヴだったら、比較される相手はYESではなくDEEP PURPLEとなって、彼らの未来は変わっていたかも知れない。そして、もしそこにウェットンがいたら。ベースを豪快に轟かせ、「One Way Or Another」で見事なブリティッシュ・ヴォイスを聴かせるベースヒーローがいて、七色声のデイヴィッド・バイロンや幻想世界の魔術師ケン・ヘンズレイと役者の揃ったライヴを魅せていたとしたら……。そんな“もしかして”さえ頭をよぎってしまう極上のライヴアルバムです。ウェットン時代の最高録音という次元を超え、ブリティッシュ・ハードロックの“ひとつの理想”を体現した1本。その究極サウンド盤です。これほどのライヴアルバムをウェットンやURIAH HEEPのファンだけが楽しむのはもったいない。大英帝国の薫りに目がない方、それこそDEEP PURPLEやRAINBOWがお好きな方にも聴いていただきたい。 Live at Orpheum Theatre, Boston, MA. USA 6th May 1976 TRULY PERFECT SOUND Disc 1 (46:35) 1. Intro. 2. Devil's Daughter 3. Stealin' 4. Shady Lady 5. Make A Little Love 6. One Way Or Another 7. The Wizard 8. July Morning Disc 2 (50:39) 1. Midnight 2. Easy Livin' 3. Gypsy 4. Improvisation 5. Sweet Lorraine 6. Bass Solo 7. Sweet Lorraine(reprise) 8. Bird Of Prey 9. Love Machine 10. Look At Yourself David Byron - Vocal Mick Box - Guitar Ken Hensley - Keyboards & Guitar John Wetton – Bass Lee Kerslake – Drums