“英国ロックの極み”である1972年のBBC録音。CD「BBC 1972」は、WISHBONE ASHの歴史に輝く大定番ライヴのリール・サウンドをたっぷりと聴かせてくれる超名盤です。本作はまったく同じライヴながら、「BBC 1972」が登場するまで“頂点”の王座を守ってきた放送のトランスクリプション・ディスク起こしで、もともとリリースされて世界中のファン、ミュージシャンから愛された1枚です。そのサウンドは現在の耳で聞いても完璧にしか思えない。幾多のエアチェックはもとより、今ひとつだったオフィシャル盤「BBC RADIO 1 LIVE IN CONCERT」や音処理の施された「ARGUS」のデラックス・エディションともまったく次元の違うハイクオリティ・サウンドです。ただ、アナログを1段階経ているので、演奏の鮮度は「BBC 1972」には及ばないわけです。しかし、だからこそ逆に当時感覚は鮮烈。ここで言う「当時感覚」とは、もちろん経年劣化の話ではありません。言うなれば、別CDは録音現場そのもののサウンドが聴けるのに対し、こちらは放送スタジオ、もしくは受信状態が極上な自宅で鳴るサウンド。当時イギリスに住んでいたら聴くこともできたであろう、ラジオ放送の感覚とでも言えばいいでしょうか。実際、時代と大洋を越えてスピーカーが吹き出す“1972年の英国”の薫りは絶品なのです。当時のイギリスに生き、呼吸したいというのは、私たちの永遠の夢です。本作は、わずか57分間だけ、その夢を叶えてくれる。自分の部屋を、その空気を“70年代の英国”の部屋に変え、その薫りで満たしてくれるのです。ピュアオーディオ的には、別CDの登場によりお役ご免となるはずなのですが、どうしても捨てきれない。その魅力が詰まったサウンドなのです。44年前のイギリス人は、この音を聴きながら「お、ASHの新作ってイイじゃないの」と思っていた。その呼吸感を味わえる極上の1枚。この薫り、このヴァイヴ、この空気。“究極越え”を果たした「BBC 1972」と共に、ぜひ胸いっぱいに吸い込んでください。 Paris Theatre, London, England 25th May 1972 STEREO SBD Taken from the original BBC transcription services disc(CN1552/S) 1. Intro. 2. Time Was 3. Blowin' Free 4. Warrior 5. Throw Down The Sword 6. The King Will Come 7. Phoenix Andy Powell - Guitar, Vocals Martin Turner - Bass, Vocals Ted Turner - Guitar, Vocals Steve Upton - Drums STEREO SOUNDBOARD RECORDING