本作に記録されているのは「1984年9月15日ニューカッスル公演」。そのサウンドは、これまた絶品。さすがに“最高傑作”とまでショウされる『2ND NIGHT』には及びませんが、“Crazy S.”コレクションだけあって絶品のヴィンテージ・オーディエンス。何よりも素晴らしいのは、力強く手元まで真っ直ぐに飛び込んでくる芯。特にバキバキとえらく格好いいベース。80年代オーディエンスと言うと低音がスカスカになるか、爆裂モコモコになりがちですが、本作はゴリゴリとしたアタック音がクッキリとしつつ、グイグイと引っ張るドライヴ感も鮮やかなのです。そして、素晴らしいのが熱くフレッシュな現場感。本編解説の日程にもある通り、このショウは『パワースレイヴ』の発売から2週間も経ってないタイミングでして、何が起こるか分かっていない興奮が新鮮なのです。例えば、オープニング。後年の復刻ツアーや最新“LEGACY OF THE BEAST TOUR”だとスピットファイアのエンジン音やチャーチルの演説だけで何が起きるか察知して「来るぞ来るぞ!」「待ってました!」という大歓声が爆発するわけですが、本作の現場はこれがどういう演出なのか知らない。「Aces High」で始まるのは何となく予想していても、シンプルに「おぉ、こりゃスゲェ!」という感じ興奮が吹き出す。そして、続く「2 Minutes To Midnight」にしても当たり前感・お約束感ゼロな手拍子が沸き起こる。まさにリアルタイムなムードが素晴らしく瑞々しいのです。さらに強烈な“80年代リアルタイム感”が爆発するのが、ブルースのヴォーカル。『死霊復活』では長い長いツアー疲れも感じられましたが、本作のヴォーカリゼーションは豪放磊落。近年ツアーの「Aces High」のように綺麗に歌いきるのとは違い、ぶっといハイトーンを豪快に放り投げるように叫ぶ。細かいメロディの機微を正確に再現するのではなく、歌詞を機銃掃射のようにバラ巻く迫力とダイナミズムの歌いっぷり。実のところ、しっかりと歌い上げる近年の歌い方の方が遙かに巧いのですが、そんなのお構いなしな力押しは今とは別人のようであり、そんなブルースに引っぱられるように演奏も若々しくエネルギッシュ。これこそがリアルタイムの、黄金時代の旨みなのです。なんとも素晴らしいライヴアルバムですが、本作は唯一にして最大の欠点がある。それは、不完全録音なこと。1stアンコールの「Run To The Hills」の後でテープが尽き、2ndアンコールの「Running Free」「Sanctuary」が録音漏れとなっているのです。何とも「惜しい!」ところではありますが、実はこのエンディングも聴きどころ。「Run To The Hills」後で沸き立つ「MAIDEN! MAIDEN!」が猛烈にリアルで熱い。“WORLD SLAVERY TOUR”と言うと『死霊復活』の巨大なスペクタクルが浮かびますが、本作の現場“ニューカッスル・シティ・ホール”は、約2000席規模のホール。そこに渦巻く1分以上のコールは広さよりもビシッとした統一感に溢れ、口笛と絶叫が飛び交うムードはNWOBHMの熱さそのもの。この「母国の英雄」を讃える熱気は、世界中どこを探しても英国にしかないのです。やはりIRON MAIDENのオーディエンス録音は、母国イギリスに勝る物はありません。もちろん、その旨みは『2ND NGHT』でも味わえますが、本作はさらに“ド真ん中にいる”感が素晴らしい。
Live at City Hall, Newcastle, UK 15th September 1984 TRULY AMAZING/PERFECT SOUND(from Original Masters)
Disc 1(55:15) 01. Churchill's Speech 02. Aces High 03. 2 Minutes To Midnight 04. The Trooper 05. Revelations 06. Flight Of Icarus 07. Rime Of The Ancient Mariner 08. Losfer Words (Big 'Orra) 09. Powerslave 10. Guitar Solo
Disc 2(30:27) 01. The Number Of The Beast 02. Hallowed Be Thy Name 03. 22 Acacia Avenue 04. Iron Maiden 05. Run To The Hills Bruce Dickinson Vocal Steve Harris Bass Dave Murray Guitar Adrian Smith - Guitar Nicko McBrain - Drums





























