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John Wetton ジョン・ウェットン/Osaka,Japan 2003

ジェフ・ダウンズと12年ぶりに共演した『ROCK OF FAITH』をリリースし、9度目(ソロ5度目)となる来日を実現させた2003年のジョン・ウェットン。その現場を伝える秘蔵のオリジナル録音が登場です。そんな本作に収められているのは「2003年9月20日:心斎橋クラブクアトロ」公演。「2003年」「心斎橋」というとオフィシャルの発掘盤『LIVE IN OSAKA』が浮かんだりもしますが、あれは発売が2003年だっただけでライヴ自体は1997年のもの。それに対し、本作は正真正銘2003年の大阪公演です。1999年・2001年の来日は関東に偏っていましたが、2003年は久々に西日本も充実。まずは、その日程からショウのポジションを確かめておきましょう。 ・9月19日:広島クラブクアトロ・9月20日:心斎橋クラブクアトロ ←★本作★・9月21日:名古屋クラブクアトロ・9月23日:渋谷クラブクアトロ・9月24日:渋谷クラブクアトロ 以上、全5公演。東名阪を巡るのは1997年以来であり、先述した公式盤『LIVE IN OSAKA』から6年ぶりの「同会場の次公演」にあたります。そんなショウで記録された本作は、凄まじいまでのダイレクト感が強烈なオーディエンス録音……です、多分。いや、録音家本人から譲られたオリジナル・マスターだけにオーディエンス録音で間違いないのですが、客とは思えないほど猛烈にオン。「距離感がない」とか「クラブの密室感」とかいうレベルではないシンクロ感。ここでFM放送サウンドボードや公式ライヴアルバム風をイメージされると、それともちょっと違う。無加工・無演出の芯(ベースが凄い!)が脳みそに直接流し込まれ、ところどころオーバーピークするほど生々しい。喝采も記録されてはいるものの、それを遙かに凌駕する骨太・肉厚な演奏音が暴れまくる。それこそ「これ、IEMs傍受じゃないの?」という感じのムキ出しサウンドなのです。そんな超ダイレクト・サウンドで描かれるのは、ASIA再始動を前にしたソロ・シンガーらしいフルショウ。2003年というと『LIVE IN THE UNDERWORLD』『AMORATA』といった公式映像も残されていますが、本作に近いのは『LIVE IN THE UNDERWORLD』の方。ここでは比較しながら整理してみましょう。 70年代(4曲)・KING CRIMSON:Book Of Saturday(★)/Starless・U.K.:In The Dead Of Night/Rendezvous 6:02 ASIA(5曲)・時へのロマン:Wildest Dreams(★)/Heat Of The Moment・アルファ:Don't Cry(★)/The Smile Has Left Your Eyes・アストラ:Voice Of America(★) ソロ他(6曲)・VOICE MAIL:Walking On Air/Battle Lines・ARKANGEL:After All・ROCK OF FAITH:A New Day/Take Me To The Waterline・カバー:Ticket To Ride※注:「★」印は公式作『LIVE IN THE UNDERWORLD』でも聴けない曲。……と、このようになっています。最新作『ROCK OF FAITH』からもセレクトしつつ、KING CRIMSONやU.K.までキャリアを総括。まだAISA再始動には至っていませんので、取り立てて「ASIA以外」に絞り込むわけでもない幅広い名曲集です。それをあのウェット・ヴォイスで綴られていくわけですが、パフォーマンス自体は「素晴らしい名演!」とも言い切れないから困ったもんだ。当時のウェットンはアルコール問題もあってか出来不出来の差が激しかったのですが、本作は1公演の中でも乱高下する。一番厳しいのは、開演直後の「Wildest Dreams」。歌詞は忘れるわ、展開は間違えるわ、声自体も荒れているわ、とんでもなくボロボロ。その後は少しずつ調子を取り戻していくものの、「In The Dead Of Night」を経た「Don't Cry」でも破れかぶれな咆哮が轟き、美メロも美声もあったもんじゃありません。しかし、「Voice Of America」辺りからはウェット・ヴォイスの旨みも蘇り、徐々に復調。現場のムードも暖かく、男性客が「Welcome to Asia!(アジアにようこそ)」と叫ぶとウェットンも思わず吹き出し、「Rendezvous 6:02」の後では「君たち最高ダヨ」も飛び出す(初日の広島公演では言いませんでした)。絶好調の名演とは違いますが、こんな時期もウェットンの人生の1ページでした。その後の活躍を知る今、もう彼はいない現在だからこそ、何もかもが皆懐かしい。そんな感慨を超ダイレクト・サウンドで掻き立ててくれるライヴアルバムの傑作。 Live at Shinsaibashi Club Quattro, Osaka, Japan 20th September 2003 PERFECT SOUND(from Original Masters) Disc 1(46:54) 1. Pathetique (Tchaikovsky) 2. Intro 3. Wildest Dreams 4. In The Dead Of Night 5. Don't Cry 6. Voice Of America 7. A New Day 8. Book Of Saturday 9. The Smile Has Left Your Eyes 10. Walking On Air Disc 2(49:06) 1. Ticket To Ride  2. Rendezvous 6:02 3. Take Me To The Waterline 4. After All 5. Starless 6. Battle Lines 7. Heat Of The Moment John Wetton - Bass, Guitar & Vocal John Mitchelln - Guitar John Beck - Keyboards Steve Christey - Drums

John Wetton ジョン・ウェットン/Osaka,Japan 2003

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