遂にデイヴィッド・リーロスとの再結成を果たし、全世界を揺るがしていた2007年のVAN HALEN。その衝撃波を極上クオリティで体験できるライヴアルバムが新登場です。そんな本作に記録されているのは「2007年12月16日サンノゼ公演」。その極上オーディエンス録音です。再結成直後のVAN HALENと言えば、先日も復刻リリースされた『THE ONE FOR ALL』『REALLY GOT THE BEST』も大好評の真っ最中。しかし、あの2作はあくまで当時の名作を復刻したものでしたが、本作は違う。近年になって登場した新マスターなのです。しかし、重要なのはマスターの新旧よりもショウの新旧。まずは、当時のスケジュールから前2作との距離感を確かめておきましょう。2007年《2月2日:デイヴ・リー・ロス復帰を公表》・9月27日-10月22日:北米#1a(13公演)・10月24日:ミネアポリス公演『THE ONE FOR ALL』・10月26日-11月8日:北米#1b(6公演)・11月10日:モントリオール公演『REALLY GOT THE BEST』 ・11月13日-12月14日:北米#1c(13公演)・12月16日:サンノゼ公演 ←★本作★・12月18日-30日:北米#1c(5公演)2008年・1月22日-2月20日:北米#2(15公演)・4月17日-7月3日:北米#3(22公演) これが2007年/2008年のVAN HALEN。実のところ、2007年編は40公演ひと続きの「北米#1」にまとめられるのですが、ここでは前2作を交えて細かく分類してみました。その中で本作のサンノゼ公演は「北米#1」全体の35公演目にあたるコンサートでした。そんなショウを真空パックした本作は、極めて端正でダイナミックな美録音。とにかく鳴りのきめが細やかで美しい。ホール鳴りも拾ってはいるのですが、それが距離感にならずディテールも隠さない。ただただ芯に絶妙な艶と厚みを加え、4人の分離感も鮮やかなままダイナミズムを添加しているのです。この個性はバンド側の出音だったのか、前2作の2007年にも通じるもの。ただし、あえて違いを挙げるなら本作の方が芯の力強さで上を行く。ほんのりとした空気感を力ずくで破るような芯がグイグイと迫り、鳴りも芯の突撃に道を譲るような謙虚さがあるのです。そのサウンドで描かれるのは、マニア筋から「究極ベスト」と評される2007年のフルショウ。実のところ、再結成も時代が進む毎に新曲が増えたり、気分を変える変化球を交えていくのですが、ここではド直球ストレートのみ。これは一般論でもありますが、再結成の一発目は周囲も本人達も「黄金時代の再来」こそがコンセプト。そのために「これが俺たちだ!」と宣言するセットを練りに練ってくるもの。つまりどのバンドであれ、本人達が考える「超ベスト」が具現化する。この醍醐味は黄金時代では味わえず、再結成時代だからこその愉しみでもあるわけです。もちろん、VAN HALENも然り。後年はツアー中にセットを入れ替えて新味を出していましたが、2007年/2008年ツアーは基本的に固定。毎晩繰り返しても本人達の得心が揺るがないセットでもありました。そんな究極ベストとは……炎の導火線(8曲) ・You Really Got Me/I'm The One/Runnin' With The Devil/Atomic Punk(★)/Little Dreamer(★)/Jamie's Cryin’(★)/Ice Cream Man/Ain't Talkin' 'Bout Love 伝説の爆撃機(3曲)・Somebody Get Me A Doctor/Beautiful Girls/Dance The Night Away 暗黒の掟(3曲)・Romeo Delight/Everybody Wants Some!!/And the Cradle Will Rock... 戒厳令(3曲)・So This Is Love?(★)/Mean Street/Unchained ダイヴァーダウン(2曲)・(Oh) Pretty Woman/Little Guitars(★)1984(4曲)・I’ll Wait/Hot For Teacher/Panama/Jump ※:「★」印は公式ライヴアルバム『TOKYO DOME LIVE IN CONCERT』で聴けない曲。……と、これがVAN HALEN自身による黄金時代の結論。後年はレア曲を交えながら各アルバムのバランスを取っていきましたが、その作為が混じる以前の結論はズバリ『炎の導火線』。「Eruption」はギターソロで披露していますので、全11曲中9曲まで(つまり「Feel Your Love Tonight」「On Fire」以外の全曲)を大盤振る舞い。それ以降の作品は2-4曲ずつコレぞ!の必殺曲をチョイスしています。そして、固定セットで鍛えに鍛え抜かれたパフォーマンスも絶品。さすがに同じ流れで35回もこなしただけあって、28年のブランクも消失。もちろん、ヴォーカルやコーラスに年齢は滲みますが、バンドとしての呼吸感は完全復活したフルショウが繰り広げられているのです。初めての再結成とは、もしかしたら大失敗に終わるかも知れない賭け。だからこそ、マニアは隅々まで万全を尽くしたセットリストに「バンド自身の結論」を見出すのです。そして、本作はそんな究極セットを全力運転に入ったアンサンブルで楽しめるライヴアルバム。2007年の新鮮さと確かな充実感がない交ぜになった傑作。 Live at HP Pavilion, San Jose, CA, USA 16th December 2007 TRULY PERFECT SOUND Disc:1 (74:06) 1. Intro 2. You Really Got Me 3. I'm the One 4. Runnin' With the Devil 5. Romeo Delight 6. Somebody Get Me a Doctor 7. Beautiful Girls 8. Dance the Night Away 9. Atomic Punk 10. Everybody Wants Some!! 11. So This Is Love? 12. Mean Street 13. Oh, Pretty Woman 14. Drum Solo 15. Unchained 16. I'll Wait 17. And the Cradle Will Rock... Disc:2 (57:42) 1. Hot for Teacher 2. Little Dreamer 3. Little Guitars 4. Jamie's Cryin' 5. Dave's Rap 6. Ice Cream Man 7. Panama 8. Guitar Solo(Eruption, Cathedral, Spanish Fly, Mean Street intro, and Women in Love intro) 9. Ain't Talkin' 'bout Love 10. 1984 11. Jump David Lee Roth - Lead Vocal Eddie Van Halen - Guitar, Vocal Alex Van Halen - Drums Wolfgang Van Halen - Bass, Vocal