正式なアルバムを残さず、ほんの数ヶ月で消滅したロバート・フライシュマン時代のJOURNEY。泡沫時代のライヴを伝説名手が捉えた奇跡のライヴアルバムが登場です。そんな本作が記録されたのは「1977年8月14日ロングビーチ公演」。その超極上オーディエンス録音です。幻のシンガー:フライシュマン時代のJOURNEYというだけで激レアですが、その現場を記録したのは、録音史の象徴でもあるカリスマ:マイク・ミラード。本作は、その大元マスターによるライヴアルバムなのです。何はさておき「フライシュ……誰?」という方もいらっしゃるかも知れませんので、まずはその辺の事情を知る意味でも1977年のスケジュールから始めましょう。・1月1日-2月1日:北米#1a(8公演)《2月『NEXT』発売》・2月9日-4月26日:北米#1b(32公演)・5月27日:サラトガ・スプリングズ公演《6月:ロバート・フライシュマン加入》・6月17日-8月24日:北米#2(32公演)←★ココ★・9月30日-10月8日:北米#3(4公演) 《10月:フライシュマン離脱→スティーヴ・ペリー加入》・10月28日:サンフランシスコ公演・11月22日-26日:北米#4(3公演)・12月28日+31日:北米#5(2公演) これが1977年のJOURNEY。2月には『NEXT』をリリースするもののセールズは振るわず、専任ヴォーカリストを加えるテコ入れ策が決定。そこで加入した初代シンガーがスティーヴ・ペリー……ではなく、ロバート・フライシュマンだったのです。新生JOURNEYはツアーに出発。BLACK SABBATHやEL&Pなどの前座で全米をサーキットしました。本作のロングビーチ公演は、そんな「北米#2」の24公演にあたるコンサートでした。そんな現場で記録された本作は、まさに極上。録音の芸術家ミラードのオリジナル・マスターだけに極上で当たり前なのですが、百も承知の上でやはり溜息が漏れる。極太で距離感のない芯、細やかでセパレートンも鮮やかなディテール、波形まで目に浮かぶ重低音のヴァイヴ、質量レベルの手応えたっぷりな中音域、どこまでも綺麗に真っ直ぐ伸びる高音。いつものことですが、ありとあらゆる要素でチェックしても文句の付けようがない……と、思いきや。実は若干気になるポイントが2つだけ。1つは極々わずかにズレていたピッチ。これはミラード発掘シリーズに付きものですが、もう1つは本作固有。前半で音圧が(ちょっとだけ)不安定になるのです。もちろん、本作ではそんなウィーク(というほどでもないですが)ポイントも徹底的に補正しました。ピッチは完全にジャストですし、音圧もビシッと整えている。音圧に関しては高いパートに揃えるとピークに歪みが発生してしまいますので、低いパートに沿って平準化。全体が綺麗に整った上で均等に引き上げ、音楽作品としての美しさとロックのパワーを両立することに成功しました。そんな最高峰サウンドで描かれるのは、初期プログレ路線のレパートリーとフライシュマンの歌声が融合した激レアなショウ。この日はEL&Pのオープニング・アクトだったためにショートセットですが、さらに序盤も録音漏れ。約37分のライヴアルバムとなっています。その内容は……・宇宙への旅立ち:Of A Lifetime(不完全)・未来への招待状:She Makes Me (Feel Alright)/Look Into The Future/On A Saturday Nite/It's All Too Much/You're On Your Own ……と、このようになっています。録音されなかったオープニング曲も「Kohoutek」と見られ、ほぼほぼ「フライシュマンが歌う未来への招待状」というショウです。『NEXT』後のツアーにも関わらず新作から一切演奏されていないのは、すでに“次”を見すえて方向性を探っていた現れなのかも知れません。注目なのは当然フライシュマンの歌声ですが、これが意外なほど(失礼!)強力。もちろん、スティーヴ・ペリーのように大成功を収められなかったかも知れませんが、もしフライシュマンのままでも面白い歴史を歩んだかも知れない……そんな歴史のIFを想像するには十分なヴォーカリゼーションを聴かせてくれるのです。後のボックスセット『TIME3』に収録された「For You」だけを残して歴史の闇に消えたロバート・フライシュマン時代のJOURNEY。37分ではあるものの、その幻のアンサンブルをミラード・サウンドで楽しめる「オフィシャル代わり」となる極上の1枚です。★これは珍しい!!なんとフライシュマン時代のJOURNEY。超貴重。音質も流石のミラード・クオリティ!! Long Beach Arena, Long Beach, CA, USA 14th August 1977 TRULY PERFEWCT SOUND (36:57) 1. Of A Lifetime 2. She Makes Me (Feel Alright) 3. Look Into The Future 4. On A Saturday Nite 5. It's All Too Much (The Beatles cover) 6. Drum Solo 7. Guitar Solo 8. You're On Your Own Robert Fleischman – lead vocals★ Neal Schon – guitars, backing vocals Ross Valory – bass, backing vocals Gregg Rolie – keyboards, backing vocals Aynsley Dunbar – drums, percussion