名作『DAMN THE TORPEDOES』『HARD PROMISES』が立て続けにプラチナ・アルバムに輝き、全盛の風を満喫していた1981年のトム・ペティ&THE HEARTBREAKERS。その現場を伝える伝説名手マイク・ミラードのオリジナル・マスターが発掘です。そんな本作に記録されているのは、スティーヴィー・ニックスもゲスト参加した「1981年6月30日イングルウッド公演」。その極上オーディエンス録音です。ミラードのトム・ペティ録音と言ったら『COSTA MESA 1990』に続いて2作目ですが、今回は80年代初期と、時期もさらに美味しい。早速、当時のスケジュールを振り返ってショウのポジションから確かめてみましょう。《5月5日『HARD PROMISES』発売》・6月7日-7月8日:北米#1(18公演)←★ココ★・7月16日-8月18日:北米#2(24公演)・9月6日:サクラメント公演・9月15日-10月8日:北米#3(15公演)これが1981年のトム・ペティ。前年の1980年には伝説の初来日を始めとして欧州やオセアニアも巡っていましたが、1981年は一転。ワールド・ツアーではなくあくまで北米限定で約4ヶ月じっくりとサーキットしていました。本作のイングルウッド公演は、そんな中でも序盤。「北米#1」の14公演目にあたるコンサートでした。そんなショウで記録された本作は、まさに絶品のオーディエンス録音。さすがミラードと申しますか、ギターを中心とした芯の力強さ、微細部に至るまで繊細なディテールも実に見事です。ただし、いつものミラード作品とはちょっと趣きも異なる。その原因は、会場の設営にあったようです。“THE FORUM”と言えば、ミラードにとっては主戦場であり、あらゆるバンド/アーティストで名作をモノにしてきた自宅の庭のようなもの。この日のチケットは4列目で「スウィート・スポットにはしてはちょっと前気味かな?」くらいだったそうですが、いざ入場したらビックリ。ステージ拡張のために最前2列が潰され、2列目になっていたのです。普段であれば近くてラッキー!となるところですが、こだわりの録音アーティストにとっては近すぎた。反響の回り込みもさることながら、一番の問題はセクリティから近すぎる事。80年代初期というと録音にも厳しい時代だったのか、百戦錬磨のミラードも逮捕されないかと冷や汗ものだったそうです。しかも、PAがすぐ頭上。マイクを隠したままPAの方向に向けられず、回り込みも拾ってしまったそうです。以上の経緯は、ミラードと観覧していたジムRの証言。言われてみれば、確かにそう聞こえなくもないのですが、それはあくまで「奇跡で当たり前」「とりあえずサウンドボード以上」と言われるミラード基準だからこそ。通常の録音家であれば、数年に1本録れるかどうかの最高傑作レベルであり、むしろ「このサウンドでも満足してないのか……」と溜息が漏れるほど瑞々しい美録音でもあるのです。そんな端麗サウンドで描かれるのは、プラチナム・アーティストとしての自信と勢いが漲るフルショウ。80年代のトムと言えば、(やや時期はハズますが)伝統の公式盤『PACK UP THE PLANTATION: LIVE!』を引き合いにするのが定例。いつも通り、比較しながら整理してみましょう。SHELTER時代(4曲)・アメリカン・ガール:American Girl/Breakdown・ユア・ゴナ・ゲット・イット!:Listen To Her Heart(★)/I Need to Know BACKSTREET/MCA時代(9曲)・破壊:Here Comes My Girl(★)/ Don't Do Me Like That(★)/Even The Losers(★)/Refugee ・ハード・プロミス:A Thing About You(★)/The Waiting/A Woman in Love (It's Not Me)(★)/Insider(スティーヴィー・ニックス共演)/Kings Road(★)その他カバー(5曲)・Cry To Me(★)/Don't Bring Me Down/ Needles and Pins(スティーヴィー・ニックス共演)/Shout ※注:「★」印は公式盤『PACK UP THE PLANTATION: LIVE!』で聴けない曲。……と、このようになっています。幅広くセレクトしてはいますが、軸となっているのは明らかに2大ヒット作『DAMN THE TORPEDOES』『HARD PROMISES』の濃縮還元。その後に定番となっていく代表曲だけでなく、80年代ならではの「A Thing About You」や「Kings Road」、その後25年間も封印される「Insider」、ソロモン・バークの激レア・カバー「Cry To Me」など、美味しいナンバーも散りばめられています。そして、そんなセットに華を添えてくれるサプライズが、ゲスト参加したスティーヴィー・ニックス! 1981年のスティーヴィーと言えば、トムも全面協力したソロ・デビュー作『BELLA DONNA』がモンスター・ヒットを飛ばしたわけですが、本作はその1ヶ月前。もちろん、すでにFLEETWOOD MACの大スターでもあった彼女は盛大な熱狂で迎えられ、2曲「Insider」「Needles and Pins」で素晴らしいデュエットを聴かせてくれるのです。黄金時代を謳歌していたトム・ペティを捉えた伝説名手ミラードの銘品ライヴアルバムです。素晴らしいサウンドと貴重な名曲群、そしてスティーヴィー・ニックスとの豪華競演……。あらゆるポイントで聴きどころの尽きない2枚組。「1981年6月30日イングルウッド公演」の極上オーディエンス録音。伝説名手マイク・ミラードの大元マスターからダイレクトにデジタル化された銘品で、ギターを中心とした芯の力強さ、微細部に至るまで繊細なディテールも実に見事な美録音です。ショウは2大ヒット作『DAMN THE TORPEDOES』『HARD PROMISES』の濃縮還元し、美味しいカバーを散りばめたスタイル。「Insider」「Needles and Pins」ではスティーヴィー・ニックスがゲスト参加し、素晴らしいデュエットを聴かせてくれます。 The Forum, Inglewood, CA, USA 30th June 1981 PERFECT SOUND Disc 1 (48:43) 1. Intro. 2. American Girl 3. Listen To Her Heart 4. A Thing About You 5. Here Comes My Girl 6. The Waiting 7. I Need To Know 8. Cry To Me 9. Don't Do Me Like That 10. Even The Losers 11. Don't Bring Me Down Disc 2 (51:21) 1. A Woman In Love (It's Not Me) 2. Insider (with Stevie Nicks) 3. Needles and Pins (with Stevie Nicks) 4. King's Road 5. Breakdown 6. Refugee 7. Shout Tom Petty - lead vocals, guitars Mike Campbell - guitars Ron Blair - bass Benmont Tench - keyboards, backing vocals Stan Lynch - drums, backing vocals