ピーター・ガブリエル時代でも人気No.1の“Selling England by the Pound Tour”。その代表作の名を欲しいままにしてきた大名盤がリリース決定です。そんな本作に吹き込まれているのは「1974年4月24日ボストン公演」。そう、かつてプ『FIVE RIVERS STORY』として大人気を博した極上オーディエンス録音の復刻盤です。本作最大のポイントは、超極上のオーディエンス・サウンドで人気No.1ツアーを現場体験できること。しかし、なぜ“Selling England by the Pound Tour”が人気No.1なのか。その理由は演奏力とセットリストの両面にある。まず「演奏力」。ガブリエル時代のGENESISは発展途上の段階にあり、作品を発表する毎、ツアーを重ねる毎に演奏力が向上していきました。つまり(日毎の好不調で例外もあるものの)後期であればあるほど、上達したショウが楽しめるのです。そして、本作のボストン公演は“Selling England by the Pound Tour”でも後期にあたるショウ。ここでそのポジションをツアー全景から確かめておきましょう。1973年・9月19日-30日:欧州#1(7公演)《10月13日『月影の騎士』発売》・10月6日-31日:英国#1(17公演)・11月7日-12月20日:北米#1(26公演)1974年・1月13日-20日:英国#2(6公演)・1月26日-2月12日:欧州#2(12公演)・3月1日-5月6日:北米#2(46公演)←★ココ★《8月『眩惑のブロードウェイ』製作開始》これが『月影の騎士』にまつわる活動の全体像。本作はその最終盤である「北米#2」の36公演目にあたるコンサート。アンサンブルもこなれにこなれた円熟の段階に来ていたわけです。こうなると「じゃあ、頂点は“The Lamb Lies Down on Broadway Tour”なのでは?」と思われるかも知れません。実際、それは正しくもある。そこでポイントになるのが2つめの「セットリスト」。ご存じの通り、“The Lamb Lies Down on Broadway Tour”はアルバム『眩惑のブロードウェイ』のストーリー完全再現がコンセプトであり、コンサートと言うよりはロック・ミュージカルに近い公演。それも重要ではあるものの、クラシックスはアンコールに1-2曲がせいぜい。歴代の多彩な名曲群は望むべくもありませんでした。それに対し、“Selling England by the Pound Tour”は通常のコンサート。『月影の騎士』までの特濃ベスト・セットなのです。その濃厚ぶりを実感していただくためにも、ここでセットの内容を整理しておきましょう。月影の騎士(5曲)・Dancing With The Moonlit Knight/The Cinema Show/I Know What I Like (In Your Wardrobe)/Firth Of Fifth/More Fool Me(★)その他(3曲)・怪奇骨董音楽箱:The Musical Box・フォックストロット:Watcher Of The Skies/Supper's Ready ※注:「★」印は最高傑作サウンドボード『DEFINITIVE MONTREAL 1974』では聴けない曲。……と、このようになっています。名作中の名作『月影の騎士』の大半が大盤振る舞いされ、そこに『怪奇骨董音楽箱』『フォックストロット』の必殺大曲3つが加わる。このツアーの最高傑作と言えば、サウンドボード『DEFINITIVE MONTREAL 1974』ですが、あの超名盤でも聴けない「More Fool Me」も演奏される事で、『月影の騎士』のA面全部+「The Cinema Show」というとんでもない濃さが実現しているのです。ちなみに(機材の不調か)シンセが鳴り響きつつ、なかなかスタートできない「I Know What I Like」のトラブルも面白いです。さて、これでいかに決定的なショウなのかご理解いただけたと思いますが、それを伝えるサウンドも凄い。古くから既発群が有名な定番音源なのですが、本作は2006年に発掘された最高峰マスター。前後も従来盤よりも長く収録され、従来盤にあったカットやノイズもなし。それどころか基本的なクオリティもグンとアップしており、専門誌から「マスターに近い音源を使用しているようだ。オーディエンス録音としては抜群の音の良さだ」「既発と同音源ながら音質はとても良くなっており、音飛びやノイズも無くなっている。オーディエンス録音ながら音の拡散や篭りが少なく、この音源の最終盤と言って良いだろう」と大絶賛されました。実際、現在耳で聴き直しても当時の絶賛が誇張には思えない。オンでダイレクト感たっぷりな芯も微細部まで克明なディテールもサウンドボードに匹敵し、それでいてほんのりわずかなホール鳴りが絶妙なダイナミズムと艶を与えている。リアルな喝采の離情感も絶品なのです。そんなショウ本編の後には、美味しいボーナス・トラックも追加収録しています。それは米国ローカル局WCBNで放送されたラジオ音源。「More Fool Me」のエンディング・パートに続いてフィル・コリンズとマイク・ラザフォードのインタビューが約6分収録されています。これだけなら超名だけのマニア音源ですが、実はこの放送があったのはなんと本編ショウの当日。Live at Music Hall, Boston, MA, USA 24th April 1974 TRULY PERFECT SOUND Disc 1(53:37) 1. Watcher Of The Skies 2. Britannia Story 3. Dancing With The Moonlit Knight 4. Romeo And Juliet Story 5. Cinema Show 6. I Know What I Like 7. 5 Rivers Story 8. Firth Of Fifth Disc 2(49:56) 1. Henry Story 2. The Musical Box 3. More Fool Me 4. Old Michael Story 5. Supper's Ready Bonus Track: WCBN Broadcast 24th April 1974 6. More Fool Me (ending part) 7. Interview With Mike & Phil Peter Gabriel - Vocals Steve Hackett - Lead Guitar Mike Rutherford - Bass Guitar Tony Banks - Keyboards Phil Collins - Drums & Percussion