LIVE AID、ネブワースとQUEEN史に残るハイライト・ショウに華を添えていたSTATUS QUO。しかし、この時期の両雄は、他にも特別なショウでステージを分け合っていました。その1つが「1986年7月12日ウェンブリー・スタジアム公演」。本作は、そのサウンドボード・アルバムです。この日は、QUEENの公式ライヴアルバム『LIVE AT WEMBLEY '86』としても有名なコンサート。本作はそのSTATUS QUO編となるものなのです。STATUS QUOが同行したのは“MAGIC TOUR”でも5公演のみ。まずは、その日程でポジションを整理しておきましょう。・7月9日:ニューカッスル・7月11日:ウェンブリー ・7月12日:ウェンブリー 【本作】・7月16日:マンチェスター・8月9日:ネブワース これが両雄が並び立った5公演。当時のSTATUS QUOは独自に欧州ツアーを行っており、“MAGIC TOUR”の英国ショウにのみ参加した形です。そして、ウェンブリー・スタジアムと言えば、あのLIVE AIDの現場。QUEENも母国のハイライト公演と位置づけており、両雄の他にTHE ALARM、INXSも参加した4組のフェスティバル形式で実施されました。そんなショウはハイライトだけにラジオでも放送。本作は、そのFMサウンドボード音源なのです。そのクオリティは、まさに絶品。FM放送と言ってもピンキリではありますが、本作のサウンドは躊躇なく「オフィシャル級」と呼べるもの。海外のマニアが公開したマスターなのですが、受信ノイズもマスター劣化も見当たらず、ミックスも美しい。当時の電波がダイレクトに届いたかのような素晴らしいクオリティなのです。ただし、完璧なのはサウンドに関して。実は、この放送は編集にクセがある事でも知られており、一部の曲が早めにフェイドアウトしてしまうのです。終盤「Don't Waste My Time」や「Roadhouse Blues」も尻切れトンボなのですが、困るのはオープニングの「Whatever You Want」。あまりにも早くフェイドアウトしてしまい、せっかくのオープニングの勢いを削いでいたのです。そこで、このマスターを製作したマニアは欠けたパートを別のミルトン・キーンズ公演で補完。ショウの完全形とまではいきませんが、いきなりのカマされていたガッカリ感をかなり解消しているのです。そんな欠点はありつつも、やはりサウンドボードの極上クオリティで味わえるショウは素晴らしい。セットは微妙に違う。本編のネブワース公演は全編70年代ナンバーで埋め尽くしていましたが、本作はさらに『JUST SUPPOSIN’』の「Don't Drive My Car」が追加。逆に減らされた曲はなく(アンコールに演奏された「Caroline」は未収録。残念!)、増量になっているのが嬉しい。また、80年代のSTATUS QUOと言えば、活動停止直前の公式ライヴ作『LIVE AT THE N.E.C.』でもお馴染みですが、そこでも聴けない「Paper Plane」や「Mystery Medley」も公式級サウンドで楽しめるのです。そして、そんなセットを綴る演奏こそが素晴らしい。1986年のウェンブリー・スタジアムと言えば、LIVE AID、ネブワースと並ぶ後期QUEENを代表する名演が生まれた現場。その特別感は前座を務めたSTATUS QUOにとっても同じだったらしく、本作からは取り戻した意欲と復活の勢いが溢れ出し、やたらとキレの良いブギがショウをグイグイと引っぱっていく。その機微がディテールまで超鮮明なサウンドボードでじっくり楽しめるのです。気の効かない放送編集のせいでギフトでのご紹介となりましたが、サウンド・クオリティの面では永久保存が相応しい。そんな極上の銘品サウンドボードで象徴的なウェンブリー・スタジアムの熱演を楽しめるオフィシャル級ライヴアルバムです。Live at Wembley Stadium, London, UK 12th July 1986 STEREO SBD (54:08) 1. Intro 2. Whatever You Want 3. Paper Plane 4. Roll Over Lay Down 5. Little Lady 6. Mystery Medley 7. Hold You Back 8. Don't Drive My Car 9. Dirty Water 10. Rockin' All Over The World 11. Big Fat Mama 12. Don't Waste My Time 13. Roadhouse Blues Francis Rossi - Guitar, Vocal Rick Parfitt - Guitar, Vocal John Edwards - Bass, Vocal Andy Bown - Keyboards Jeff Rich - Drums FM BROADCAST RECORDING