ランディ・ローズのデビューともなったQUIET RIOTの『新たなる暴動』。日本でのみリリースされた幻の名作がリリース決定です。オジー・オズボーンとの出逢いによってロック史に巨大な足跡を残す事になったランディ。しかし、彼の心にあったバンドはオジーではなく、QUIET RIOTだったそうです。そもそもQUIET RIOTは、ランディ自身が結成したバンド。1973年にケヴィン・ダブロウやケリー・ガルニ、ドリュー・フォーサイスと組んだロサンゼルスのローカル・バンドでした。結成当初は“MARCH 1”と名乗っており、その後“LITTLE WOMEN”→“QUIET RIOT”と改名したのは1975年になってからでした。地元では非常に人気が高く、デビュー前VAN HALENの根城としても有名な“スターウッド・クラブ”にも出演しており、定員600名にも関わらず1500人以上が押しかけたというエピソードも残されています。しかし、いかに地元人気があっても70年代後期はハードロック受難の時代。VAN HALENも契約に苦労していましたが、それはQUIET RIOTも同じでした。そんな中で彼らのアイドル的なルックスに注目した日本のCBS/ソニーが契約を打診。日本限定でデビューアルバム『新たなる暴動』がリリースされる運びとなりました。レコーディングされたのは1977年6月-8月で、プロデューサーにはWISHBONE ASHやNGELを手掛けたデレク・ローレンス&ウォーレン・エントナーを起用。ライバルだったVAN HALENの『炎の導火線』とほぼ同時期のことでした。しかし、残念ながら『新たなる暴動』は日本以外での発売には至らず、すぐに廃盤。その後、オジーと組んだランディとカルロス・カヴァーゾと再始動したQUIET RIOTがそれぞれブレイクしたわけですが、『新たなる暴動』は何曲かがコンピレーション盤『THE RANDY RHOADS YEARS』で聴ける程度で幻となった。本作は、そんな当時のLP起こし……ではなく、epic制作のプロモCDから精緻に復刻されたものなのです。さて、そんな『新たなる暴動』ですが、その内容は極めて初々しい。オジーとは異なるストレートなアメリカンHRではあるものの、後の『メタル・ヘルス』ほどヘヴィでもない。ランディのギターはしっかりと目立っているのですが、そこにはクラシカルな美旋律はない。「Yankee Doodle(アルプス一万尺)」をモチーフにした「Get Your Kicks」のアレンジなどアイディアは感じるものの、まだまだ個性が確立する段階にまで至っていない。むしろ、SMALL FACESの「Tin Soldier」やDAVE CLARK FIVEの「Glad All Over」を取り上げるなど、カバーセンスに『メタル・ヘルス』以降の萌芽が感じられる。ランディによると、当時のQUIET RIOTは「QUEENの華麗なドラマティシズム+DEEP PURPLEのヘヴィネタスの融合」を目指していたそう。言われれば、なるほどそっちを向いているのかも……という気がしなくもないのですが、やはり実力が追いついていないようです。まさに出発点。「地元のヒーロー」から脱皮しようともがくランディの姿が透けるような初々しいデビュー作です。『THE RANDY RHOADS YEARS』でも聴けた「It's Not So Funny」「Look in Any Window」「Mama's Little Angels(Last Call for Rock 'n' Roll)」だけでなく、全12曲をたっぷりと楽しめるオリジナル盤。QUIET RIOT - QUIET RIOT 1. It's Not So Funny 2. Mama's Little Angels 3. Tin Soldier (Small Faces cover) 4. Ravers 5. Back to the Coast 6. Glad All Over (Dave Clark Five cover) 7. Get Your Kicks 8. Look in Any Window 9. Just How You Want It 10. Riot Reunion 11. Fit to Be Tied 12. Demolition Derby Kevin DuBrow - lead vocals Randy Rhoads - lead & rhythm guitars Kelly Garni - bass guitar Drew Forsyth - drums