これまで知られてこなかった1971年カリフォルニアの秘蔵マスターが2種同時発掘!今回発掘されたのは、カリフォルニアの録音家ロバート・リッチによる2つの大元カセット。本作は、そのうちの1本目である「1971年2月23日イングルウッド公演」の強力オーディエンス録音です。今週同時リリースされる2作品はどちらも「1971年」ではありますが、時期は7ヶ月ほどズレており、本作は“PARANOID Tour”の一幕。この時期の代表作と言えば、ブリュッセル公演のプロショット(かつて「パリ70」として知られていた映像)もありますので、当時のスケジュールから併せて確かめてみましょう。 1970年 “PARANOID Tour” ・9月11日-15日:欧州#1a(4公演)《9月18日『パラノイド』発売》・9月20日-10月26日:欧州#1b(21公演)←※BRUSSELS 1970・10月30日-11月28日:北米#1(31公演)・12月5日-19日:欧州#2(6公演)●1971年・1月7日-23日:欧州#3(11公演) ・1月31日:MYPONGA OPEN AIR出演《2月5日『マスター・オブ・リアリティ』制作開始》・2月17日-4月2日:北米#2(40公演) ←★ココ★《4月5日『マスター・オブ・リアリティ』完成》・4月14日-26日:欧州#4(10公演)これが“PARANOID Tour”の全体像。この頃のサバスは年号とツアーの区切りが一致せず、1970年の前半には“BLACK SABBATH Tour”があり、1971年後半は“MASTER OF REALITY Tour”もある。ここでは“PARANOID Tour”だけを抜き出しています。「北米#1」はサバス初の北米ツアーでもあったわけですが、本作のイングルウッド公演は2度目の方。「北米#2」9公演目にあたるコンサートでした。また、サバスの初期3枚はツアー活動と同時並行で制作された事でも知られますが、本作の「北米#2」こそ『MASTER OF REALITY』の制作時期。ただし、スタジオとステージを行き来していたわけではなく、アルバム制作はロンドンの“アイランド・スタジオ”であり、ツアーは北米。1日毎の詳細な行動歴は分かっていませんが「2月初旬の10日間ほど」で録音して「帰国後の4月頭」にフィニッシュ……という流れだったようです。ともあれ、本作に刻まれたサバスは名作中の名作『MASTER OF REALITY』を創り上げたバンド・ポテンシャルそのものだったわけですが、それを伝えるサウンドも超強力。このショウには既発『L.A. FORUM 1971(Shades 113)』もありますが、本作はまったくの別録音。そのサウンドは比較にもならず、何よりも凄いのは猛烈にオンでダイレクト感たっぷりな芯。これがもう、本当に強力で距離感どころじゃない。音響分析にかけたらホール鳴りも検出されるのかも知れませんが、聴いていて気づくレベルじゃない。それこそ「まるでサウンドボード」となる超極太サウンドなのです。その一方で、強力すぎるために低音が割れ気味でもある。その点ではやや慣れが必要で「万人向け」「超極上」と喧伝するわけにもいかない。しかし、一旦慣れてしまうとディテールも細やかに記録されていることに気づく。ギターの激しいエッジにはピッキング・ニュアンスまでしっかり刻まれ、ドラムはキットの構造が浮かぶほどに立体的。そして何より、ヴォーカル。全体的には暴虐感のあるサウンドでありつつ、オジーの歌声に関しては艶っ艶で超美麗。この対比を視覚的に喩えるなら、目の荒い紙やすりの上に真珠をバラ巻いたような感じ。触れれば怪我するような危険なロック・サウンドの中に、光り輝く歌メロが散りばめられている。しかも、本作はそんな初登場音源をさらにブラッシュ・アップ。狂っていたピッチもビシッと整え、ネット音源では激しすぎた重低音も整理。もちろん、原音のリアリズムは微塵も損なうことなく、一層聴きやすく、1971年の現場を可能な限り忠実に再現しているのです。そんなコントラスト・サウンドで描かれるのは『MASTER OF REALITY』のバンド・ポテンシャルで初期2枚『BLACK SABBATH』『PARANOID』を濃縮還元したようなフルショウ。ここでセットの内容も整理しておきましょう。黒い安息日(3曲) ・N.I.B./Black Sabbath/Wicked World(★)パラノイド(4曲)・Paranoid/War Pigs/Iron Man/Fairies Wear Boots ※注:「★」印は決定映像『BRUSSELS 1970』でも聴けない曲。……と、このようになっています。特に珍しい曲を演奏しているわけではありませんが、50年後の現在でもサバスの代名詞となる超代表曲がズラリと並ぶセットは壮観。TV番組用だった『BRUSSELS 1970』ほど多彩ではないものの、代わりに12分に及ぶジャム・ナンバー「Wicked World」のライヴ感もたまりません。そして、本作はフルショウの終了後まで必聴。テープが余っている事に気づいたロバート・リッチ自身がコンサートの感想を吹き込んでいるのです。どうやら友人も一緒のようですが、いかに凄いショウだったかを語る声が興奮で上ずり、バンド名を連呼する声色には恍惚が浮かんでいる。サバスに限らず、さまざまな70年代録音を手掛けてきましたが、これほどリアルな記録はお目にかかった事がない。歴史的なショウをリアルタイムの現場で浴びるという事がどういう体験なのか、その感動/感激をものの見事に伝えてくれるのです。とんでもなく強力なサウンドの新発掘ライヴアルバムです。貴重な“PARANOID Tour”を現場体験できるだけでなく、実際の興奮まで全身を駆け巡る超リアル・アルバム。「1971年2月23日イングルウッド公演」の強力オーディエンス録音。録音したロバート・リッチ本人の大元カセットからデジタル化された銘品で、そのサウンドは超強力。猛烈にオンでダイレクト感たっぷりな芯がド迫力で、距離感どころじゃない。ワイルドな鳴りにはやや慣れも必要ですが、ギターの激しいエッジにはピッキング・ニュアンスまでしっかり刻まれ、オジーの歌声は艶っ艶で超美麗。絶頂BLACK SABBATHを目の前感覚でフル体験できる驚異の新発掘ライヴアルバムです。The Forum, Inglewood, CA, USA 23rd February 1971 TRULY AMAZING/PERFECT SOUND(UPGRADE) (53:31) 1. Introduction 2. Paranoid 3. N.I.B. 4. War Pigs 5. Black Sabbath 6. Iron Man 7. Wicked World 8. Guitar Solo Incl. Orchid 9. Wicked World (Reprise) 10. Fairies Wear Boots 11. Aftershow Conversation Ozzy Osbourne - Vocals Tony Iommi - Guitar Geezer Butler - Bass Bill Ward - Drums