これまで知られてこなかった1971年カリフォルニアの秘蔵マスターが2種同時発掘!今回発掘されたのは、カリフォルニアの録音家ロバート・リッチによる2つの大元カセット。本作は、そのうちの2本目である「1971年9月25日ロングビーチ公演」の絶品オーディエンス録音です。今週同時リリースされる2作品はどちらも「1971年」ではありますが、時期は7ヶ月ほどズレており、本作は“MASTER OF REALITY Tour”の一幕。当時のスケジュールを振り返りつつ、ショウのポジションを確かめてみましょう。1971年 “MASTER OF REALITY Tour”・7月1日-31日:北米#1(29公演) ←※BEGGARS’ BANQUET DANCE ・9月4日-7日:欧州#1(3公演)・9月10日-10月28日:北米#2(23公演) ←★ココ★ 1972年・1月24日-2月24日:欧州#2(22公演)・3月1日-4月2日:北米#3(31公演)《5月『VOL.4』制作》1971年4月までの“PARANOID Tour”は同時リリースとなる『L.A. FORUM 1971』を参照いただくとして、ここでは“MASTER OF REALITY Tour”の全体像をまとめました。この後、1972年5月が『VOL.4』制作に充てられ、6月末からツアー再開。『VOL.4』は初のセルフ・プロデュース/米国録音/鍵盤導入など、実験の多いアルバムとして知られていますが、「ツアーと切り離された環境で作った初のアルバム」という意味でも新境地だったわけです。閑話休題。サウンドボードが存在しない“MASTER OF REALITY Tour”の代表作と言えば、大名盤『BEGGARS’ BANQUET DANCE 1971』となるわけですが、本作のロングビーチ公演はその約2ヶ月後の別レッグ。「北米#2」の6公演目にあたるコンサートでした。そして、このショウを聴けるのは本作が初。同時リリースの『L.A. FORUM 1971』は別録音の既発が存在しましたが、こちらはこれまで一切の記録がなく、誰も聴いた事のなかった完全初公開なショウなのです。そんなショウを伝えるサウンドがまた、絶品。本作も『L.A. FORUM 1971』と同様にロバート・リッチの大元マスターからダイレクトにデジタル化されているわけですが、サウンドの傾向はかなり違う。『L.A. FORUM 1971』がド迫力で押しまくるサウンドだったのに対し、本作はバランスに優れ、鳴りも端正な美録音。『L.A. FORUM 1971』ほどド密着なわけではありませんが、決して遠いわけでもない。喩えるなら姉妹作が卓直結サウンドボード級のゼロ距離感だとすれば、本作はコンサート会場のムードを再現したFMサウンドボード級といったところでしょうか。ほんのりとしたホール鳴りが全体をまとめつつ、クッキリした芯が耳元に飛び込んでくる。より万人向けの名録音であり、あの大名盤『BEGGARS’ BANQUET DANCE 1971』に負けずとも劣らない新名盤なのです。その端麗サウンドで描かれるのは、“SABBATHサウンド”も完成した絢爛のフルショウ。BLACK SABBATHは初期3枚で個性を確立していき、『VOL.4』から実験へと踏みこんでいったわけですが、本作はその初期3枚の濃縮還元なのです。ここでそのセットも整理しておきましょう。 黒い安息日(2曲)・N.I.B./Wicked World パラノイド(4曲)・War Pigs/Iron Man/Paranoid/Fairies Wear Boots マスター・オブ・リアリティ(2曲+α)・Sweet Leaf/Embryo/Children of the Grave ……と、このようになっています。初期3枚からは後の再結成時代でも大量に演奏されているわけですが、その大代表曲がズラリ。現在の感覚からすると名刺曲「Black Sabbath」がセット落ちしているのが信じられませんが、これも新曲が次々と生まれていった当時なればこそ(ちなみに次に「Black Sabbath」が復活するのは“SABBATH BLOODY SABBATH Tour”も後半に差し掛かった1974年2月)です。そして、そのセットを紡ぐ塩素婦野凄まじい事! デビュー当時から卓越していたBLACK SABBATHではありますが、それでも場数を踏んだからこその成長度は目を見張る。4人の呼吸感はきっかけナシでもビシッとシンクロする域に達し、それが一気にほぐれて触れず我火花を散らすジャムも素晴らしい。そして何より、世界を股にかけるようになったスケールの大きなグルーヴ感もぶっとく強烈。成熟しつつ、慣れが出てこない一番美味しいアンサンブルを極上体験できてしまうライヴアルバムなのです。画期的なヘヴィ・サウンドを発明してロックの歴史を塗り替え、彼ら自身の人生も支配した3部作『BLACK SABBATH』『PARANOID』『MASTER OF REALITY』。その3作を創り上げたバンド・ポテンシャルもそのままに、極めつけの名曲群を1つのショウに濃縮したフルステージを現場体験できる。本作は、そんな醍醐味がパンパンに詰まって溢れてこぼれ出す1枚です。50年後の地球に突如甦った絶頂BLACK SABBATHの姿。「1971年9月25日ロングビーチ公演」の絶品オーディエンス録音。録音したロバート・リッチ本人の大元カセットからデジタル化された銘品で、そのサウンドは極めて端麗。ほんのりとしたホール鳴りが全体をまとめつつ、そのド真ん中を貫く芯はクッキリと鮮やかなまま耳元に飛び込んでくる。あの大名盤『BEGGARS’ BANQUET DANCE 1971』に負けずとも劣らないサウンドで、これまで記録が一切なかったショウをフル体験できる衝撃の新名盤です。Long Beach Arena, Long Beach, CA, USA 25th September 1971 TRULY AMAZING SOUND (65:28) 1. Intro 2. N.I.B. 3. War Pigs 4. Sweet Leaf 5. Iron Man 6. Embryo / Children of the Grave 7. Wicked World 8. Guitar Solo Incl. Orchid / Jam 9. Wicked World (Reprise) 10. Paranoid 11. Fairies Wear Boots Ozzy Osbourne - Vocals Tony Iommi - Guitar Geezer Butler - Bass Bill Ward - Drums