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Pink Floyd ピンク・フロイド/CA,USA 4.21.1975 Upgrade

2010年代の前半にはヨーロッパを中心として「初登場音源をアナログ盤だけで流通させる」という厄介な風潮が存在していました。アナログLPが大復活を遂げてしまった現在ならまた別の話でしょうが、当時はデジタルやインターネットへ安易に流通させない為の姑息な手段として利用されていたもの。ことフロイドに関してはこの手法が暗躍した感があり、そういえば「WISH YOU WERE HERE」と「ANIMALS」それぞれのアウトテイク音源に関してもLPで初お目見えしたことを覚えているマニアが多いのではないかと。そうした状況でリリースされ、今なおLPでしか聞くことが出来ないのが1975年サンディエゴ公演のサウンドボード録音。2013年にその名も「CALIFORNIA SOUNDBOARD」というタイトルで「THE DARK SIDE OF THE MOON」セットをメインに素晴らしいステレオ音質で収録してみせたことで世界中のマニアに大きな衝撃を与えたアルバム。そもそも75年アメリカ・ツアーからのサウンドボードというだけでも衝撃は凄まじいものがありましたが、出した側としても自信があったのでしょう、裏ジャケに「A Top Quality Tape Recorded Directly From The Mixing Desk」とクレジットされていたほど。ところが実際に聞いてみればミキシング・デスク、つまりPAアウトのサウンドボードとは一線を画す素晴らしいステレオ・サウンドボード録音であったことがさらに大きな衝撃を与えたのです。演奏のバランスはもちろん、コーラス隊の奇麗にステレオ・セパレート。そして何より歓声もしっかり入っており、普通のライブアルバム用にマルチトラックを用いて録音された音源であることは明白だった。なるほど、これほど衝撃の発掘であったからこそ、敢えてLPでしかリリースされなかったという…そのあまりの衝撃ゆえ、リリースされた2013年当時にLPをそのままCDに収録したバージョンをSIGMAの「SAN DIEGO 1975」の追加としてリリースしたところ、LPで速かったピッチをアジャストした上で収録していたこともあり「これは凄い音源だ!」と大反響を巻き起こしてしまったのでした。先に触れたアウトテイクの前例がありましたので、こちらの音源に関しても「様子見」していた次第です。ところがどうでしょう、LPのリリースから10年近い歳月が経過しても別のフォーマットでの音源がまったく登場しない。それに業を煮やしたマニアが最新技術でLPを丁寧にトレースしてくれた「CALIFORNIA SOUNDBOARD Rev. A」が今回のリリースの元。単にLPをトレースした2013年盤CDとの差は明らかで、LPをベースにしているとは思えないほどスクラッチノイズが皆無。それでいて音質そのもののアッパー感は素晴らしいものがある。まだ最終的なマスタリングが施される前の段階の流出音源ですので、オフィシャル的完成度には一歩及ばないのですが、むしろラフさや生々しさを残していながら最高のステレオ・サウンドボード録音で75年ツアーを聞けるという衝撃は今も色褪せていません。今回のリリースに際してはサウンドボードが流出していないライブ前半の新曲パートを「SAN DIEGO 1975」と同じモノラル・オーディエンス録音から採用することでライブそのものの全長版収録を実現させています。とはいっても今から10年以上前にリリースされた「SAN DIEGO 1975」からの流用ではなく、こちらも2013年になってフロイド・レア音源界の一人者Neonknight氏が公開したファースト・ジェネレーション・コピーを採用することでアップグレードを実現。それにしてもステレオ・サウンドボード録音で聞ける75年ツアーの衝撃はあまりに大きい。前年まで残されていた従来のフロイド的なサウンドの浮遊感が一掃され、ハードかつソリッドなサウンドで演奏される「THE DARK SIDE OF THE MOON」パートの迫力たるや。女声コーラス、ブラックベリーズの二人のソウルフルな歌声が左右から飛び交う様など実に鮮烈ですし、ロジャーの安定感抜群でありながらも縦横無尽に駆け巡るベースの存在感。演奏のステレオ感だけなら本ツアー優良音源でも体験できましたが、こうしたさらなるディティールの表現力が際立つステレオ・サウンドボードにはかなわない。そして「CALIFORNIA SOUNDBOARD」で物議をかもしたのは初回100枚のみに収録されていたラストの「Echoes」。てっきり同日の演奏かと思いきや、いざ蓋を開けてみればサンディエゴのテイクでなかったことが一目瞭然。それを知っていながら敢えて初回ディスクにだけ収録したという確信犯的な扱いであったことを思い知らされます。消去法からデンバー公演もしくはツーソン公演だと推測されているこのテイクですが、歌パートが始まったところギルモアのマイクがオフというトラブルが起きており、これがまたサンディエゴにないハプニングであったことを際立たせています。さらにステレオ・サウンドボード録音のおかげで少しの間だけ一人で歌う羽目になったリックの歌声に聞き惚れてしまうという別の作用もありました。ところが「CALIFORNIA SOUNDBOARD」あるいは同音源「Rev. A」でも見落とされていたのが「THE DARK SIDE OF THE MOON」終盤二曲。実のところ、それら二曲のサウンドボードの方が何年も前からリリースされていたのです。そんな古のCDは「DESK TAPE - DARKSIDE II」。メインで収録されていたのは77年アニマルズ・ツアーからウィーン&ベルリンのサウンドボードであり、それらのパートに関してはその後77年ツアー・アイテムに流用されたのですが、そこに入っていた「Eclipse」と「Brain Damage」が実は75サンディエゴであったことが近年になって判明。つまりこれを流用すればサンディエゴ・サウンドボードの最長版が出来上がるという訳。これぞ見過ごされていた音源だったのです。そもそも流出音源は「Shine On You Crazy Diamond (Parts 6-9)」終盤からの収録ではあるのですが、それでも鮮烈なステレオ・サウンドボードの最長収録は聞き応え十分。それでいてオーディエンス録音ながらライブ前半も楽しめるという内容にはマニアも納得かと。これぞ正に「Revised Edition」が相応しいというもの。Live at Sports Arena, San Diego, CA, USA 21st April 1975 AUD/SBD(UPGRADE) Disc 1 (62:37) ★ほぼ全編AUD (6trkの一部のみSBD) Audience Recording 1st Gen★既作を上回る素晴らしい音質 1. Introduction 2. Raving And Drooling 3. You've Gotta Be Crazy 4. Shine On You Crazy Diamond (Parts 1-5) 5. Have A Cigar 6. Shine On You Crazy Diamond (Parts 6-9) ★7:55 - 11:39 SBD 0:00 - 58:28 AUD *58:28はお互い欠落しており演奏の性質から拍合わせもできないのでフェードしました。58:28 - 62:13 SBD 62:13 - 最後まで AUD Disc 2 (78:58) ★★ほぼ全編SBD 使用音源:メインは「California Soundboard」&「狂気」ラストは「Desk Tape - Darkside II」 The Dark Side Of The Moon 1. Speak To Me 2. Breathe 3. On The Run 4. Time 5. Breathe (Reprise) 6. The Great Gig In The Sky ★6:18 面変りで弱音も繋がっている。 7. Money 8. Us And Them ★6:06 - 最後まで AUD (6:06は欠落) 9. Any Colour You Like ★0:00 - 9:49 AUD 10. Brain Damage *「Desk Tape - Darkside II」から 11. Eclipse *「Desk Tape - Darkside II」から 12. Echoes (Unknown Date) *SBDのエコーズは1975-04-17デンバー公演もしくは1975-04-19ツーソン公演の可能性が高いと言われている。

Pink Floyd ピンク・フロイド/CA,USA 4.21.1975 Upgrade

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