ゲイリー・ムーアは'70年代からすでに凄腕のギタリストとして知られ、THIN LIZZYやCOLLOSEUM IIにおける作品だけでなく、ソロとしても「GRINDING STONE」や「BACK ON THE STREETS」を発表し、高い評価を受けていました。しかし'80年当時は、ゲイリーが意気込んだG-FORCEでの活動も短期間で頓挫し、レコード会 社にも振り回されるなど、本格的なソロキャリアのスタートを前にした"生みの苦しみ"といえる時代で、ライヴ音源の種類もあまり多くありません。それだけ に本作「LOOK AT YOU」で"GARY MOORE & FRIENDS"のオーディエンス音源が登場した事は、ファンにとって大変画期的な出来事でした。上記したG-FORCEの解散後、ゲイリーはJETレコードとの契約消化を目的として複数の作品を製作する事となりました。そのうちのひとつとしてライ ヴ・アルバムが企画され、ゲイリーは元LONE STARのヴォーカルであるケニー・ドリスコル、KINKSでのキャリアがあるベーシストのアンディ・パイル、さらにはドン・エイリーやOZZY OSBOURNE参加前のトミー・アルドリッチを迎えて"GARY MOORE & FRIENDS"を結成。'80年11月に4回のみショウを行い、11月5日と6日のロンドン"マーキー・クラブ"公演をオフィシャル・レコーディングし て、後の「LIVE AT MARQUEE」を製作します。本盤はその"GARY MOORE & FRIENDS"としての初日公演である11月1日のイギリス・アシュフォードにおけるライブを、約70分間にわたり収録したものです。セットリストは「BACK ON THE STREETS」のソロ曲だけでなく、G-FORCEそしてTHIN LIZZYと多彩な楽曲から構成されています。公式作品「LIVE AT MARQUEE」では収録時間の都合から未収録だった楽曲が多数含まれているのが特徴で、また曲順も大きく異なるなど、ファンはオーディエンス録音の長所 である"ありのままのライヴ"をたっぷりと楽しめます。音質的にも本盤はトレーダー間に知られるソースを上回る、当時としては極上レベルのオーディエンス 録音で収録しています。時折マスター・テープ由来のノイズが多少散見されるものの、ギターやヴォーカル・キーボードは非常に聴き取り易く、さらに入力過多 になる場所もほとんど無いなど、貴重なラインナップが演奏するレア曲の数々をしっかりと確認できます。ライヴはオープニングを飾る「Back On The Streets」や、後半に位置する「Nuclear Attack」や「Rokin' And Rollin'」など定番曲が織り込まれており、'82年年以降の「CORRIDORS OF POWER」ツアーにおける雛形を見て取れます。それらに挟まる形でG-FORCEナンバーを豊富に取り上げているのが印象的で、特に「Because Of Your Love」や「She's Got You」は、G-FORCE以上に曲の良さを感じるプレイです。これらのうち「I Look At You」は現時点でこの日しかライヴ演奏が確認されていないレアナンバー。メロディアスな曲想にほんのり漂うポップなテイストが特徴の同曲では、後半にゲ イリーお得意の"泣きのソロ"もフィーチャーされ、ファンなら聴き逃せない本作最大の聴き所です。ゲイリーはどの曲でも聴いた瞬間"ああ、ゲイリーだ"と判る独特の奏法と音色でファンを魅了し、同時にバンドのプレイヤーも"FRIENDS"の名義通 り印象に残る演奏を聴かせてくれます。ポップ・テイストを湛えたケニー・ドリスコルの歌唱も見事ですが、特にドン・エイリーの貢献は随所で光っており、 「You」や前記した「I Look At You」、さらにインスト・アレンジされた「Parisienne Walkways」では彼のプレイと味付けが、普段とは違った曲の表情を映し出しています。またドラムを務めるトミー・アルドリッチは「Dallas Warhead」のドラムソロにおいて素手プレイと思しき音を発し、彼らしい特徴的なソロを楽しませてくれます。ライヴ後半では製作前の「DIRTY FINGERS」からもチョイスが観られ、初演となる「Nuclear Attack」を優れた音質で聴く事ができます。さらに「White Knuckles」・「Rockin' And Rollin'」が、メインセットを満点の迫力で締めくくります。アンコールはG-FORCEライヴでも取り上げられていたTHIN LIZZYナンバーの「Toughest Street In Town」と「Run To Your Mama」。どちらもこの時期のみの演奏だけに、こうしてライヴテイクを聴けるのはファンを喜ばせるでしょう。公式ライヴでは知りえなかった当時のライヴを生々しく体験させる本作は、G-FORCEから'82年以降の本格的なソロへと至るゲイリーを知る上で、多 くのファンが待ち望んでいた一本です! もし本作を未聴という方は、G-FORCEの残り香と'82年に繋がるムードが同居する"過渡期的"なショウを!Live at The Stour Centre, Ashford, Kent, UK 1st November 1980 TRULY AMAZING SOUND 1. Back On The Streets 2. Because Of Your Love 3. Dancin' 4. She's Got You 5. You 6. I Look At You 7. Parisienne Walkways 8. Nuclear Attack 9. Dallas Warhead incl. Drum Solo 10. White Knuckles 11. Rockin' And Rollin' 12. Toughest Street In Town 13. Run To Your Mama Gary Moore - Guitar, Vocal Kenny Driscoll - Lead Vocal Andy Pyle - Bass Don Airey - Keyboards Tommy Aldridge - Drums