「ボウイ復活」を満天下に知らしめた“HEATHEN Tour”。その極上ステレオサウンドボード・アルバムがリリース決定です。5年ぶりに実現したワールドツアーということもあってか、この時代はサウンドボードの大豊作。当店でもツアーNo.1の大名盤『OLYMPIA 2002』をはじめ、『MONTREUX 2002』『BBC LIVE 2002』、『BERLIN 2002』等々、多数レポートしてきました。本作は、そんな傑作群に漏れつつも、極上を究めるようなサウンドボードをコンパイルしたライヴアルバムです。 【メンバー監修の超極上サウンドボード】とは言え、ただの“残り物”でもありません。実は、本作を監修したのは当時のバンドメンバー:マーク・プラティ。彼は『EARTHLING』から『REALITY』まで参加したプロデューサー/ミュージシャンであり、“HEATHEN Tour”でもリズムギター/ベース/キーボード/コーラスと八面六臂の活躍を見せた才人。ただの関係者とはわけが違い、中心核に入り込んだ人物が選定し、公開したマスターなのです。そんな本作には3種のサウンドボードが収録されていますが、まずメインになるのは「2002年8月5日トロント公演」で、本作の全17曲中12曲を占める。ここで“HEATHEN Tour”の全体像からショウのポジションを確認しておきましょう。《6月11日『HEATHEN』発売》・6月11日+15日:ウォームアップ(NY2公演)・6月29日:TOTAL MELTDOWN(ロンドン1公演)・7月1日-18日:欧州#1(9公演)・7月28日-8月16日:北米#1(12公演) ←★ココ★ ・9月22日-10月2日:欧州#2(6公演)・10月11日-23日:北米#2(7公演) 以上が“HEATHEN Tour”の概要。先述したサウンドボード/プロショット群はすべてヨーロッパでしたが、本作は「北米#1」。その6公演目にあたるコンサートです。このサウンドボード最大の旨みは、とにかく強烈なのはクオリティ。残念ながら放送枠の関係かショウの約半分という不完全版なのですが、サウンドは完璧なオフィシャル級。単にド直球なサウンドボードというだけでなく、精緻なミックスが施され、各楽器のバランスも完璧ならヴォーカルにかかるわずかなエコーにいたるまで練り込まれた完成度。大歓声が入るタイミングも完全に計算されており、さすがメンバー監修と言うべきか、完璧に“作品然”とした超・極上のサウンドボードなのです。公開されたマスターそのままでも堂々とオフィシャル・リリースできるクオリティだったのですが、せっかくのハイクオリティ・サウンドだけに本作ではさらにひと磨き。わずかに濁り気味だった中音域を整理し、一層クリアに透き通るサウンドに仕上げました。そのクオリティで描かれるショウも素晴らしい。このツアーでは『LOW』『HEATHEN』完全再現をテーマとしたニューヨーク公演やロンドン公演が有名ですが、通常コンサート形式のセットになったのは「欧州#1」から。本作のトロント公演は、そこから場数をこなしたことでアンサンブルもこなれ、バンドのエンジンが全開になった頃。まさに本領発揮のショウが味わえるのです。そんなトロント公演に続くのは、2種のスタジオライヴ。BBCの名物番組“MICHAEL PARKINSON SHOW”の2曲「Everone Says "Hi”」「Life On Mars?」と、“TOP OF THE POPS 2”の3曲「Slow Burn」「Fame」「I Took A Trip On A Gemini Spaceship」です。こちらもマーク・プラティが監修しており、さすがの完成度……と言いたかったのですが、ネット公開されたマスターには極わずかにキズがありました。基本のクオリティはトロント公演にも負けない超極上ぶりなのですが、数カ所に音飛びが残され、各音源の音圧もバラバラ。のまま公開されたのです。音圧はラウドネス・ノーマライズされた環境で聴く分には問題にならないのかも知れませんが、音飛びは厳しい。本作はあくまでも“作品”としてのライヴアルバムにこだわり、完璧に補正した状態。そんなクオリティも以上にメンバー監修の風格を感じるのは、実は音源のチョイス。この2種の放送は本編トロント公演と曲が一切被らず“補完編”となっているのです。もちろん、放送局でのスタジオライヴだけにステージとはムードが違うものの、1枚を通して同じ曲を何パターンも出てくるわけではない。特に美味しいのは“TOP OF THE POPS”の「Slow Burn」と「I Took A Trip On A Gemini Spaceship」。どちらも『HEATHEN』からの新曲ですが、ステージ演奏は非常に限られ、大名盤『OLYMPIA 2002』や『MONTREUX 2002』でも聴けなかったレアナンバー。結果として、本作には『HEATHEN』の全12曲中8曲のライヴバージョンが収録されており、当時ボウイと共に活動していたメンバーだからこその“美学”が感じられるのです。単に美しいのではなく、単に寄せ集めでもない超極上のステレオサウンドボード・アルバム。マーク・プラティ監修によって、サウンドにも構成にも“作品然”とした気品が漂う。公式にライヴアルバムが残されなかった“HEATHEN Tour”で、最も公式に近い存在の1枚です。 Area 2 Festival, Molson Amphitheatre, Toronto, ON, Canada 5th August 2002 STEREO SBD Taken from CBC Radio 3 broadcast mixed by Mark Plati (75:46) 1. Introduction 2. Ashes To Ashes 3. Breaking Glass 4. Cactus 5. Slip Away 6. China Girl 7. I've Been Waiting For You 8. Band Introductions 9. 5:15 The Angels Have Gone 10. Heathen (The Rays) 11. Fashion 12. Let's Dance 13. Ziggy Stardust Bonus Tracks Michael Parkinson Show (Broadcast on 21st September 2002) 14. Everone Says "Hi" 15. Life On Mars? Top Of The Pops 2 (recorded at Kaufman Studios, New York, USA on 2nd June 2002) 16. Slow Burn (Broadcast on 7th June 2002) 17. Fame (broadcast on 18th June 2002) 18. I Took A Trip On A Gemini Spaceship (broadcast on 19th June 2002) STEREO SOUNDBOARD RECORDING