『GLORY ROAD』『FUTURE SHOCK』を立て続けに全英トップ3に送り込み、刹那の全盛にあった1981年のGILLAN。加入したてだったヤニック・ガーズのギターが燃え上がる強力サウンドボード・アルバムが登場です。そんな本作に収められているのは2公演。「1981年6月25日ケルン公演」&「同年6月29日ミュンヘン公演」のステレオ・サウンドボード録音をディスク1枚ずつに配した2枚組です。1981年と言えば来日公演も実現しましたし、バーニー・トーメからの交代劇もあった時期。ショウのポジションによってライヴの意味も変わってしまいますので、当時の歩みから整理してみましょう。 《1月『FUTURE SHOCK』完成》・2月5日ー3月13日:英国#1(11公演)・5月29月ー6月22日:欧州(17公演)《バーニー・トーメ離脱》・6月24日:TOP OF THE POPS出演《ヤニック・ガーズ加入》・6月25月ー6月30日:西ドイツ(6公演)←★ココ★・7月25日:ドーセット出演 《8月『DOUBLE TROUBLE』制作》・8月29日:レディング・フェス出演・10月1日ー22日:アジア/豪州(6公演)・10月29日ー12月22日:英国#2(43公演) これが1981年のGILLAN。『FUTURE SHOCK』発売直後の欧州ツアーでトーメが離脱するのですが、ここがなかなか凄い。大陸ヨーロッパ・ツアーも西ドイツに入り、8公演をこなしたところでトーメが脱退。バンドは残りの日程を延期させ、急遽イギリスに帰国しました。そこで“TOP OF THE POPS”にも出演しつつ、ヤニックが加入したわけです。この流れ自体はどうということはないのですが、えらく素早い。トーメの最終公演から3日後には、ヤニック入りの新体制でツアーを再開するというとんでもないウルトラCだったのです。そして、その中で本作の2公演はヤニック加入直後の極初期。歴史的な初演+5公演目なのです。そんな2公演で記録された本作は、超強力なステレオ・サウンドボード。ひと口に「サウンドボード」と言っても会場体験を演出したFM放送や現場ミックス丸出しな卓直結タイプ、スタッフ作業用のモニター・タイプなど個性はさまざまなのですが、本作の場合はサウンドボード・マニア溜飲の「ミックス卓直結系」。それも、極上クラスのヤツです。1981年と言えば、オフィシャルの発掘盤『ON THE ROCKS(トーメの最末期)』もありますが、あれも直結系なので本作も「オフィシャル風」と言えなくもないのですが、録音した当初に作品化の意図がなかったのは明らか。歓声も遠くにささやきつつ、極太ド密着な演奏を脳みそに強引にねじ込んでくる。コンサートの疑似体験など二の次三の次で、バンド自体と全身が完全一致するシンクロ感に酔いしれられるのです。そんなド直結サウンドで描かれるのは、新ギタリスト:ヤニック・ガーズによって染め変えられたGILLAN。『ON THE ROCKS』から約1週間後でもありますので、2公演まとめてセットを整理してみましょう。グローリー・ロード(4曲・7テイク)・Unchain Your Brain(★)/No Easy Way/If You Believe Me(DISC 2のみ)/ On The Rocks フューチャー・ショック(3曲)・No Laughing in Heaven/Bite The Bullet/New Orleans その他(4曲)・Trouble/Vengeance/Smoke on The Water/Lucille ※注:「★」印はオフィシャル盤『ON THE ROCKS』では聴けない曲。……と、このようになっています。『ON THE ROCKS』では聴けなかった必殺ナンバー「Unchain Your Brain」に胸が熱くなりますが、惜しむらくは2公演ともイントロが欠けている。ここからは想像ですが、恐らくは公式『ON THE ROCKS』のアーヘン公演も、同じように「Unchain Your Brain」でスタートしていたのでしょう。そして、本作と同じようにイントロが録音漏れだったために、商品化に際してカットされた。エンジニアが毎公演サウンドボード録音していたが、作品化を考えていなかったからイントロが遅れるクセを直しもしなかった……そんな風に思えてなりません。何はともあれ、「公式ON THE ROCKSのヤニック版」ともなる極上ステレオサウンドボード・アルバムでず。歴史的な交代劇の音の証拠品でもあり、オフィシャルの名作群にも比肩する音楽作品の傑作でもある ヤニック・ガーズ加入直後となる「1981年6月25日ケルン公演+6月29日ミュンヘン公演」のステレオ・サウンドボード録音セット。特にケルン公演はヤニックの全世界初日です。極上クラスのミックス卓直結系で、歓声も遠くにささやきつつ、極太ド密着な演奏を脳みそに強引にねじ込んでくる。バンド自体と全身が完全一致するシンクロ感に酔いしれられます。オフィシャル発掘盤『ON THE ROCKS』では聴けない必殺ナンバー「Unchain Your Brain」も(イントロが録音漏れですが)楽しめますし、ヤニックのギターで染め変えられたドライヴ感満点の独自HRをたっぷり体験できます。Sartory-Sale, Cologne, Germany 25th June 1981 STEREO SBD Schwabinger Brau, Munich, Germany 29th June 1981 STEREO SBD Disc 1 (49:56) Live at Sartory-Sale, Cologne, Germany 25th June 1981 1. Unchain Your Brain 2. No Laughing In Heaven 3. Bite The Bullet 4. No Easy Way 5. Thunderwood (Drums Solo) 6. Trouble 7. On The Rocks 8. Vengeance 9. Guitar Intro 10. Smoke On The Water 11. New Orleans 12. Band Introductions 13. Lucille Disc 2(65:50) Live at Schwabinger Brau, Munich, Germany 29th June 1981 1. Unchain Your Brain 2. No Laughing in Heaven 3. Bite The Bullet 4. No Easy Way 5. Thunderwood (Drums Solo) 6. Trouble 7. If You Believe Me 8. On The Rocks 9. Vengeance 10. Guitar Intro 11. Smoke on The Water 12. New Orleans 13. Band Introductions 14. Lucille STEREO SOUNDBOARD RECORDING Ian Gillan - Vocals Janick Gers - Guitar Colin Towns - Keyboards John McCoy - Bass Mick Underwood - Drums