『ESCAPE』を生み出し、遂に絶頂時代の扉を開いた1981年のJOURNEY。カルロス・サンタナも飛び入りした来日公演の現場を体験できるオリジナル録音が新発掘。そんな本作に吹き込まれているのは「1981年7月29日:東京厚生年金会館」公演。その絶品オーディエンス録音です。1981年の来日と言えば、超極上プロショット『THE NIGHT ESCAPE』が象徴として君臨していますが、あの名作も東京公演でした。まずは、その関係を整理する意味でも当時のスケジュールから振り返ってみましょう。《7月17日『ESCAPE』発売》・7月27日:大阪フェスティバルホール・7月28日:名古屋市公会堂 ・7月29日:東京厚生年金会館 ←★本作★・7月31日:東京厚生年金会館 ←※プロショット・8月1日:中野サンプラザ 以上、全5公演。来日前にもウォームアップ的なフェス出演はありましたが、本格的なツアー開始は日本から。まさにアルバムが発売されたばかりの刹那でした。東京では2会場・3公演が行われ、本作の厚生年金会館公演はプロショット撮影されたショウの前日にあたります。そんな現場で記録された本作は、瑞々しくもクリアな名録音。全世界初公開となるオリジナル録音なのですが、その貴重度がウソのよう。空気感も含んだオーディエンス録音には違いないものの、それもあくまで音色だけの話。真っ直ぐ綺麗に伸びる芯は、ドライアイスを切り刻むレーザー光線のように鋭く、そのエッジも極めてシャープ。ヘッドフォンで耳を澄ませてもホール鳴りが感じられず、滲みも曇りも一切ない。すべての楽器の1音1音が重なり合っても見事にセパレートして混じり合わない。この感覚を視覚的に喩えるなら、あやとりでしょうか。フレーズの1つひとつが強い張力で引かれた糸のようであり、ピンと張った1本1本のスキマもくっきり。そんな糸が何本も何本も交差しては全体で立体構造物のようなアンサンブルを組み上げている。そんなイメージなのです。サウンドボードと間違えるド密着感ではない反面、距離感もなくライン録音に匹敵する鮮やかさとディテール。不思議感覚ながらもオーディエンスの常識外となる機微に酔いしれられる名録音なのです。そんなブライト・サウンドで描かれるのは歴史的な大名盤誕生!の時代感にむせ返るフルショウ。もちろん、『ESCAPE』の新曲をフィーチュアしているわけですが、現在の感覚とはズレまくっているのです。その意味を実感していただくためにも、ここでセットを整理しておきましょう。クラシックス(13曲)・インフィニティ:Lights/La Do Da/Wheel In The Sky・エヴォリューション:Too Late/Lovin' You Is Easy/Lovin', Touchin', Squeezin’(カルロス・サンタナと共演) ・ディパーチャー:Where Were You/Line Of Fire/Any Way You Want It・その他:Turn Around in Tokyo/Little Girl(★)/Dixie Highway/The Party's Over (Hopelessly in Love) エスケイプ(5曲)・Stone In Love/Keep On Runnin’/Who's Crying Now/Lay It Down/Dead or Alive ※注:「★」印は翌日の象徴プロショットでは聴けない曲。……と、このようになっています。『ESCAPE』から約半分の5曲をも取り上げているというのに、「Don't Stop Believin’」も「Open Arms」もない! まだシングル・カットされていなかったからですが、それにしても「Keep On Runnin’」「Dead or Alive」はおろか「Lay It Down」まで取り上げていながら未来の2大看板を演奏しないとは。もちろん、それだけではありません。他にもライヴ作『CAPTURED』の「Dixie Highway」「The Party's Over (Hopelessly in Love)」や映画『夢、夢のあと』の「Little Girl」等々、当時ならではのレパートリーが目白押し。THE BABYSのカバー「Turn Around in Tokyo」に至っては、1981年の来日公演でしか演奏されていない激レア曲なのです。そして、そんなショウのハイライトは間違いなく「Lovin', Touchin', Squeezin’」! JOURNEYとバトンタッチでジャパンツアーを行うために来日していたカルロス・サンタナが飛び入り。ニール・ショーンとの師弟共演が実現するのです。しかも、これが単なる顔合わせではなく、演奏も凄い。互いに譲らぬインタープレイを交わし続け、ジョナサン・ケインも参加してのジャムに進展。気がつくと18分以上という大熱演になっていくのです。さらに言えば、本作は現場の観客が醸し出す時代感も美味しい。ビシッと一糸乱れぬ手拍子はザ・洋楽ブームですし、間近に迫ったビッグヒットを知らないからこそ2大看板が演奏されなくても気にするそぶりもない。ジョナサンのソロもありますし、アンサンブルは間違いなく『ESCAPE』そのものなのですが、現場のムードはむしろ『CAPTURED』に近い。後にも先にも、「1981年の日本」にしかあり得ない現場の真っ直中に身を置くことができるのです。美味しい時代の美味しすぎるショウを極上体験できるライヴアルバムです。これほどの録音が40年間も日の目を見なかったとは。この地球には……いや、この日本にはまだどれほどの秘宝録音が眠っているのでしょう。そんなオーディエンス文化の可能性にさえ目眩を感じる新発掘アルバム。「1981年7月29日:東京厚生年金会館」公演の絶品オーディエンス録音。全世界初公開となるオリジナル・マスターで、瑞々しくクリアな名録音。真っ直ぐ綺麗に伸びる芯はドライアイスを切り刻むレーザー光線のように鋭く、そのエッジも極めてシャープ。ホール鳴りが感じられず、滲みも曇りも一切ないブリリアントなサウンドです。『ESCAPE』発売直後だけあってド定番の「Don't Stop Believin’」「Open Arms」を演奏せず、「Lay It Down」や「Little Girl」「Turn Around in Tokyo」などの激レア曲がてんこ盛り。「Lovin', Touchin', Squeezin’」ではカルロス・サンタナが飛び入りして18分以上に及ぶ大熱演も楽しめます。Live at Kouseinenkin Kaikan, Tokyo, Japan 29th July 1981 TRULY PERFECT SOUND(from Original Masters) Disc 1 (41:19) 1. Intro 2. Where Were You 3. Line of Fire 4. Stone in Love 5. Keep On Runnin' 6. Who's Crying Now 7. Lay It Down 8. Keyboard Solo 9. Dead or Alive 10. Guitar Solo 11. Turn Around in Tokyo Disc 2 (78:52) 1. Little Girl 2. Lights 3. Too Late 4. Dixie Highway 5. Lovin' You Is Easy 6. La Do Da 7. Drum Solo 8. The Party's Over (Hopelessly in Love) 9. Wheel in the Sky 10. Lovin', Touchin', Squeezin' (with Carlos Santana)★サンタナがゲスト参加。18分の熱演。 11. Any Way You Want It Steve Perry - Vocals Neal Schon - Guitar, Vocals Jonathan Cain - Keyboards, Vocals Ross Vallory - Bass, Vocals Steve Smith - Drums