「ペイジ・プラントの名古屋96?SBDがあるからAUDいらないでしょ?」と訝しげだったマニアをアッと言わせた衝撃のオーディエンス・アルバム「NAGOYA 1996 DAT MASTER」のテーパーが今度は大阪公演のDATマスターを提供してくれました。1996年ジャパン・ツアーが後半に差し掛かった大阪公演は先の名古屋をサンドイッチした形で行われただけに、「NAGOYA 1996~」あまりの高音質に衝撃を受けたマニアであれば、前後の大阪も同等の極上オーディエンスで聞きたい…そう思わずにはいられなかったことでしょう。そこで今回は同作のテーパー提供によるオーディエンス録音二日分を一気にリリース。まずは大阪初日ですが、この日も名古屋と同じようにステレオ・サウンドボード録音が存在します。このツアーを当時としては最高級レベルのオーディエンスショットで撮影して一世を風靡したTHIRD EYE PRODUCTIONの大阪初日映像にはそのサウンドボード音声に「臨場感要員」としてオーディエンス録音がシンクロされていたものですが、実はその音声こそ今回と同じ音源。恐らくはトレーダー間に出回っていたものを元にしたのだと推測されます。ところが今回は録音を敢行したテーパー本人からマスターDATを提供していただき、オーディエンス録音本体をリリース。よって大半のマニアは例のサウンドボードの間から聞こえる状態で本音源を知ったかと思われますが、晴れて全貌が明らかとなったオーディエンス録音は完全に「NAGOYA 1996~」と同レベルのハイクオリティ。この日は「Custard Pie」で幕を開けたライブ前半の畳みかけるような展開において、ジミーの厚みあるギターの音色にさっそく圧倒されてしまうことでしょう。確かに音質自体はクリアーであった同日のステレオ・サウンドボード録音でも、これほどまで厚みのある音は捉え切れていませんでした。それ以上に大阪初日と言えば当日居合わせたファンはもちろん、世界中のマニアをアッと言わせた「Ten Years Gone」。先の映像を見れば解るように、ジミーがストリング・ベンダー仕様のブラウン・テレキャスターを抱えて1977年へとタイムスリップしてみせた姿はマニア感涙ものの場面でした。今回の音源は彼が弾いた音色をサウンドボードよりもはるかにリアルに捉えており、もし当日の会場に居合わせたマニアであれば「これこそがあの日に体感した音」だとフラッシュバックされることでしょう。正にサウンドボードを超えた極上オーディエンスならではの再現力。今回のオーディエンス・マスターもう一つの魅力は、非常に和やかだった当日の会場の雰囲気もちゃんと捉えてくれているところ。観客の反応が熱狂的なアメリカやヨーロッパと違い、音楽を「聞き込む」お国柄と、それでいて和やかさに溢れた会場。これもまたサウンドボードからは感じられないものであり、なるほどTHIRD EYEがそれに足りない臨場感をつけ足そうと本音源を活用したという理由にも納得。そうした会場の雰囲気だからこそ、ペイジ・プラントのステージ最初で最後となった「Ten Years Gone」の披露が可能となったのでしょう。この曲や「Tea For One」で演奏に覆いかぶさるオーケストラの豊かで深みのある音質を捉えてくれている点もお見事。もちろん音像のオンな加減も際立っており、例えばアンコールのZEPクラシック二曲の演奏やジミーのギターの音圧たるや、それこそ「まるでサウンドボード」と形容されるべきもの。それほどの近さを誇っていながら、それでいてサウンドボード以上に演奏や楽器の音色をリアルに捉えてくれている。ZEPのステージと違いプラント・ペイジは普通のバンド・サウンドだけでなく先のオーケストラや様々な楽器を用いられたステージでしたので、なおさら今回のオーディエンス録音が別格のクオリティで当日のリアルな音色を体感させてくれることに圧倒されるばかり。そして「Ten Years Gone」を披露してみせた余裕だけでなく、演奏全体もツアー終盤を迎えてなお変化し続けた攻めの姿勢がもたらした素晴らしさ。驚くべきはチャーリー・ジョーンズのベースラインまでも明瞭に捉えてくれたこと。1996年ともなればDATを用いた録音がすっかり普及していましたが、それのおかげでクリアーかつオンな音像で捉えることは容易となっていた反面、ベース音を捉え切れず厚みを欠いた状態に陥りやすくもあったのがDAT録音。ところが今回はベース本来のふくよかな音色までも実に見事に再現してくれている。「NAGOYA 1996~」が証明してくれたように、今回も聞いてびっくりサウンドボード超えのウルトラ・クオリティ!Live at Osaka-Jo Hall, Osaka, Japan 15th February 1996 ULTIMATE SOUND(from Original Masters) Disc 1 (70:29) 1. Intro 2. Egyptian Intro. 3. Custard Pie 4. Bring It On Home 5. Heartbreaker 6. What Is and What Should Never Be 7. Hurdy-Gurdy Solo 8. Gallows Pole 9. Wonderful One 10. Going to California 11. Ten Years Gone 12. Babe, I'm Gonna Leave You 13. Whole Lotta Love incl. You Shook Me, Break On Through (to the Other Side), Dazed and Confused Disc 2 (62:21) 1. Tea for One 2. Band Introductions 3. Friends 4. The Truth Explodes 5. Four Sticks 6. Kashmir 7. Black Dog 8. Rock and Roll