自ら起こした革命が制御できないほど巨大になっていった1988年のGUNS N' ROSES。その時代のうねりがスピーカーから噴き出す超リアル・アルバムが新発掘。 【伝説録音のアナログ・マスターが新発掘】そんな本作に刻まれているのは「1988年8月30日ウィルクスバリ公演」。その全貌を伝える強力オーディエンス録音です。以前から録音の知られたショウなのですが、本作は既発のコピーでもリマスター再発でもありません。ごく最近になって発掘され、世界中のマニアが騒然となっている新マスターなのです。何しろ、発掘したのは現代の名門「Krw_co」であり、そのコレクションでも傑作を連発している「A luvsufo Analog Master」シリーズなのです。「Krw_co」コレクションを追っていないとピンと来ないかも知れませんが、名門と「A luvsufo」の組合せからは様々な80年代アーティストの名作が誕生。特にHR/HMで言えば、GUNSの『ALLENTOWN 1987』やオジーの『BETHLEHEM 1984』『BETHLEHEM 1986』、QUEENの『PHILADELPHIA 1982』等が記憶に新しいところです。本作はそんな名門コレクションなわけですが、特にクリアに透き通り、演奏音もヴォーカルも輪郭までタイトでキリリと引き締まった名録音。これは恐らく会場も関係している。現場の“POCONO DOWNS RACETRACK”は、カジノに併設されたレース場でして、詳しい資料が残っていないので断言はしかねるのですが、恐らくは野外に特設されたステージだったのではないでしょうか。そうとしか思えないほど反響成分がない。籠もりも曇りもない芯が真っ直ぐ飛び込んでくるのです。もちろん、野外であれば必ず名録音になるほど簡単ではない。新マスターでも風の影響と思しき音色の揺れが感じられ、低音が流されがちでもありました。そこで、本作は徹底的な検証の上でビシッとマスタリング。流された低音の芯をしっかりと拾い上げ、全体のバランスを調整。もちろん、早かったピッチも正確に整えました。そして、この「磨き」がまた、面白いほど効果的でした。当店のお客様であれば、デジリマは魔法ではなく、録音自体の個性によっては大化けもするし、ほとんど変えられない事もあるのをご存知だと思います。本作の場合は「大化け系」でした。原音では低音域が流されて弱くなっていましたが、記録されていないわけではなかった。丁寧に拾い出してみるとディテールまでしっかりと残っており、しかも鳴りのない輪郭がクッキリ・ハッキリ。しかも、中音域・高音域を変に影響せずにバランスを変えることができ、結果としてマルチトラックのサウンドボードのように綺麗に生まれ変わったのです。【死亡事故の影を引きずった一触触発の現場】そんなフレッシュ・サウンドで甦るのは、1988年の時代感丸出しな危険な現場。その理由をご説明するためにも、ここで世界をひっくり返した“APPETITE FOR DESTRUCTION Tour”の全体像からショウのポジションを振り返ってみましょう。1987年 ・6月19日ー28日:英国(3公演)《7月21日『APPETITE FOR DESTRUCTION』発売》・8月1日ー9月17日:北米#1(24公演)・9月29日ー10月8日:欧州(8公演)・10月16日ー12月31日:北米#2a(49公演)1988年・1月5日ー2月12日:北米#2b(13公演)←※RITZ 1988 ・3月31日ー6月8日:北米#3(30公演)・7月9日ー8月17日:北米#4a(23公演)・8月20日:MONSTERS OF ROCK出演・8月24日ー9月17日:北米#4b(15公演)←★ココ★《11月29日『GN'R LIES』発売》・12月4日ー19日:日本/オセアニア(9公演)これが1987年/1988年のGUNS N' ROSES。本作のウィルクスバリ公演は、後半に差し掛かった「北米#4b」の5公演目にあたるコンサートでした。「北米#4」は途中で英国フェスMONSTERS OF ROCKへの出演があったために二分したわけですが、このMOR出演こそがポイント。ご存知の通り、このフェスではGUNSの出演中に群衆が殺到。2名の圧死者を出す悲劇となってしまいました。本作のウィルクスバリ公演はドニントンから10日後であり、あの悲劇が甦るシーンがそこかしこにあるのです。もう、オープニングの「You're Crazy」から普段とは違う。演奏が終わって「It's so Easy」に雪崩れ込……まず、アクセルがMC。「下がってくれ!」と呼びかけつつ、ドニントンの悲劇で2名が圧死したことについても触れる。あの悲劇を繰り返したくないアクセルの危機感が生々しく、そして悲劇が甦るほどこの日のオーディエンスも殺気立っていたのでしょう。本作には間近な観客の息吹も吸い込まれているのですが、アクセルの心配が大袈裟に思えないほどヒリヒリとしているのです。実際、アクセルの言葉だけで収まらなかった。「It's so Easy」「Mr. Brownstone」とショウが進んでいくのですが、1曲1曲と現場が過熱。遂に「Move to the City」が終わったところで観客の騒ぎが限界を超え、ショウが中断してしまうのです。アクセルはステージ上に留まり、何度も何度も注意を促すのですが、客席からは彼に向けた怒号や絶叫が飛び交い、方々から悲鳴も挙がる。そんな一触触発のムードが約10分もノンストップで記録されているのです。その後、ようやく沈静してきたと判断したアクセルがショウを再開するのですが、それはそれで苛烈なムードが宿っている。「Knockin' on Heaven's Door」は曲調もあって問題ないものの、続いて「Welcome to the Jungle」がコールされるや現場は再び大爆発! またもやアクセルがMCでクールダウンを呼びかける事態になるのです。さまざまな逸話によって危険なイメージがまとわりついているデビュー時代のGUNS N' ROSESですが、聴いているだけで実際に背筋が寒くなる記録はそう多くはありません。本作のウィルクスバリ公演では死者こそ出ませんでしたが、音を聴く限りでは何人か死んでいてもおかしくない。本作はスリリングな生演奏の音楽アルバムであると同時に、「怖い」空気感を極上サウンドで本生100%体験できるドキュメント作なのです。悲劇の『"DON'T FUCKIN' KILL EACH OTHER"』と対を成すと言ってもいい超リアル・アルバムです。地球を揺るがした「1988年のGUNS N' ROSES」という現象。その存在感まで丸ごと体感できる奇跡の1枚。「1988年8月30日ウィルクスバリ公演」の強力オーディエンス録音。以前から録音の知られたショウなのですが、本作は名門「Krw_co」が発掘した新マスター。野外会場なのか、反響成分もほとんどない空気感がクリアに透き通り、演奏音もヴォーカルも輪郭までタイト。しかも独自マスタリングによって軽くなっていた低音もしっかりと復元。見違えるほどの高音質を実現しました。10日前のドニントン公演で死者を出したばかりで、熱狂を鎮めようとするアクセルがショウを中断するスリリングな現場を極上フル体験できます。Pocono Downs Racetrack, Wilkes-Barre, PA, USA 30th August 1988 PERFECT SOUND (60:00) 1. Intro 2. You're Crazy 3. MC★下がるようにMC、一週前のドニントンでの2人の圧死事故についても言及 4. It's so Easy 5. Mr. Brownstone 6. Move to the City 7. MC / Interruption ★ 10分近く中断 8. Knockin' on Heaven's Door 9. Welcome to the Jungle イントロやけくそ気味 10. MC★アルゼンチンでのサッカー会場での圧死事故についてMC 11. Patience 12. MC 13. Sweet Child O' Mine 14. Paradise City W. Axl Rose - Vocal Slash - Guitar Izzy Stradlin - Guitar Duff McKagan - Bass Steven Adler - Drums