「PONTIAC 1981 1ST NIGHT」のアッパー版がリリースされたとなれば、今回は当然シルバードーム二日目のリリースが実現します。こちらもまた2007年当時にWOLFGANG’S VAULTが公開してくれたラジオ用マルチトラック録音であり、その抜群の音質から多くのアイテムが生み出されたものでした。しかし「1ST NIGHT」同様2007年当時のテクノロジーで配信されていた音源ですので、現在はもとより、2007年の時点でも既にシュワシュワした当時のmp3然とした質感が気になったものです。それでもれっきとしたステレオ・サウンドボードだったことからマニアはありがたく聞き込んだものでした。ところがWOLFGANG’S VAULTがサイト名をCONCERT VAULT頃には音質が飛躍的に向上。本来であればその時点で新たなアッパー版がリリースされるべきだったのですが、同時に実現したさらなるストーンズ1981年ツアーのマルチトラック音源公開という衝撃の中で埋もれてしまっていたのです。おまけに一時は簡単に音源を聞くことができたCONCERT VAULTも配信の規模を縮小、現在ではこちらの音源もショートバージョンとなってしまったという。幸運なことに前回の「PONTIAC 1981 1ST NIGHT」と同様、二日目に関してもサイトが規模縮小される前にGraf Zeppelinが配信の完全版をキャプチャーしてくれていたのです。そこで今回のリニューアル・リリースとなる訳ですが、最初に触れたシュワシュワした圧縮感のある音質が今回もまた大幅に改善。この点だけでも文句なしに「アッパー版」だと実感できる音の良さを保証します。2007年当時でもあの違和感は相当なものだっただけに、ようやくシュワシュワのないスッキリとした状態でマルチトラック音源の放送用アウトテイクを聞けるのは格別。ただしCONCERT VAULTで公開されていた音源は「Beast Of Burden」とライブ終盤三曲が欠けていた訳ですが、それらの中で三曲は今回もモノラルのPAアウト・サウンドボード録音にて補填。もちろんそれらはただ補填に使うだけでなく、今回のリリースに際して音源に遡った調整を施したことで2007年当時のアイテムにあったようなシャカシャカした硬質さが一掃。よりモノラルらしい腰の据わった音質に生まれ変わっての収録となっています。ただし今回「Jumping Jack Flash」だけはPAアウト音源を使わず、代わりに実際のラジオに採用されたステレオ音源を採用。これによって同曲もマルチトラックのステレオ音質で楽しめるようになっています。もちろんラジオ放送されたテイクですので過去にも様々なアイテムがリリースされていた演奏ではありますが、今回は放送用原盤から丁寧に収録してみせたことで大好評となった「SUPERGROUPS IN CONCERT 1982」のバージョンから採用し、最高音質での収録かつ現状ベスト編集の徹底を心掛けました。こうして本編の大幅な音質の向上はもちろん、2007年当時とは違う音源選択による「Jumping Jack Flash」の補填によって内容面まで向上。この日は初日の「PONTIAC 1981 1ST NIGHT」ほどドタバタした場面は少なく、特にライブの前半は勢いがありつつも落ち着きを払った演奏となっており、その甲斐あって8曲ものテイクとバンド紹介の場面がラジオ放送に採用という栄誉を授かっています。とはいえ、そこはローリング・ストーンズ。この日最大のハプニングである「Let It Bleed」ではチャーリーのモニターでもおかしくなったのか、彼のドラムが一回目のコーラスまで入って来ないという展開に。もっともこれは怪我の功名というべきか、むしろ特別なアレンジに聞こえてくるから面白い。その点「Tumbling Dice」でチャーリーが噛み合わなくなったハプニングはよりヒヤッとさせられる場面ですが、そこに加えて演奏の終盤でギター二人の音も鳴らなくなるというハプニングまであり、やはり音響面でのトラブルがあったのではないかと推測されるもの。そうしたハプニングを挽回すべく「Hang Fire」以降は演奏のボルテージも上昇。前日と比べてもその違いは歴然としていて「Miss You」もかなりアツい演奏。にもかかわらずラジオには採用されませんでしたので、なおさらここで最高音質で楽しめる価値は高い。そのラジオ採用バージョンで補填された「Jumping Jack Flash」は前日があれほど荒っぽい演奏でしたので、なおさらここでの研ぎ澄まされた出来ばえが際立ち、なるほどラジオで採用されたのにも納得。何より前日と並んでオーバーホールが待ち望まれていた1981年ラジオ放送アウトテイク、こちらも遂に生まれ変わったバージョンのリリースが決定です!(リマスター・メモ)★メイン音源は20khz近くまでしっかり入ってる音源(2016にDLしてたもの)で、既発(15khz付近からガクンと減退する)より明らかにシュルシュル感が減り聴きやすくなった。★前回同様4曲の欠落を補填 モノSB(今回3曲)は多少帯域調整してます。ちなみにモノSBは、サテスファクションなどは関連盤ではかなりシャカシャカしてますが、今回はそのような違和感もなし。既発盤を参考にしつつ、今回はやり過ぎない程度のEQ調整です。FMステレオのJumping Jack Flashは既発と異なり今回は「Supergroups In Concert 1982」から。サテスファクション終盤のAudも若干帯域調整してます。★補填処理について今回は、なるべくリアル時系列指向で補填。その分、音声切り替わりは、既発に比べいくぶん唐突な箇所もあります。しかしながら前回版では編集に時系列的な矛盾もあり、「Beast Of Burden」では、前回版ではクロス部で別曲間の歓声をそのまま引っ張って違和感ないようにクロスしてたかわりに、演奏出だし(ギターのトコ)でゴトンという実際は無関係な曲間ノイズが演奏に被ってたりもしていた。また、クロスフェードの位置が微妙にズレてるため、TIME IS ON MY SIDE 4:11付近のミックのア、ア、アーンというのが音飛びのようにダブって聞こえ、また「Beast Of Burden」演奏後にもこのア、ア、アが再度聞こえてしまってる。★「ブラウンシュガー」から「Start Me Up」への曲間は今回の方が前回版より0.3秒程度間隔が縮まってるがこれで正解。★「Jumping Jack Flash」(ステレオFM)演奏直後9:14付近でモノライン音源への戻りが早い(つまりステレオパートが短い)ですが、実はステレオ音源には、ミックのMC「サンキューベリマッチ」直後にカットがあるため、早めにモノに切替えざるをえなかった。つまり前回盤ではステレオ音源パートが長い代わりに、曲間(ミックのMC含む)に1秒ほどの欠落があった。 Live at Silverdome, Pontiac, MI, USA 1st December 1981 STEREO SBD(UPGRADE) Disc 1 (79:43) 01. Take The A Train ★0:00-0:36補填 02. Under My Thumb 03. When The Whip Comes Down 04. Let's Spend The Night Together 05. Shattered 06. Neighbours 07. Black Limousine 08. Just My Imagination 09. Twenty Flight Rock 10. Going To A Go-Go 11. Let Me Go 12. Time Is On My Side 13. Beast Of Burden ★丸ごとモノSB14. Waiting On A Friend 15. Let It Bleed Disc 2 (73:19) 01. You Can't Always Get What You Want 02. Band Introductions 03. Little T&A 04. Tumbling Dice 05. She's So Cold 06. Hang Fire 07. Miss You 08. Honky Tonk Women 09. Brown Sugar 10. Start Me Up ★丸ごとモノSB11. Jumping Jack Flash ★0:01~ステレオFM音源(LH盤Supergroupより) 12. Satisfaction ★モノSB / 5:29以降モノAud