四公演を消化したローリング・ストーンズの最新ツアーですが、コロナが蔓延する現状を反映するかのごとく音源がなかなか出回りません。むしろ初日のセントルイスがああいう形で現れてくれて本当に良かった…と思えるほど。こうした状況故に仕方ないことではあるものの、マニアからすれば歯がゆいのも事実。そうした中、ようやく現れてくれたのが四公演目であるナッシュビル。これがまた一筋縄ではいかぬものでして、SNS上でマニアが現場からライブ配信してくれた映像の音声を抽出したというもの。よって純然たるオーディエンス録音とは少し性質が異なります。音質そのものは十分にクリアーで音像の距離感もそこそこといった感じなのですが、まず若干ながらシュワシュワとした質感に違和感を覚えることでしょう。もちろん往年のmp3や2000年代のイコライズ・アイテムのようなストレスを感じるほどのレベルではないのですが、それでも違和感が残っているのは確か。それ以上に問題なのは、スマホからマニアがライブ配信するという方式だったせいで「Dead Flowers」と「Midnight Rambler」それぞれの序盤にスマホにインストールされていたアプリの軌道や着信の音が混入しているのです。前者では鳥の鳴き声が入りますし、後者ではファンファーレの音が入ってしまう。こうした大きな問題が含まれている申し上げておきたいと思いますし、せっかく音質自体は良好でもそれ以外の要因でかなり癖のある音源ということになってしまいました。普通のオーディエンス録音と違う収録や環境であったことが裏目に出てしまっている点は他にもあります。ライブの間中、撮影者の近くでおばちゃんが大きめの声で喋ったり笑ったりしているという有様。ある意味ではアメリカのストーンズ・ショー典型的な臨場感が混ざってしまったと言えるかもしれません。ここまで挙げてきたように、もはやトータルで荒くれ録音と呼んでしまっていいくらいの状態。本当に元の音質は悪くないので、こうした他の要因がこの音源の印象を変えてしまっているのです。逆に言えば音質そのものや音像自体は悪くないので、これまで挙げた問題に目をつぶれば最新のナッシュビル公演を収録した最新録音として十分に楽しめるでしょう(初心者には厳しいかな…)。何と言ってもこの日は何と言ってもキース・コーナーで驚きの「Connection」が披露されるというサプライズもありました。よってセントルイス以降でストーンズ最新ステージを手っ取り早く楽しめるタイトルな訳です、!注意 マニア限定!! Nissan Stadium, Nashville, TN, USA 9th October 2021 Disc 1 (67:30) 1. Intro 2. Street Fighting Man 3. Let's Spend the Night Together 4. Tumbling Dice 5. Words for Charlie 6. 19th Nervous Breakdown 7. Troubles a' Comin 8. Dead Flowers 9. You Can't Always Get What You Want 10. Living in a Ghost Town 11. Start Me Up 12. Honky Tonk Women 13. Band Introduction 14. Connection 15. Slipping Away Disc 2 (59:54) 1. Miss You 2. Midnight Rambler 3. Paint It Black 4. Sympathy for the Devil 5. Jumping Jack Flash 6. Gimme Shelter 7. Satisfaction