新型コロナ・パンデミックにより延期が繰り返されてきた、歴史的大名盤『HOTEL CALIFORNIA』の再現ツアー。遂に再開された現場を伝える最新ライヴアルバムが到着です。そんな本作に吹き込まれているのは「2021年8月25日ニューヨーク公演」。伝統の大会場“マディソン・スクエア・ガーデン”で記録された極上オーディエンス録音です。今回の正式なツアー・タイトルは“HOTEL CALIFORNIA 2020 Tour”ですが、再現コンサートが始まったのは2019年から。その辺の事情をご説明するためにも、ここ3年間のスケジュールから紐解いてみましょう。2019年・2月26日ー3月14日:オセアニア(9公演)・5月26日ー7月8日:欧州(16公演)←※AMSTERDAM 2019 “HOTEL CALIFORNIA 2020 Tour”・9月27日ー10月5日:北米#1(3公演)2020年・2月7日ー3月7日:北米#2(10公演)《3月21日/5月1日:ツアー延期を発表》2021年・8月24日ー10月2日:北米#3(15公演)←★ココ★・10月12日ー11月5日:北米#4(7公演)これが2019年ー2021年のTHE EAGLES。当店で最後のレポートしたのは『AMSTERDAM 2019(Uxbridge 1056)』でしたが、その時点で発表されていた再現ステージは「北米#1(ラスヴェガス)」のみ。その後、ツアータイトル“HOTEL CALIFORNIA 2020 Tour”と共にツアー本編となる2020年の日程が公表されました。しかし、実際にツアーが始まった途端に忌々しいパンデミックが発生。わずか10公演(北米#2)をこなしたところで延期となってしまいました。度重なる延期の末、遂にツアーが再開されたのがつい最近。MSG公演はその冒頭2日間で、本作が記録されたその2公演目でした。さて、そんなショウを真空パックした本作は、まさに「極上」を画に描いたような名録音。“マディソン・スクエア・ガーデン”と言えば、世界的にも著名な会場ですが、ことオーディエンス録音に限っては難所として有名。回り込みがキツく、最新録音でもボケボケ・ボワボワ二なりがちなのです。ところが、本作はそんな「MSGの常識」を一気に払拭する素晴らしさ。達人テーパー御用達となっている名機「Schoeps Mk41」が使用され、極太な芯がタイムラグなしに耳元へ真っ直ぐ届き、距離感もスカスカ感もまったくない。しかも、ディテールが超・克明。ヘッドフォンで聴けばホール鳴りも吸い込んでいるのが分かるのですが、それが妙に透き通っていて艶にはなってもディテールを隠さない。ヴォーカルはコーラスが重なっても歌詞の一語一語までハッキリ、ギターはピッキングのニュアンスまでクッキリ。伝統の大会場だけに、さまざまなバンド/アーティストのMSG録音を扱ってきましたが、正直ここまで美しく鮮やかなサウンドはちょっと記憶にありません。そして、そんな美音で描かれるショウ内容こそが本作の命。大名盤の再現ばかりが話題となっておりますが、それはあくまでショウの第一部。再現後の第二部には、通常スタイルのグレイテストヒッツ・ショウが繰り広げられているのです。しかも、第二部だけで普通のフルショウほどのスケール感なのですから凄い。ディーコン・フライ/ヴィンス・ギル参加後のライヴと言えば、公式盤『LIVE FROM THE FORUM MMXVIII』が有名ですから、比較しながら整理してみましょう。第一部(DISC 1)・ホテル・カリフォルニア(全曲):Hotel California/New Kid in Town/Life in the Fast Lane/Wasted Time(★)/Wasted Time (Reprise)(★)/Victim of Love(★)/Pretty Maids All in a Row(★)/Try and Love Again(★)/The Last Resort(★)第二部(DISC 2-3)・ファースト:Take It Easy/Witchy Woman(★)/Peaceful Easy Feeling・ならず者:Tequila Sunrise/Desperado・オン・ザ・ボーダー:Already Gone/Best Of My Love(★) ・呪われた夜:One Of These Nights/Take It To The Limit/Lyin' Eyes・ロング・ラン:In The City/I Can't Tell You Why/Those Shoes/Heartache Tonight/The Long Run・ヘル・フリーゼズ・オーヴァー:Love Will Keep Us Alive・その他(ジョー・ウォルシュ):Funk #49/Walk Away/Rocky Mountain Way/Life's Been Good・その他;Seven Bridges Road/The Boys of Summer ※注:「★」印は公式盤『LIVE FROM THE FORUM MMXVIII』で聴けない曲。……と、全31曲・3時間2分に及ぶド迫力のフルショウ。26曲・2時間18分だった公式盤『LIVE FROM THE FORUM MMXVIII』ですら大ボリュームに感じられましたが、それどころではない。「どの曲をやっているか」と言うより、おおよそ求められる曲を全部演奏しているようなビッグ・ショウなのです。本作はあくまでステージ1回分のライヴアルバムなのですが、聴き応えはむしろ「ホテル・カリフォルニア+ベスト盤」。これ1本だけで現編成に望めるすべてが詰まっていると言っても過言ではありません。最新レポートにしてサウンドも演奏もセットも究極的な3枚組。大名盤『HOTEL CALIFORNIA』の再現ショウ「2021年8月25日MSG公演」の極上オーディエンス録音。MSGと言えば客録の難所として有名ですが、本作は常識を一気に払拭する素晴らしさ。名機「Schoeps Mk41」が使用され、極太な芯がタイムラグなしに耳元へ真っ直ぐ届き、距離感もスカスカ感もまったくない。ホール鳴りも妙に透き通っていて艶にはなってもディテールを隠さず、ヴォーカルの一語一語やピッキングのニュアンスまでクッキリしている。「第一部HOTEL CALIFORNIA完全再現+第二部グレイテストヒッツ」は全31曲・3時間2分に及び、質・量共に望みうるすべてが詰まった究極的な3枚組です。Madison Square Garden, New York, NY, USA 25th August 2021 ULTIMATE SOUND Set 1: Hotel California Disc 1(54:55) 1. Intro 2. Hotel California 3. New Kid in Town 4. Life in the Fast Lane 5. Wasted Time 6. Wasted Time (Reprise) 7. Victim of Love 8. Pretty Maids All in a Row 9. Try and Love Again 10. The Last Resort 11. Introduction Set 2: Greatest Hits Disc 2 (53:15) 1. Intro 2. Seven Bridges Road 3. Take It Easy 4. One of These Nights 5. Take It to the Limit 6. Tequila Sunrise 7. Witchy Woman 8. In the City 9. I Can't Tell You Why 10. Peaceful Easy Feeling 11. Love Will Keep Us Alive Disc 3 (73:47) 1. Lyin' Eyes 2. Those Shoes 3. Walk Away 4. Life's Been Good 5. Already Gone 6. The Boys of Summer 7. Funk #49 8. Heartache Tonight 9. Rocky Mountain Way 10. Desperado 11. The Long Run 12. Best of My Love Don Henley - vocals, drums, percussion, rhythm guitar Joe Walsh - guitars, vocals, keyboards Timothy B. Schmit - basr, backing and lead vocals, harmonica Deacon Frey - rhythm and lead guitars, lead and backing vocals Vince Gill - rhythm and lead guitars, backing and lead vocals Scott F. Crago - drums, percussion Steuart Smith - guitars, mandolin, backing vocals Will Hollis - keyboards, backing vocals Michael Thompson - keyboards, accordion, backing vocals