ロックのひとつの究極形態でもあったキーボード・トリオ。その史上最高ユニットEL&Pが円熟を迎えた“THE WORKS Tour”の秘宝がまた1つ誕生です。そんな本作に吹き込まれているのは「1977年11月8日マディソン公演」。その全貌を伝える絶品オーディエンス録音です。“THE WORKS Tour”と言えば、まずチェックしなくてはならないのが「オーケストラ共演か? トリオ単独か?」。いつものようにツアー・スケジュールを振り返って小のポジションを確認してみましょう。1977年《3月17日『四部作』発売》*5月24日ー6月12日:オケ共演(11公演+トリオ2公演)・6月16日ー7月5日:トリオ#1(15公演) *7月7日ー9日:オケ共演(MSG3公演)・7月10日ー8月23日:トリオ#2(34公演)*8月26日:オケ共演(モントリオール)・10月15日ー31日:トリオ#3a(14公演)《11月1日『作品第2番』発売》・11月1日ー30日:トリオ#3b(21公演) ←★ココ★ 1978年・1月16日ー3月13日:トリオ#4(48公演)《『ラヴ・ビーチ』制作→EL&P解散へ》※注:「*」印はオーケストラとの共演で、「・」印はトリオだけの日程。これが1977年/1978年のEL&P。結論から言いますと、本作のマディソン公演は「トリオ単独」。『作品第2番』リリースから一週間後となる「トリオ#3b」の6公演目でした。このショウは、以前からコア・コレクターの間で録音が存在する事は知られてきましたが、一般に流通することはありませんでした。その理由はクオリティ。傑作がズラリと並ぶ“THE WORKS Tour”にあって注目されなかったのです。もちろん、本作もそんな今イチ・マスター。。。。では、ありません。最近になって発掘された1stジェネのアップグレード・マスターなのです。旧マスターも広まっていないので「こんなにアップした!」と騒いでも伝わらないのが歯がゆいですが、実際そんな前知識なしに聴いても素晴らしい。70年代のヴィンテージ・オーディエンスではあるものの、クリアな空気感を貫いて来る芯の力強さは時代を超える。しかも、1stジェネの鮮度が絶品で、ダビング劣化がほとんど見られず、ヒスも極少なら綺麗に伸びる演奏音に歪みナシ。瑞々しく暴れまくる3人の演奏が昨日録られたかのように新鮮に描かれるのです。しかも、本作はそんな新発掘マスターをさらに磨き込んだ最高峰更新盤。もちろん、無闇な音圧稼ぎでせっかくの瑞々しさを汚すようなマネはしていません。ただひたすらに「整え」に徹したリマスタリングなのです。ピッチを正確に整えているのは当然として、今回の場合はステレオ感の調整が大きい。単にセンターに揃えているだけでなく、左右チャンネルをそれぞれにチェック。片方がハイ落ちしていればバランスを整え、音落ちしていたパートは残っていたチャンネルでステレオ化。もちろん、そうしたパートは可能な限りシームレスに仕上げており、補整した箇所が分かっていても違和感なく聴き通せる音楽作品なのです。そんなアップグレード・サウンドで楽しめるのは、“THE WORKS Tour”でも「トリオ#3」だからこそのショウ。ツアーは途中でセットが変わっており、特に『作品第2番』発売以降は新曲を多く盛り込むようになりました。『作品第2番』以前のライヴ盤というと、名盤『OAKLAND 1977』も記憶に新しいところ。ここではあの新名盤と比較しながら整理してみましょう。70年代前半・エマーソン・レイク・アンド・パーマー:Take A Pebble/Lucky Man ・タルカス:Tarkus・展覧会の絵:Pictures At An Exhibition/Nutrocker・トリロジー:Hoedown・恐怖の頭脳改革:Karn Evil 9 1977年以降・ELP四部作:C'est La Vie/Tank/Pirates/Fanfare For The Common Man (Rondo)・作品第2番:Maple Leaf Rag(★)/Tiger In A Spotlight(★)/Watching Over You(★)・その他:Peter Gunn(★)※注:「★」印は『OAKLAND 1977』で聴けない曲。……と、このようになっています。「Piano Concerto No.1 1st Movement」「Knife Edge」「Still... You Turn Me On」が落ち、『作品第2番』ナンバー3曲と「Peter Gunn」を盛り込んだスタイル。小品が増えた事により、よりコンパクトでテンポの良い流れに変化しました。EL&Pと言えば、歴史に残る大作や長いインプロがトレードマークのようでもありますが、一方で凡百のプログレバンドとは一線を画す小気味の良さも美点。そんな快活さが前面に押し出されたショウでもあるのです。新発掘の1stジェネ・マスターをさらに磨き込んだ“THE WORKS Tour”の新名盤。「1977年11月8日マディソン公演」の絶品オーディエンス録音。最近になって発掘された1stジェネのアップグレード・マスターで、クリアな空気感を貫いて来る芯は力強く、ダビング劣化がほとんど見られず、ヒスも極少なら綺麗に伸びる演奏音に歪みナシ。瑞々しく暴れまくる3人の演奏が昨日録られたかのように新鮮に甦る名録音です。しかも、本作は独自の細心マスタリングで磨き込み。片チャンネルずつ細かくチェックしてバランスも整えた最高峰盤です。『作品第2番』ナンバーも盛り込んで小気味良くなったツアー後半を現場体験できる新名盤です。 Dane County Coliseum, Madison, WI, USA 8th November 1977 TRULY AMAZING/PERFECT SOUND Disc 1 (60:12) 1. Peter Gunn 2. Hoedown 3. Tarkus 4. Take a Pebble 5. Maple Leaf Rag 6. Take a Pebble (reprise) 7. C'est la vie 8. Lucky Man 9. Pictures at an Exhibition Disc 2 (58:01) 1. Karn Evil 9 2. Tiger in a Spotlight 3. Watching Over You 4. Tank 5. Nutrocker 6. Pirates 7. Fanfare for the Common Man 8. Rondo