長いJETHRO TULLでも録音の穴場となっている『CATFISH RISING』時代。その現場を極上サウンドで詳らかにする大傑作ライヴアルバムが登場です。そんな本作に吹き込まれているのは「1991年10月16日チューリッヒ公演」。その超絶級オーディエンス録音です。“CATFISH RISING Tour”と言えば、途中でマーティン・アルコックからアンドリュー・ギディングスへの交代があり、公式ライヴアルバム『IN CONCERT』『A LITTLE LIGHT MUSIC』も残された時期。細かな日程によって意味が異なってきますので、まずはツアー・スケジュールからショウのポジションを確かめてみましょう。1991年・2月21日:ニューヨーク公演 ・6月22日ー7月20日:欧州#1(20公演)・8月20日ー26日:北米#1(6公演)《9月10日『CATFISH RISING』発売》・10月3日ー11月1日:欧州#2(23公演)←※IN CONCERT&★本作★・11月7日ー12月17日:北米#2(32公演)《アルコック→ギディングス交代》1992年・3月13日ー4月10日:欧州#3(23公演・5月1日ー23日:欧州#4(17公演)←※A LITTLE LIGHT MUSIC・6月19日:サンクトペテルブルク公演・7月24日ー26日/9月22日ー25日:欧州#6(7公演)・9月30日ー11月10日:北米#3(36公演)これが1991年/1992年のJETHRO TULL。メンバーチェンジが起きたのはツアーが一段落付いた1991年12月で、本作はその前。アルバム発売直後に行われた「欧州#2」の10公演目のあたるコンサートでした。実は公式ライヴアルバム『IN CONCERT』も「欧州#2」のハマースミス公演で制作されており、本作はその8日後のショウでもありました。そんな現場を真空パックした本作は「超」付きの極上オーディエンス録音……です、たぶん。いきなり弱気になって申し訳ないのですが、本当にわが耳を疑いたくなるほど客録離れした極上サウンドなのです。さすがにオフィシャル盤『IN CONCERT』ほどの極太感はなく、スネアなどの音色にオーディエンス録音の証が刻まれてはいる。しかし、肝心のディテールの細かさや透き通った空気感、さらに距離のない密着感まで公式アルバムに負けていない。綺麗にセパレートしたすべての楽器が鮮やかなのですが、特に凄いのはイアン・アンダーソンのヴォーカル。歌詞の一語一語どころか一音節ごとのニュアンスまで鮮やかで、マイクに流れ込む呼吸感まで分かる。最初聞いた時は……いや、聴き込んだ現在でも「もしかしてIN CONCERTの流出ラフミックス?!」と思うほどの衝撃サウンドなのです。その超絶ビビッド・サウンドで描かれるのは、「オフィシャルIN CONCERTの完全版」とでも言えるフルショウ。もちろん別公演ではあるのですが、直近のショウだけに演奏は酷似しており、カットだらけのオフィシャル作品と違って一気貫通のフル録音なのです。ここで、その全貌を公式作と比較しながら整理してみましょう。キャットフィッシュ・ライジング(6曲)・Rocks On The Road/This Is Not Love/Like A Tall Thin Girl/White Innocence(★)/Still Loving You Tonight/Doctor To My Disease(★)クラシックス他 ・日曜日の印象:Serenade To A Cuckoo(★)・スタンド・アップ:A New Day Yesterday/Look Into The Sun(★)・アクアラング:Aqualung(★)・ジェラルドの汚れなき世界:Thick As A Brick・神秘の森:The Whistler(★)・逞しい馬:Heavy Horses・アンダー・ラップス:Paparazzi(★)・クレスト・オブ・ア・ネイヴ:Farm On The Freeway(★)/Jump Start・ロック・アイランド:Kissing Willie(★)・その他:メドレー(Minstrel In The Gallery/Cross-Eyed Mary)/Living In The Past(★)/メドレー(★:Locomotive Breath/Black Sunday)/The Dambusters March(★)※注:「★」印は同時期のオフィシャル盤『IN CONCERT』で聴けない曲。……と、このようになっています。長いキャリアから幅広くセレクトされていますが、やはり貴重なのは『CATFISH RISING』の新曲群。「Rocks On The Road」だけは21世紀にも演奏されましたが、他は90年代のみ。特に「White Innocence」「Doctor To My Disease」は『IN CONCERT』でも聴けなかったツアー限定曲ですし、「Still Loving You Tonight」に至っては指折り数えるほどしか演奏されていない激レア曲なのです。それにしても凄いサウンド。とんでもなく音の良いライヴアルバムです。チャート・ヒットとは縁遠くなりながら、独自のブルースロック風味を深めていた1991年のJETHRO TULL。その貴重ナンバー山盛りなショウを超極上サウンドでフル体験できる大傑作です。約53分で消化不良だった公式盤『IN CONCERT』の歯がゆさを一気に晴らす公式超えの2枚組。「1991年10月16日チューリッヒ公演」の超絶級オーディエンス録音。ディテールの細かさや透き通った空気感、さらに距離のない密着感まで公式アルバムにも負けていない。綺麗にセパレートしたすべての楽器が鮮やかなのですが、特に凄いのはイアン・アンダーソンのヴォーカル。歌詞の一語一語どころか一音節ごとのニュアンスまで鮮やかで、マイクに流れ込む呼吸感まで分かる。『CATFISH RISING』の「White Innocence」「Doctor To My Disease」など、公式作『IN CONCERT』でも聴けない貴重曲もたっぷりの極上ライヴアルバムです。Hallenstadion, Zurich, Switzerland 16th October 1991 ULTIMATE SOUND Disc 1 (66:55) 01. Intro 02. Minstrel In The Gallery/Cross-Eyed Mary 03. Kissing Willie 04. Rocks On The Road 05. This Is Not Love 06. Serenade To A Cuckoo 07. Heavy Horses 08. Tall Thin Girl 09. The Whistler (inst.) 10. White Innocence 8:24 11. Still loving you tonight 12. Living In The Past (inst.) 13. Paparazzi (Inst.) 14. Doctor To My Disease Disc 2(52:52) 1. MC 2. Thick As A Brick 3. A New Day Yesterday (incl. Bouree/Soiree) 4. Look Into The Sun (instr.) 5. Farm On The Freeway 6. Jump Start 7. Aqualung 8. Locomotive Breath/Black Sunday (inst.) 9. Dambuster's March 10. Thick As A Brick (reprise) / The Blue Danube Waltz (Outro) Ian Anderson - Flute, Mandolin, Acoustic Guitar & Vocals Martin Barre - Guitar Dave Pegg - Bass Martin Allcock - Keyboards Doane Perry - Drums