ヒュー・パジャムも制作陣に参加した『ABACAB』でマルチ・プラチナ時代に突入し、ライヴアルバム『THREE SIDES LIVE』も全米トップ10に送り込んだ1982年のGENESIS。その現場をフル体験できるライヴアルバムが登場です。そんな本作に吸い込まれ得ているのは「1982年9月6日ピサ公演」。斜塔で有名なイタリア都市で開かれた“Festa de l'Unita”に出演した際の極上オーディエンス録音です。このイベントは、イタリア共産党が主催する社会民主主義のフェス(解党後の現在は民主党が主催)という一風変わったフェスでもありました。また1982年と言えば、歴史的な再結成イベントSIX OF THE BESTが実現し、フィル・コリンズのソロ作『THE HELLO, I MUST BE GOING! 』も大ヒットと多忙化が一気に加速した時期。まずは、その歩みを振り返り、ショウのポジションを確かめてみましょう。《6月4日『THREE SIDES LIVE』発売》・8月1日ー29日:北米(23公演)・9月3日-16日:欧州(10公演)←★ココ★・9月18日-30日:英国(12公演)・10月2日:SIX OF THE BEST《11月5日『THE HELLO, I MUST BE GOING! 』発売》《11月21日“THE HELLO, I MUST BE GOING Tour”開始》これが1982年のGENESIS。約2ヶ月でアメリカ/ヨーロッパを一気に駆け抜けていくわけですが、その中でも本作のピサ公演は大陸ヨーロッパ篇「欧州」レッグの3公演目にあたるコンサートでした。そんな現場で記録された本作は、何とも端麗な美録音。1stジェネ・カセットからデジタル化されており、その瑞々しくも透き通ったクリアさが素晴らしい。サウンドボードと間違えるようなド密着感はなく、音色的にもオーディエンスらしさが溢れるのですが、それは欠点ではなく美点。ほんのりとした鳴りは歪みなく広がり、そのド真ん中を貫く芯もクッキリ。フィルのイタリア語MCも1語1語までハッキリ聴き取れるのです。“THREE SIDES LIVE ENCORE Tour”と言えば、名盤『MAN ON THE HAMMERSMITH』として君臨しておりますが、本作の個性もかなりに似ている。微細部までグイッと迫る押しの強さが半歩……いや、1/4歩及ばないような気もしますが、それも好みの差でしかなく、劣っているわけでもない。日本録音で喩えるなら「オーディエンスだからこその美」を追究した名門キニーを彷彿とさせる(もちろん実際には違います)美音なのです。その端麗サウンドで描かれるのは、公式『THREE SIDES LIVE』ともまた違ったフルショウ。今さらではありますが、これまでセット比較をしたことがありませんでしたので、ここで整理してみましょう。5人/4人時代・フォックストロット:Supper's Ready(★)/Watcher Of The Skies・眩惑のブロードウェイ:The Lamb Lies Down On Broadway(★)・トリック・オブ・ザ・テイル:Dance On A Volcano(★)/Los Endos(★)・その他;メドレー(In The Cage/The Cinema Show/The Colony Of Slippermen/Afterglow)/Drums Duet(★)3人時代・そして3人が残った:Follow You Follow Me・デューク:Behind The Lines/Misunderstanding/Turn It On Again・アバカブ:Dodo/Lurker/Abacab(★)/Man On The Corner(★)/Who Dunnit?(★)※注:「★」印は『THREE SIDES LIVE』で聴けない曲。……と、このようになっています。『THREE SIDES LIVE』は複数公演から組まれた編集盤でもあったわけですが、“ABACAB Tour”の標準セットと比較しても「Follow You Follow Me」「Supper's Ready」「Watcher Of The Skies」といったクラシックスの復活が嬉しい。また、“THREE SIDES LIVE ENCORE Tour”と言えば唯一のサウンドボード・アルバム『SARATOGA SPRINGS 1982』もありますが、あの傑作でもカットがあった「In The Cage」メドレーがシームレスに楽しめるのも美味しいところです。SIX OF THE BESTばかりが注目され、音源秘境でもある“THREE SIDES LIVE ENCORE Tour”。なかなか伝わりづらい標準セットを極上サウンドで現場体験できるライヴアルバムです。オーディエンスだからこその美音とフルセットを胸いっぱいに味わえる1本。「1982年9月6日ピサ公演」の極上オーディエンス録音。1stジェネ・カセットからデジタル化されたサウンドは瑞々しくも透き通ったクリアさが素晴らしい。ほんのりとした鳴りは歪みなく広がり、そのド真ん中を貫く芯もクッキリ。日本録音で喩えるなら「オーディエンスだからこその美」を追究した名門キニーを彷彿とさせるような美録音です。 “ABACAB Tour”では聴けなかった「Follow You Follow Me」「Supper's Ready」「Watcher Of The Skies」といったクラシックスも美味しいフルショウを極上体験できます。Tirrenia, Festival Unita, Pisa, Italy 6th September 1982 TRULY PERFECT SOUND Disc 1 (73:55) 1. Intro 2. Dance On A Volcano 3. Behind The Lines 4. Follow You Follow Me 5. Phil speaks #1 6. Dodo / Lurker 7. Abacab 8. Phil speaks #2 9. Supper's Ready 10. Misunderstanding 11. Man on the corner 12. Whodunnit? 13. Phil speaks #3 Disc 2 (41:11) 1. In The Cage 2. The Cinema Show 3. Colony Of Slippermen 4. Afterglow 5. Turn It On Again 6. Drum Duet / Los Endos 7. The Lamb Lies Down On Broadway 8. Watcher Of The Skies Phil Collins - Vocals, Drums & Percussion Mike Rutherford - Bass & Guitar Tony Banks - Keyboards Chester Thompson - Drums & Percussion Daryl Steurmer - Guitar