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Pink Floyd ピンク・フロイド/Italy 6.19.1971 Recorder2

本作に刻まれているのは「1971年6月19日ブレシア公演」。そう、新名盤と同じショウで記録された極上オーディエンス録音です。では、本作は新名盤と何が違うのか。そして、今なお聴く価値があるのか。その辺をご説明するためにも、イチからご説明していきましょう。まずは、何と言ってもショウのポジション。1971年と言えば箱根50周年で盛り上がっていましたが、当時は『原子心母』ツアーと『おせっかい』ツアーが交差する時期でもありました。まずは、その全景から振り返ってみましょう。“ATOM HEART MOTHER World Tour”《1月『おせっかい』制作開始》・1月17日ー2月27日:欧州#1(10公演) ・4月3日ー7月1日:欧州#2(18公演)←★ココ★・8月6日ー15日:日本/豪州(5公演)《8月『おせっかい』完成》・9月18日ー30日:欧州#3(5公演)《10月4日ー7日:ポンペイで撮影》・10月10日+11日:英国(2公演)“MEDDLE Tour”・10月15日ー31日:北米#1a(11公演)《10月31日『おせっかい』発売》・11月2日ー20日:北米#1b(16公演)・12月26日:ビートクラブ出演 これが1971年のPINK FLOYD。本作のブレシア公演は『原子心母』ツアーの一貫。初来日の約1ヶ月班前のコンサートでした。このショウはアナログ時代から録音や既発が知られてきたのですが、それらは通称「Recorder 1」から派生したものでした。その状況が一変したのが、2020年2月。「Recorder 1」とは比べものにならないほど高音質な別録音「Recorder 2」が発掘された。それこそが本作なのです。では、新名盤『DEFINITIVE BRESCIA 1971』とはどう違うのか。実は、この日の録音は5種類が存在しており、新名盤は5番目の新発掘録音なのです。ここで、その5種も整理しておきましょう。・Recorder 1:stratcat58(3rdジェネ) ←※伝統録音・Recorder 2:Geloso G570 ←★本作★・Recorder 3:音の悪いトレーダー音源・Recorder 4:G.O.(1stジェネ)・Recorder 5:Renzo Storti Master ←※今週の新名盤……と、このようになっています。5種のうち重要なのは3種で、残り2種はコンプリーター向けとご理解ください。そして、本作のメインは昨年発掘された「Recorder 2」というわけです。とにかく、この「Recorder 2」の登場は衝撃でした。正直なところ、伝統録音「Recorder 1」は“数ある記録の1つ”というレベルに留まっていたわけですが、「Recorder 2」の登場で一変。一気に1971年を代表するライヴアルバムに躍り出たばかりか、「1971年のブレシア公演」というショウそのものをスペシャルな存在にまでしてしまったのです。そのサウンドの要は「近さ」。実のところ、本作はオーディエンス録音とは言っても、一般の客席で録音されたわけではない。バンド公認のカメラマンやプレス関係者だけが入れる関係者エリアから録音されているのです。しかも、その距離はステージからわずか2メートル。フロント・ロウそのものの音圧とダイレクト感で迫りまくるサウンドが封じ込められているのです。もちろん、その近さは別録音『DEFINITIVE BRESCIA 1971』に更新されてしまったわけですが、だからと言って本作の価値がなくなってしまったわけではない。もし、これが同じ録音のマスタリング違いなら旧バージョンの役目は終わったとなりますが、大元から異なる別録音には、違うポジションの真実が詰まっており、根本的に異なる味わいのサウンドが宿っているのです。実際、本作の場合はアンサンブル全体に均整の美があり、ナチュラルで端正な臨場感も実に素晴らしい。新名盤『DEFINITIVE BRESCIA 1971』は奇跡のダイレクト感と異様なタイト感を誇っていますが、あまりにもパワフルなためにオーバーピークしかねないパートもあります。しかし、本作は一歩引いたニュアンス(実際には2メートル距離なので引いてはいないと思いますが)のために、アンサンブル全体が整ったバランスで記録されている。しかも、クリアさもセパレート感も70年代の常識外。好みによっては本作の方を愛聴しても不思議はありませんし、もし「Recorder 5」と発掘の順序が逆だったとしても、やはりご紹介したことでしょう。アンコールの「Blues」こそ未収録ではありますが、それ以外の欠けは「Recorder 1」で補完し、2020年時点での最長ライヴアルバムでもありました。王座を『DEFINITIVE BRESCIA 1971』に譲ったとは言え、やはり本作も文化遺産級の端正録音なのです。もし一般の方なら高い山は富士山しか知らないとしても仕方がない。しかし、山男なら北岳も奥穂高岳も登りたいと思うはずです。本作の立つ地平は、そこにある。二番目の高みにあり、別の景色で魅せてくれる絶世の別録音。2020年に発掘されて世界中のコレクターに衝撃を振りまいた名盤がリリース。関係者エリアの端正サウンドで初期版「Echoes」を楽しめる醍醐味は絶大で、別録音『DEFINITIVE BRESCIA 1971』が登場した現在も色あせない名盤です。Palazzo Delle Manifestazioni Artistiche, Brescia, Italy 19th June 1971 PERFECT SOUND Disc 1 (46:51) 1. Intro 2. Atom Heart Mother ★2:03 - 2:18 / 12:20 - 12:35 補填 3. Careful With That Axe, Eugene ★13:43 - 最後まで補填 4. Fat Old Sun ★0:00 - 0:27 補填 Disc 2 (79:52) 1. Embryo ★0:00 - 0:07 補填 2. The Return Of The Son Of Nothing ★7:00 - 8:25 補填 3. Set The Controls For The Heart Of The Sun ★0:00 - 0:21 / 2:26 - 最後まで補填 4. Cymbaline ★全部補填 5. A Saucerful Of Secrets ★全部補填

Pink Floyd ピンク・フロイド/Italy 6.19.1971 Recorder2

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